VR Solution Seminar

VR Solution Seminar
日時:2014 年 11 月 26 日(水)
13:30 〜 17:30
場所:丸ビルホール(東京・丸の内)
コミュニケーション・カオス
∼氾濫する情報から生活者は何を選ぶのか?∼
世の中に大量の情報があふれ、生活者自身も発信者となり得るなど、
コミュニケーションがカオス化している現代。
企業やメディアは生活者に伝えたいメッセージを届けることが難しくなっており、
生活者も気づかないうちに大切な情報を見失っているのではないでしょうか。
当社では、独自の研究から現代の生活者を内面の特徴で分け、
それぞれのタイプに合わせた的確な情報やメッセージを伝える・届けることで、
情報や商品は選択されやすくなることを解明しました。
この知見について具体的事例を交えてご紹介する場として、
今回、
「VR SOLUTION SEMINAR」を開催しましたので、
内容をご報告させていただきます。
PROGRAMME
特別講演
○「伝える、と、伝えたつもり、のちがい。」
澤本 嘉光様 [株式会社電通 CDC エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/CMプランナー]
VR講演
○「コミュニケーション・カオスを読み解く 〜シンプル・シンキング、ロジカル・アプローチ〜」
緒方 直美[ビデオリサーチ ソリューション推進局 生活者インテリジェンス部 副主事]
パネルディスカッション
○「コミュニケーション・カオスを切り拓く ~生活者とのよりよい絆づくりのために~」
楳谷 秀喜様[パナソニック株式会社 コミュニケーショングループ グループマネージャー]
田中 恵様[株式会社集英社 取締役]
福士 睦様[日本テレビ放送網株式会社 編成局 編成部担当部次長]
山本 晶様[慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 准教授]
加治佐 康代[ビデオリサーチ ソリューション推進局 生活者インテリジェンス部長]
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Video Research Digest 2015. 2
特別講演:「伝える、と、伝えたつもり、のちがい。」
株式会社電通 CDC エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター/ CMプランナー 澤本 嘉光様
僕が会社に入った 1990 年は「マス4媒体」
テレビでの投下が週1回でも WEB で回収でき
=テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、それをどう掛
る、ということになります。
け合わせていけば伝えていけるか、というのが
また、90 秒でも 15 秒でも、伝える秒数が違っ
主流でした。その後WEBの登場などでメディ
ているだけで、伝えられる「メッセージ」はひ
アが多岐になっていき、さらに今は、大きな流
とつです。1本の中にもったいないからなんで
れとしてソーシャルネットワークがコミュニ
も詰めてしまおうと、いろいろなものを詰め込
ケーションに介在してくるようになりました。
んだ挙げ句に結局何も伝わっていない、という
かつてのように CM をただ作っていたのでは、
ことは、ずっと昔からありましたが、大量投下
伝えることが難しい世の中になってきました。
されているから生活者は覚えてしまい、結果伝
わっているからいいじゃないか、というのもひ
CM をただ何も考えずに流していると伝わり
とつの真実でした。
にくい、しかし、適切にメディアを選んだり、
でも今は飛ばされるし見てもらえないという
適切に表現を選ぶことで、ずいぶんと問題解決
時代。フリークエンシーがなかなか発生しづら
になるのではないかと思っています。
い状況の中、生活者に見てもらい、印象づける
ためには、コンテンツの力が必要です。
例えばテレビ CM の場合、本当に冷静になっ
いまだフリークエンシーを重視し過ぎて、フ
て考えた時に 15 秒を2回流すのと 30 秒を1
リークエンシーはあるが実は伝わっていないこ
回流す場合、どちらが本当にその商品や情報の
とが多いような気がします。その辺りをもう少
ためになるのでしょうか。90 秒を1回流すの
し僕ら作る側も整理してやっていければ、コン
と 15 秒を6回流す場合でも同じです。予算の
テンツとしてもっと良いものができると思って
こともあり単純な図式では計算できませんし、
います。
秒数を長くするほど効率が悪くなるということ
も踏まえた上ですが、情報には、繰り返し短い
情報を与えたほうがいいという性質のものと、
印象度の強いものを1回流したほうがいいもの
と、大きくはふたつあります。秒数と情報量に
は相関関係があり、何秒でどのようなテーマで
流していくかということも含めてCMの戦術で
す。
例えばネーミング訴求や、ある商品サービス
について繰り返し訴求するということに関して
は 15 秒で全く問題なく伝えられます。逆に
90 秒は物語を作れる秒数であり、企業のブラ
ンディングに適しています。今は人に共感して
