合併10周年記念式典市長式辞(H25.1.10)(230KBytes)

西予市合併 10 周年記念式典
市長式辞
2015 年 1 月 10 日
西予市長 三好 幹二
本日ここに、西予市合併10周年記念式典を挙行いたしましたところ、
愛媛県知事 中村時広 様、衆議院議員 山本公一 様、並びに各国会議員の先生
方、愛媛県議会議長 明比昭治 様をはじめ、多数のご来賓の皆様、市民の皆様の
ご臨席を賜り、心から厚く御礼申し上げます。
西予市は、平成16年4月1日、旧東宇和郡の明浜町、宇和町、野村町、城川町、旧
西宇和郡の三瓶町の5町が合併し、平成の合併として四国中央市とともに愛媛県内
第2号として誕生いたしました。
合併協議会では、昭和の大合併以来50年近くに亘り積み重ねてきたそれぞれの町
の自負や思い、さらには郡境を超えた合併でもあり、多くの議論や調整を得て合併協
定書の締結に至りました。西予市はこの合併協定書を重く捉え、これを遵守して市政
運営を行ってまいりました。
本日、このように記念すべき10周年の節目を迎えることができましたことは、感慨
ひとしおであり、これも偏に、ご臨席の皆様方の格別のご指導・ご高配と、たゆまぬご
努力を重ねられた市民の方々、また、市政運営に深いご理解をいただいています市
民並びに議会の皆様の賜物であると、心より感謝と御礼を申し上げます。
さて、この10年を振り返ってみますと、合併当初は夢のある新市を期待し、心膨ら
ませておりましたが、現実は前途多難な門出となりました。「三位一体の改革」という
国からの試練が与えられ、地方交付税や国庫補助負担金の削減により極めて厳しい
財政運営を余儀なくされ、第1次、第2次行政改革大綱を策定し、市民の皆様と行政
がともに取り組んでいく「協働型行政改革」に取り組み、人件費の削減や補助金のカ
ットなど多くの痛みを伴う改革により、市民の皆様にも大変ご迷惑をお掛けいたしまし
た。さらに、行政評価システムを導入し、事務事業の見直しや施策枠予算方式による
適正な予算執行を行ってまいりました。
これら、市民の皆様のご理解とご協力をいただいたことによって、現在の西予市が
あるものと思っております。
また、合併当初は西予市としての一体感醸成とそれぞれの地域の歴史、文化、伝
統を尊重し、各地域の特徴を生かしながらバランスのとれたまちづくりに取り組むとと
もに、グローバルに考えローカルに実践する「グローカル」を実践し、西予市としての
基礎・基盤を築くとともに、誇れる愛着の持てる町づくりを進めてまいりました。
合併協議会で策定いただいた新市建設計画の基、平成17年度に西予市のまちづ
くりの方向性を示す総合計画「夢創造せいよ 21」を策定し、本市の特性、市民ニーズ、
時代潮流、発展課題を明らかにし、夢の持てる町づくりに取り組んでまいりました。特
に、新市建設計画では有利な合併特例債や地方交付税の特例措置を活用し、改正
前の合併特例債の制限期間である10年間で実施できるものは実施していく考えで行
ってまいりました。まずは、合併で不利益を被りやすい周辺部から実施し、中心部は
周辺部がある程度整備できた段階で実施する手法を取ってまいりました。
主な事業として、乙亥会館・野村エコセンター・クアテルメ宝泉坊及びロッジの建設、
宇和野村公共下水道・三瓶本館・海の駅潮彩館・漁港・市道・林道・ほ場等のインフラ
整備、灌水施設の償還助成や本庁舎建設、西予CATVの設立などであります。
また、昨年9月21日に開院いたしました西予市民病院や、現在進めています、し尿
処理施設や宇和学校給食センター改築を含め基礎・基盤となる事業は概ね出来たと
思っております。
また、この10年間で西予市独自の時代対応や行政課題を新たな施策として実施し
てまいりました。
まず、「限界集落対策」ですが、合併して山間部の集落で限界集落が多くあること
に驚き、土地や人口の空洞化に合わせて心の空洞化までが起きていることを痛感し、
人口減少を止めることは出来ないものの、地域に誇りを取り戻すための施策を実施し
