15全港発 第34号 2015年9月10日 労働法制改悪に反対する決議 安倍政権は、日本が世界で一番企業が活躍しやすい国とするため、財界・大企業が要 求し続けている労働者派遣を更に自由化させようとしている。また、残業代ゼロ法案や 解雇の金銭解決による解雇の自由化を行おうとしている。労動者保護を目的とした労働 法制を否定し、雇用不安・格差助長が押し進められることは到底受け入れられるもので はない。 労働者派遣法改正案は、過去2回にわたり審議未了にて廃案となったが、懲りもせず 今国会にも提出された。派遣法の臨時的・一時的原則を事実上破棄し、企業は派遣労働 者の入れ替えで無期限に派遣労働者を使用できるようにしようとしている。一方、個々 の派遣労働者にとっては、有期雇用・同一職場において事実上継続して働けるのは3年 が上限となり、雇い止めが横行する。企業の身勝手により将来的には、一部の正社員と 大多数の低賃金派遣労働者に置き換えられ、日本の格差社会はさらに拡大するおそれが ある。 残業代ゼロ法案は労動基準法の改悪である。残業代も休日出勤手当も支払うことなく 働かせることができる「高度プロフェッショナル制度」を創設し「企画業務型裁量労働 制」を拡張させようとしている。しかし、今日の派遣法を見ればわかるように成立すれ ば法の適用拡大は明らかであり、すべて骨抜きにされて歯止めはかからない。過労死が 社会問題化している日本で、過重労働を助長する労働基準法改悪は「ブラック企業救済 法」そのものと言える。 解雇無効判決がでても金さえ払えば解雇することができる制度は、労使対等の原則を 踏みにじり、弱者である労働者を物言えぬ立場にする法律である。企業の求めるまま使 い勝手のよい労働者を作り、不当解雇を助長する解雇自由化社会をつくってはならない。 労働法の理念は、憲法にもとづく労働者保護であり、経営者と対等に交渉し権利を勝 ち取るうえで重要な法律である。しかし、安倍政権の政策は企業論理を優遇し、労働者 が勝ち取ってきた法制度そのものを破壊しようとしている。われわれは、労働者の権利 を守り、安心して安定した雇用と生活を確保するため、安倍政権の労働法制改悪に反対 するすべての労働者と連帯してたたかうものである。 以上、決議する。 2015年9月10日 全日本港湾労働組合 第86回定期全国大会
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