打音検査法を応用した木製いすの耐久性評価

平成22~23年度
(県単独研究)
研究成果事例
打音検査法を応用した木製いすの耐久性評価
[背景・目的]
当所では、家具製造分野への非破壊・全品検査の導入を目的とし、非破壊検査法のひ
とつである打音検査に着目し、安価で簡易にできる、木製品向けの非破壊全品検査技術
(図1、図2)の開発を進めています。ここでは、スタッキングスツールを事例とした強
度試験前後の打撃振動データの比較による、強度・耐久性の評価事例を紹介します。
[これまでに得られた成果]
最初の試作品の実験結果を図3、図4に示しました。410N(ISO レベル 2)では強度試験
のヒステリシスループが直線的であり、打音検査もパワースペクトルに変化が見られな
かったことから、十分な強度といえます。しかし、560N(ISO レベル 3)になると、強度試
験のヒステリシスループが崩れ、パワースペクトルピークの低周波数側へのシフトや波
形の変化が見られ、ゆるみや破壊が生じていることが確認できました。そこで、設計を
改良、同様の評価を行い(図5)、改良品が十分な強度を保つことを確認できました。
図1 強度試験
図3 強度試験と打音検査結果(改良前1)
図5 強度試験と打音検査結果(改良後)
図2 打音検査
図4 強度試験と打音検査結果(改良前2)
[期待される効果・技術移転の計画]
振動解析を応用した非破壊検査は、接合部の欠陥を検出でき、木工分野でも有効であ
ることが確認できました。今後、依頼試験や技術指導での活用、家具メッセへの出展、
UD・工芸研究会・静岡椅子研究会などの活動を通じて普及を図っていきます。
お問い合わせ先 工業技術研究所
工芸科
電話 054-278-3024