て地域・集落を変えることを進めてまいりました。
西予市には各地区に素晴らしい歴史・文化が生き続け守り継がれています。伊勢
神宮式年遷宮の大切な役割を担った野村シルク、県指定無形民俗文化財の俵津文
楽・朝日文楽、重要伝統的建造物群保存地区である卯之町の古い町並みや日本唯
一と考えられる、現存する4代の一連の小学校舎、申義堂・開明学校・米博物館・現
宇和町小学校、160年の歴史をもつ野村の乙亥大相撲、城川の奇祭どろんこ祭りな
ど、これら大切なものを「不易流行」という言葉を借り、今に生きる私たちが守り後世
に伝えていく責務があるとの思いで諸施策を実施してまいりました。
また、「バイオマス構想」による、再生可能エネルギー時代への地方からの提言と
して、間伐材を活用しペレット化して冷暖房燃料へ転換してまいりました。山林が二酸
化炭素を吸収し酸素を生み出すことから、吸収と排出がプラス・マイナスに働くカーボ
ンオフセット思想を推進し、地方から地球温暖化防止に寄与との考えで推進してまい
りました。
ジオパーク構想では、北海道の大学教授の講演を契機にジオパーク構想を目指す
ことを決意し、ジオパークの基本やすばらしさを市民の皆様に訴え、多くの市民の皆
様がこの考えに興味と賛同と行動を起こしていただき、一昨年9月に四国西予ジオパ
ークが日本ジオパークの一つとして認定いただきました。今後は、これを起爆剤として
市民の皆様が身近な宝を素晴らしいものと気づき、誇りを持ち、付加価値を付けて発
信していかなければなりません。
小学校再編では判断に苦しみました。小学校の地域での存在は大きく、シンボルで
あり何より心の古里でもあるからです。しかし、当市の少子化の波は思いのほか早く
到来し、複式学級が増えるだけでなく、同級生がいない学校も増えている現状から、
子供の教育環境を整えるためには学校再編はやむなしと判断したところであります。
最初は反発もありました。しかし、PTA・地域の理解が時を経るとともに増え、三瓶地
区の小学校統合に続き、明浜・野村地区が決断いただき、現在、統合校舎建設や改
修等体制を整備しているところであります。
古い因習などで遅れている女性の社会進出や登用を推進するため、西予市誕生と
同時に男女共同政策室を立ち上げ、西予市の男女共同参画社会実現に向け取り組
んでまいりました。
そのほか、地域内分権として地域づくり交付金制度や楠本イネ顕彰事業、認定農
業者支援事業など、独自な考えにより諸施策を行ってまいりました。
この10年間、西予市は多くの事業を実現してまいりました。この背景には、賢明な
議会の存在があります。議会の役割として行政のチェックがありますが、それだけで
はなく、議員の皆さんが地域リーダーとして地域をまとめ引っ張って行く役割を担って
いると考えております。西予市は地方自治二元論、行政と議会が車の両輪として最
先端を行っていると思っております。
本日迎えた合併10周年という節目の日は、記念すべき日であるとともに、11年目
からの新たなスタートラインに立つ日でもあります。これまでの10年間の歩みをしっ
かりと踏まえつつ、これからも、市民の皆様が安全で安心して暮らせるまちづくり、今
まで以上に地域に誇りと愛着が持てるまちづくりを基本に、新たな飛躍に向け、市民
の皆様に住んでよかったと本当に喜んで頂ける西予市の実現のために全力で取り組
んで参りたいと考えております。
また、後ほど合併に際してご尽力いただいた方々や、市政発展や地域のために献
身的にご尽力されました方々のご功績に対し、感謝状をお贈りさせて頂きます。皆様
には、各分野において多大なご功労とご活躍を賜り、市民を代表しまして敬意とお喜
びを申し上げるとともに、今後益々のご活躍を念ずる次第であります。
終わりに臨みまして、西予市のさらなる発展のために、市民の皆様、関係各位の皆
様から、なお一層のご支援ご協力を賜りますことを改めてお願い申し上げますととも
に、本日、ご臨席、ご列席をいただきました皆様方の益々のご健勝とご多幸をお祈り
申し上げ式辞と致します。