もらえたものは SNS 等で拡散されていくので、
澤本 嘉光様
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VR Solution Seminar
VR 講演
コミュニケーション・カオスを読み解く
∼シンプル・シンキング、
ロジカル・アプローチ∼
ビデオリサーチ ソリューション推進局 生活者インテリジェンス部 緒方 直美
企業やメディアが生活者に伝えたいメッセージを届けることが難しく
なり、生活者は気づかないうちに大切な情報を見失っている現代。当社
はこのような現代社会を「コミュニケーション・カオス」と名づけ、こ
の時代に生きる生活者をどのように捉えていくべきかという研究を進め
てきました。
現代社会の3つの 「カオス」
現代社会にカオスはたくさんありますが、そ
方で、商品を選択するのが難しくなり、困って
の中でも特に生活者に大きな影響を及ぼしてい
いる生活者もたくさんいます。
るものとして「生活者」「メディア」「商品」の
3つのカオス化が挙げられます。
マーケティング活動の中で、
「誰に」
「何を」
「ど
①「生活者」カオス
う届けるか」を考えていくと、これら3つのカ
経済の低迷や女性の社会進出、結婚年齢の分散
オスは掛け算され、さらに“複雑化して理解の
化など様々な要因で、年齢だけではその人の生
難しいもの”になっていきます。まさに「コミュ
活を想像することが難しくなっています。
ニケーション・カオス」時代を迎えているので
②「メディア」カオス
す。
生活者の消費できる情報量が限られている
中で、流通する情報量だけが爆発的に多く
なり、企業がメッセージを送っても生活者
生活者
に届きにくくなっています。
③「商品」カオス
何を選んでよいかわからない現代。様々な
カテゴリーにおいて商品の多様化が進んで
います。生活者は便利さを享受するその一
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Video Research Digest 2015. 2
メディア
商品
研究の着眼点:生活者の 「マインド・ホール」
生活者視点でこの「コミュニケーション・カ
ホール」を理解するために、生活者の「マイン
オス」時代を見ると、生活者は多くの情報を
ド」を読み解く研究を行いました。
シャットアウトしており、本人も意識しない中
で厳選した情報のみを入手していると考えられ
ます。この厳選された情報は、生活者の情報へ
の「マインド・バリア」を通過して心に届いて
います。当社では、生活者の「マイ
ンド・バリア」を通過できる穴を「マ
インド・ホール」と名づけました。「マ
インド・ホール」は以前に比べて小
さくなっていると考えられ、メッセー
ジを生活者に届けることは難しく
なっています。
そこで、我々は生活者の「マインド・
「コミュニケーション・カオス」 時代を生きる生活者の捉え方
我々は生活者の「マインド」を捉えるにあた
り、「生活者には『考え方のクセ』があり、そ
れに基づいて行動する」というシンプルな仮説
を立てて、研究を進めました。
その際には、消費者の情報接触と意思決定行
動を説明する概念モデルのひとつで
ある、
「S-O-R型モデル」の構成
要素の内、O(構成概念)にその「考
え方のクセ」を入れて、分析を行い
ました。
また、生活者視点でこのモデルを
解釈し、S(刺激)は「情報」、R(反
応)は「選択」と置き換えました。
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生活者を 「考え方のクセ」 で分類する
「考え方のクセ」のタイプは、<イ
メージ><機能>の軸、自分の意思
で選択をする<自発的>と他人の様
子を見て振る舞いが決まる<他発的>
の軸で分かれます。そして、「情報」
は<自発的>な人から<他発的>な
人に流れ、結果として「選択」も<自
発的>な人から<他発的>な人に流
れていきます。
「情報×選択セグメント」 の6タイプの特徴
●トレンドフリーク 23%(自発的×イメージ重視)
新しいものや流行に敏感で、興味のあるものだけでなく、あまり興味がないものでも
とりあえず情報収集。発信意欲も強く、話題を振りまく。
●雑学ロジカル 19%(自発的×機能重視)
徹底的に情報収集し、“意味のある”ものや“理屈に合う”ものを選択する。
●スマート目利き 9%(自発的×イメージ、機能両方重視)
決まったアイテムやブランドではなく、より良いものを追い求める。
●コミュニティ同調 20%(他発的×イメージ重視)
「世の中の評判」が選択の基準で、周りからどうみられているかを気にする。
●堅実ストイック 17%(他発的×機能重視)
節約志向で無駄遣いはしない。新しいものや流行には乗らず、間違いがないと わかっているものを選択する。
●ナチュラル低関与 12%(他発的×イメージ、機能重視どちらでもない)
自分の選択基準や明確な好みを持たず、淡々と日々生活している。
※数値は構成比
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Video Research Digest 2015. 2
