性同一性障害者(PDF)

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性的指向
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「男性が男性を,女性が女性を好きになる」ことに対しては,根強い
偏見や差別があり,苦しんでいる人々がいます。性的指向を理由とす
る偏見や差別をなくし,理解を深めることが必要です。
性的指向とは,人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念を言い
ます。具体的には,恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュア
ル),同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル),男女両方に向かう両性愛(バ
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イセクシュアル)を指します。
同性愛者,両性愛者の人々は,少数派であるがために正常と思われず,場合に
よっては職場を追われることさえあります。このような性的指向を理由とする差
別的取扱いについては,現在では,不当なことであるという認識が広がっていま
すが,いまだ偏見
や差別が起きてい
るのが現状です。
法務省の人権擁
護機関では,性的
指向を理由とする
偏見や差別の解消
を目指して,啓発
活動や相談,調査
救済活動に取り組
んでいます。
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●内閣府「人権擁護に関する世論調査」
(平成24年8月調査)
から
0
性的指向に関し, 現在, どのような人権問題が起きて
複数回答
(%)
いると思いますか?
10
20
30
40
3
50
差別的な言動をされること
【38.4%】
じろじろ見られたり , 避けられたりすること
【25.3%】
職場 , 学校等で嫌がらせやいじめを受けること
【24.3%】
就職・職場で不利な扱いを受けること
【22.2%】
アパート等への入居を拒否されること
【6.9%】
宿泊施設 , 店舗等への入店や施設利用を拒否されること
【4.7%】
特にない・わからない
【41.2%】
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性同一性障害者
からだの性とこころの性との食い違いに悩みながら,周囲の心ない好
奇の目にさらされたりして苦しんでいる人々がいます。性同一性障害
を理由とする偏見や差別をなくし,理解を深めるこ
とが必要です。
性同一性障害とは,生物学的な性(からだの性)と性の
自己意識(こころの性)が一致しないため,社会生活に支
障がある状態を言います。性同一性障害の人々は,社会の
中で偏見の目にさらされ,昇進を妨げられたりするなどの
差別を受けてきました。
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The Protection of Human Rights
平成16年7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行さ
れ,この法律により,性同一性障害者であって一定の条件を満たす者については,性
別の取扱いの変更の審判を受けることができるようになりました(平成20年6月に
改正法によって条件を緩和)。
法務省の人権擁護機関では,性同一性障害を理由とする偏見や差別の解消を目指し
て,啓発活動や相談,調査救済活動に取り組んでいます。
●内閣府「人権擁護に関する世論調査」
(平成24年8月調査)
から
性同一性障害に関し, 現在, どのような人権問題が起きていると
思いますか?
0
10
20
30
40
複数回答(%)
50
職場 , 学校等で嫌がらせやいじめを受けること
【32.6%】
就職・職場で不利な扱いを受けること
【28.8%】
差別的な言動をされること
【28.1%】
じろじろ見られたり , 避けられたりすること
【22.2%】
宿泊施設 , 店舗等への入店や施設利用を拒否されること
【6.9%】
アパート等への入居を拒否されること
【5.2%】
特にない・わからない
【40.6%】
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人身取引(トラフィッキング)
人身取引(トラフィッキング)は,重大な犯罪であり,基本的人権を侵害す
る深刻な問題です。性的搾取,強制労働等を目的とした事案が発生していま
す。
我が国では,平成16年4月,内閣に「人身取引対策に関する関係省庁連絡会
議」が設置され,同年12月,同会議において,人身取引の撲滅,防止,人身取引
被害者の保護等を目的とする「人身取引対策行動計画」が取りまとめられました。
また,人身取引その他の人身の自由を侵害する行為に対処するため,平成17
年6月に刑法等の一部が改正され,同年7月から施行されています。
さらに,人身取引をめぐる近年の情勢を踏まえ,政府一体と
なった人身取引対策を引き続き推進していくため,平成21年
12月,犯罪対策閣僚会議において,
「人身取引対策行動計画
2009」が策定されました。
この問題に関係省庁が協力して取り組んでおり,法務省の人
権擁護機関としても,啓発活動や相談,調査救済活動に取り組
んでいます。
30 The Protection of Human Rights