「親業」のすすめ ~賞罰からの脱却~

誉れの学園
花と緑と豊かな心
所沢市立牛沼小学校 学校だより
平成26年度
「親業」のすすめ ~賞罰からの脱却~
No.9
校長
やま
1月号
だ
けん
じ
山 田 賢 司
新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては,年末年始を楽しく過ごされたことと思います。残念ながら,我が家
は家族がお互いに居合わせる時間が長い分,もめごとの頻度も高く,とりわけ父娘関係には
手を焼いております。
そんな時,私は30年ほど前にアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が提唱した「親
業」という親のためのリーダーシップ訓練講座を思い出しました。
事例によりますと,第1法では,雨の中,学校に行く娘に,父親がレインコートを着ていくよ
うに言います。しかし,娘はそのレインコートが嫌いなので着たくないと言い争いになり,結局,
娘は父親に言い負かされて,怒りながらも着ていくことになります。
また,第2法では,娘は絶対にレインコートを着たくないと主張し,父親はしまいには「もう勝
手にしろ」と言い捨てて,娘はレインコートを着ずに学校に行きます。
筆者は,「疾風怒濤の青年期」の問題点は,身体的変化・性的特徴の顕在化・子どもと成
人との内的闘争などではなく,親からの賞罰によるコントロールからの脱却にあると指摘して
います。娘は親自身に反対しているのではなく,親のもつ「権威」に反逆しているのだという
のです。そして,父娘のどちらも敗者にならない第3法を提唱しています。
父:あのレインコートは全然着たくないみたいだね。
娘:そうなの。チェック柄だし。
父:そうか。困ったね。おまえはチェック柄のレインコートは着たくないと言うが,私は洋服
がだめになって,クリーニング代は余計にかかるし,お前が風邪を引いたら困るし・・・
二人ともいいと思うようないい案はないかね。考えてくれないかなあ。
娘:う~ん,じゃあ,今日はママのカーコートを借りていったらどうかしら。
このように第3法とは,会話による子ども参加型の決定手法を取り入れます。もちろん,解
決策は,これだけとは限りません。レインコートを傘に代えたり,その日は車にしたり,後日に
別柄のレインコートを購入したり・・・。こうした解決方法は,親だけでなく,教師・コーチ・地域
ボランティア・祖父母・リーダーなどの「親代理人」も,ぜひ,様々な権威主義から脱却して,
積極的に取り入れてほしいと警鐘を鳴らしています。
30年ほど前,新米教師だった私は,この理論に出会い,
夢中になってその手法を学びました。大した実践こそで
きませんでしたが,まさか今日,自分の娘に手こずるとは
思いもよりませんでした。頭ではわかっちゃいるけど・・・。
まだまだ親業の修行は続きそうです。