アプローチのヒント
前述の生活者の「考え方のクセ」のタイプに
よって「マインド・ホール」も異なっています。
例 え ば、 メ ッ セ ー ジ 表 現 で 言 え ば、「 売 上
メッセージが生活者の「マインド・ホール」を
通過できる確率を高めることができます。
No1」という表現は『コミュニティ同調』『堅
実ストイック』へ響きます。なぜならば、
『コミュ
ニティ同調』は皆に売れているということが魅
力的に感じ、『堅実ストイック』は売れている
から間違いのない商品であるという判断をする
からです。同様に、メディアに対しても、タイ
プ別の「考え方のクセ」により有効なメディア
が異なってきます。
このように、生活者の「考え方のクセ」を的
確に捉え、「考え方のクセ」を考慮したロジカ
ルなアプローチをすることによって、伝えたい
「あなたは何タイプ?」
その場で簡易判定を体験いただきました
今回のセミナーでは、途中 30 分間
のティーブレイク時に皆様に焼き菓子
とお茶でリフレッシュしていただくと
ともに、自分は「情報×選択セグメン
ト」のどのタイプかがその場で判定で
きる体験ブースも設けました。
タブレット上の判定質問にお答えい
ただくだけで即時にタイプが判明、た
くさんの皆様に楽しみながらご体験い
ただきました。「意外だった!」「思っ
たとおりだ……」などなど、さまざま
なご感想が寄せられ、私どもにとって
もご意見やご質問も承ることができる
有意義な時間となりました。
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VR Solution Seminar
パネルディスカッション
コミュニケーション・カオスを切り拓く
∼生活者とのよりよい絆づくりのために∼
パナソニック株式会社
コミュニケーショングループ
グループマネージャー
楳谷 秀喜 様
株式会社集英社
取締役
田中 恵 様
日本テレビ放送網株式会社
編成局編成部担当部次長
福士 睦 様
慶應義塾大学大学院
経営管理研究科准教授
山本 晶 様
本セミナーでは、コミュニケーション・カオ
スの時代に、それぞれ異なるフィールドで生活
者とコミュニケーションを積極に行っている
方々にお集まりいただきパネルディスカッショ
ンを開催しました。具体的に取り組まれている
事例や抱えられている課題をお話いただくこと
で、考え方や取り組み方次第では、コミュニケー
ション・カオス時代と上手に付き合うことがで
きる、という気づきを得ることができました。
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Video Research Digest 2015. 2
ビデオリサーチ ソリューション推進局
生活者インテリジェンス部長
加治佐 康代
日本テレビの取り組みのご紹介
日本テレビ放送網株式会社 編成局編成部担当部次長 福士 睦 様
日本テレビでは、生活者の「見たいという欲
時間にあなたが見たい番組がやっています、あ
望が世界を変えていく、だから視聴者が見たい
なたの嗜好性に合った番組がこのチャンネルに
ものを見せていくのだ、と考え、「見たい、が
は絶対にあります、ということをきちんと謳っ
世界を変えていく。」というキャッチフレーズ
ていくということです。例えば、「日曜の 21
を掲げて取り組みを始めています。地上波は視
時は行列のできる法律相談所」、「金曜日の 21
聴率戦争の中、2時間以上のスペシャル番組も
時は金曜ロードショー」
多くあり、結果、見たい番組がどこでやってい
など、しっかり伝えて
るかよくわからない“カオス状態”になってい
いきます。このことに
ると感じています。そこで、テレビ欄は「視聴
より、カオス化した編
者との約束」だと捉え、カオス状態だからこそ
成 は シ ン プ ル に な り、
真摯に向き合っていかないといけないというこ
視聴者との約束を果た
とで、「習慣日テレ」というキャンペーンを始
せていると考えます。
めました。ある意味昔のテレビのように、この
集英社の取り組みのご紹介
株式会社集英社 取締役 田中 恵 様
雑誌は、読者にとってはあまり「マインド・
安くしたので手に取りやすかったのかもしれま
バリア」がなく情報を届けやすいメディアだと
せんが、新しい読者を引き入れるフックになっ
思っています。セグメント化されているし、雑
たと感じました。自発的に情報を取ろうという
誌の世界観や個性が好きな方たちが雑誌を見て
方たちは自ら選択することが好きだと思うの
くれていますし、編集者も、読者との絆が密に
で、付録あり・付録なしのどっちがいいか選ぶ
あり読者の嗜好性を理解していると自負してい
ところにも楽しみがある、そこでより強く関与
ます。ただ、最近は出版不況のこともあり、潜
しようということが起こる、ということが結果
在的な読者を掘り起こすために、生活者視点に
からも解りました。
“選べる”ということ自体
立って雑誌を届ける取り組みをしています。そ
に価値があるということです。また、コンテン
のひとつとして、読者の選択肢を増やすために、
ツを読みたいのであって付録はいらない、とい
本誌と同じサイズの付録なし版や、バッグサイ
うニーズがしっかり存在していることも実感し
