7.引用の方法と参考文献の書き方

参考文献はどう使う?
7.引用の方法と参考文献の書き方
• 自分の議論の客観的証拠として
→読み手に納得してもらう
• 自分の議論の枠組みの参考として
ここでは、引用の方法と
参考文献の書き方について説明します。
→「答えを導く議論」に援用する
• 対決すべき先行研究として
→あえて敵として批判する
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著作権法
情報の適切な利用
本来、著作物の利用には、著作権者の許諾が必要。
文化の発展のため、例外的に許諾なしで利用できる。
(引用)
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著作権法32条
「公表された著作物は、引用して利用することができる。こ
の場合において、その引用は、公正な慣行に合致するもので
あり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な
範囲内で行なわれるものでなければならない。」
著作権法48条
(出所の明示)
当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の
態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、
明示しなければならない。
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1. 引用するものが公表された著作物であること
2. 他人の意見と自分の意見を区別する
3. 他人の意見は適切な範囲で利用する
○ 自分の書いた文章が主となる
× 丸写し
4. 使用した他人の意見の出典を明示する
○ 引用・参考文献として記載する
意図的に他者の意見を自分の意見であるかのように書いた場合だけでなく、
意図せず結果として読み手にとって紛らわしい書き方になった場合でも、
その行為は「盗作」や「剽窃(ひょうせつ)」とみなされ、法的・社会的
な制裁を受けることがあります。大学のレポートでも、筆記試験のカンニ
ング同様に「不正行為」とみなされることがあります。
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引用、参考文献の書き方
引用の基本ルール
• 引用、参考文献の書き方には、
一定のルール(スタイル)がある
• 具体的な記載形式(スタイル)は学問分野や論文
を発表する媒体などによって異なるので、
書き方の指定があるかを確認する
• 特に書き方の指定がない場合は、一定のルールに
則り記述する
• 文章は出典から正確に引用する
• 引用した文章は一重カギ括弧(「 」)で囲
み、自身の文章と区別する
• 閉じ括弧の前にアスタリスク(*)や番号を
使って注を付け、引用した部分と出典の情報
とを結びつける
• 引用は長すぎず、多すぎず、を心掛ける
• 文章を要約あるいは参照した場合も、注をつ
けて出典を明示する
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本文中での引用の仕方
本文中での引用の仕方
1)もとの文章をそのまま利用する場合
1)もとの文章をそのまま利用する場合(続き)
・引用が短い場合
・引用が長い場合
引用部分の前後1行空けて2~3文字下げることで、
引用であることを明確にする。
書体をイタリックにしたり、フォントサイズを下げて
文字を小さくする場合もある。
該当の部分を「」でくくり、引用であることを示す
ドラッカーは意思決定について、「意思決定は判断であ
る。いくつかの選択肢からの選択である」1)と述べている。
<参考文献>
1)ドラッカー、PF『プロフェッショナルの条件』、上田
敦生編訳、東京:ダイヤモンド社、2000年、158頁。
本文で引用箇所が分かるようにした上で、
さらに出典を参考文献として記載する。
引用部分が参考文献のどの文献と対応するかを示す。
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引用と参考文献の対応方法
本文中での引用の仕方
2)自分の言葉に直して内容を引用する場合
ドラッカーは、意思決定は判断であり、しかもそれは、正しいかど
うかも疑わしいような選択肢からの選択であるとしている1)。
<参考文献>
1)ドラッカー、PF『プロフェッショナルの条件』、上田敦生編訳、
東京:ダイヤモンド社、2000年、158頁。
上記の例のように、もとの文章の内容を自分の言葉に直して、
情報の内容を引用する。
もとの文章に書かれていないことを書いたり、
もとの文章の意味を変えて引用するのは不可。
• 番号で示す方法
ドラッカーは意思決定について、「意思決定は判断である。いくつかの選択
肢からの選択である」1)と述べている。また、清水は、「経営の意思決定と
は、ゴールではなく、不確実な未来に向けた一つのスタート」2)としている。
<参考文献>
1)ドラッカー、PF『プロフェッショナルの条件』、上田敦生編訳、東京:ダ
イヤモンド社、2000年、158頁。
2)清水勝彦『経営意思決定の原点』、東京:日経BP社、2008、3頁。
• 著者名と出版年で示す方法
ドラッカーは、意思決定は判断であり、しかもそれは、正しいかどうかも疑
わしい選択肢からの選択であるとしている。(ドラッカー, 2000)
<参考文献>
1)ドラッカー、PF『プロフェッショナルの条件』、上田敦生編訳、東京:ダ
イヤモンド社、2000年、158頁。
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参考文献の書き方
• 分野によってさまざまなスタイルあり
APA(米国心理学会)
MLA(米国現代語学文学学会)
Chicago Style(シカゴ大学)
Vancouver Style(国際医学雑誌編集者委員会)
AIP(米国物理学会)
ACS(米国化学会)
SIST(科学技術情報流通技術基準)
次ページ以降では「SIST」に準拠した参考文献の
書き方を紹介していますので参考にしてください。
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引用だらけを避けるには?
焦点を絞った明確な問いを立てること
→「問い」がないと、引用の羅列になりがち
「問い+答え+答えを導く議論」を明確に
問いを立てるには?
・複数の文献を参照して、意見や見解を対立させてみる
・同じことを別の場合(国・地域、時代、人…)に
当てはめて考えてみる
→このテキストの3章『「問い」を立てるための資料検索』も参考に
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