ズのコンパクト版を作りました。例えば春の
ています。付録がブームになったときに、付録
「MORE」では、付録あり版で 690 円、付録な
がついていないと売れないんじゃないかと不安
し版で 500 円としましたが、前号と比較した
になることもありました。しかし、
「セブンティー
ところ、付録なし版を取り扱った書店では販売
ン」に基本は付録をつけないように変えてみま
にプラスの効果がありました。また面白かった
したが、部数は落ちませんでした。絆の強い読
のは、購買者の年齢分布が付録なし版では 20
者が多く、コンテンツを好きでいてくれている
代の割合が多くなっていたことです。500 円と
ということが改めてわかってホッとしました。
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パナソニックの取り組みのご紹介
パナソニック株式会社 コミュニケーショングループ グループマネージャー 楳谷 秀喜 様
デモグラフィックマーケティングという考え
ズということで、JAPAN のJと、こだわりを
方は十数年前から用いていますが、いわゆる年
持った上質のJで「Jコンセプト」と名づけ
齢や性別といった人口学的な考え方に加えて、
「ニッポンの心づかいと美意識をかたちに。」と
お客様のものの見方や考え方、意識も考慮して
いうワードで発信を始めています。
ターゲットを決めていくということに取り組ん
でいます。ひとつは、今年の9月に発表した「J
コンセプト」と呼んでいる家電商品があります。
Jコンセプト商品の開発にあたっては、延べ3
万人以上のお客様の声に耳を傾け、2年間にわ
たるユーザー調査をもとにアイデアを出し、新
しい商品コンセプトを練り上げました。その結
果、Jコンセプトのコアターゲットは 50 ~
60 代のシニアと呼ばれる方々ではありますが、
単に年代を考えるだけではなく、生活経験が豊
かで、ものに対する見方や意識が客観的で厳し
く、住空間や食にもこだわりをお持ちの方、
「目
利き世代」として発表しました。機能とデザイ
ンに徹底的にこだわった全く新しい家電シリー
慶應義塾大学の山本様のご意見
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科准教授 山本 晶 様
SNS が発達して、誰でも簡単に情報を発信
生活者が参加できるプラットフォームが準備
できる時代になりましたが、実は、ゼロから良
され、誰でも文章を書け、誰でもテレビ局のよ
質なコンテンツを生み出せるのはごくわずかな
うに動画を作成し配信できてしまうと思われが
人であることが、オンラインコミュニティの研
ちですが、現実はほんの一握りしかいません。
究の中でわかっています。
だからこそ、メーカーなどの企業やメディアが
消費者参加型の取り組みにおける参加者の分
創造・発信する情報は貴重といえます。
布の数字になりますが、ゼロから何か役に立つ、
価値のあるような情報を見つけ、それを長文で
きちんと紹介してアップすることができる、
「ゼ
ロから情報を創造できる」消費者は1%しかい
ません。その情報に独自の視点を加えることの
できる「編集できる消費者」は 10%程度となり、
残りの約 9 割は単なる閲覧者になります。
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Video Research Digest 2015. 2
パネルディスカッション総括
ビデオリサーチ ソリューション推進局 生活者インテリジェンス部長 加治佐 康代
ご登壇者の方々から様々なお話を伺っていく
最適な表現やメディアで伝えるために、皆様の
中で、「コミュニケーション・カオス」時代だ
“共通言語”として「考え方のクセ」をご活用
からこそ、生活者を複雑に捉えるのではなくシ
いただき、その「考え方のクセ」を理解してい
ンプルに考え、かつ、真摯に生活者の視点に立っ
るビデオリサーチが、生活者と皆様をつなぐハ
て丁寧にアプローチしていくことが有用であ
ブの役目としてお役に立てれば幸いです。
る、ということが理解できました。
当社は、これからも生活者について更なる研
また、どのようにアプローチするかに加えて、
究を進め、知見のご提供をしていく予定でおり
良質なコンテンツやプロダクトをつくることが
ます。どうぞご期待ください。
重要であり、それは、企業だからこそできるこ
ともあるように思えます。
つまり、コンテンツ・プロダクトをつくる企
業(メーカーなど)と生活者へのアプローチを
サポートする企業(メディア・広告会社など)が、
協働して、同じ生活者視点に立ち、同じ視点で
生活者の「考え方のクセ」を理解・把握するこ
とに、「コミュニケーション・カオス」時代を
生き残るヒントがあるように思います。
生活者に最適なプロダクトやコンテンツを、
「生活者」についてのご要望、お問い合せ先
生活者インテリジェンス部
[email protected]
ビデオリサーチの生活者情報発信中 !!
http://vrlounge.jpj.at
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