簾舞小学校スクールバンド 『心のしおり』

スクールバンド「心のしおり」
簾舞小学校スクールバンド
『心のしおり』
平成18年3月作成
はじめに
簾舞小学校スクールバンドは、平成元年にできてから、長い間活動を続けています。た
くさんの卒業生と、先生方にお世話になって、現在のみなさんがあります。
私はこのバンドの先生になるにあたり、このスクールバンドがいい伝統は受けついで、悪
い伝統はやめて、さらに美しい音楽をするなかまであってほしいと願っています。
この『簾舞小学校スクールバンド;心のしおり』は、そんな願いを込めて作りました。
しずかにおちついて、今の自分を見つめながら、これから先の文しょうを読んでくださ
い。このしおりは、いつでもみなさんのそばにおいて読みかえし、本校スクールバンドの
活動のめあてとしてください。
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1.まず、しっかりした簾舞っ子になりましょう!
りっぱな演奏ができる前に、何よりもまず「しっかりとした簾舞小学校の子ども」であ
ってください。このバンドは、ただしゅみの合った人たちの集まりでもなければ、音楽家
をつくるためのミュージックスクールでもありません。
「より高い人格(じんかく)をつく
る」という目的を達成(たっせい)するための一手段(しゅだん)としての音楽グループ
です。クラスにいる時も、登下校の時も「簾舞小学校の児童であり、スクールバンドのメ
ンバーである」という誇り(ほこり)と自覚(じかく)をもって行動してください。
2.礼儀(れいぎ)と温かさを
第一に言葉づかいです。乱暴(らんぼう)な言葉をつかったり、敬語(けいご)の使え
ない人がいてはいけません。講師(こうし)の先生や卒業(そつぎょう)生が見えたら、
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かるく「会釈(えしゃく)」をするか、
「こんにちは」と明るくあいさつしましょう。また、
音楽室にいらした方には温かく元気にお迎えできるよう、気配り(きくばり)をしましょ
う。だらしのない乱(みだ)れた空気や、ひんやりとした冷(つめ)たい空気でなく、礼
儀(れいぎ)正しい温かい空気をみんなの力で作ってください。明るい返事(へんじ)と
あいさつは、心をこめなければできないものです。
3.むだな時間をすごさず、頭をつかって能率的に
「バンドに入っているために時間がない、好きなことができないからやめよう」という
人は、もう一度考えなおしてみて下さい。どこかでむだな時間を使っていませんか。夜テ
レビにかじりついていませんか。友だちと長電話や、ぐちのこぼしあいをしていませんか。
勉強時間に真剣(しんけん)に先生の話に集中していますか。とにかくみなさんは他の友
だちのやっていないことをしているのです。何もしていない人とは事情(じじょう)がち
がいます。当然(とうぜん)ほかの人がしないどりょくが必要(ひつよう)です。
毎日の短い練習時間をどのようにつかうかによって、その人のうまくなる速さがきまり
ます。それはそのまま学習にもあてはまります。スクールバンドでの、短い朝の時間をど
う使っていくかを自分でくふうしていくことは、絶対に今後のみなさんの生き方にプラス
になっていきます。
4.何事にもすなおな態度で
病気の時、なやんでいる時、いくらよい音を出そうとしても出るものではありません。
音はその時の体や心の状態(じょうたい)をそのまま表現(ひょうげん)する力をもって
います。何よりもまず、先生にすなおについてきて下さい。また、講師(こうし)、卒業生
(そつぎょうせい)、上級生(じょうきゅうせい)
、その他いろいろな人から注意されたら、
すなおに聞く耳をもってください。それができる人は演奏の上達(じょうたつ)も早く、
人から信頼(しんらい)され、逆(ぎゃく)にわがままで人をゆるすことができない、が
まんのできない人は、合奏(がっそう)にもとけこめず、何かで自分が失敗(しっぱい)
しても人はそれをゆるさないでしょう。学校でも家でもすなおになれるよう、一人一人が
どりょくしてください。自分に少しでも悪いところがあると気がついたら、すぐにあやま
りましょう。その心がけはそのまま演奏に出ます。
5.何ごとも相手(あいて)の立場(たちば)になって
どんな時でも相手の立場(たちば)や気もちになって話し合って下さい。怒(おこ)る
ことはやさしいけれども、我慢(がまん)することは本当にむずかしいものです。自分中
心のものの考え方しかできない人はバンドのメンバーとは言えません。また、話し合う時
も相手をこわがらせたり不安(ふあん)にさせたりするような、一人をたくさんの人でか
こむようなやりかたはよくありません。いつも相手の立場になって「もし自分だったら」
と考えながら話し合うことが「なかのいいバンド」を作る上にたいせつなことなのです。
協力(きょうりょく)しあい家族(かぞく)のように信頼(しんらい)し合って、心やす
まるバンドができれば、練習も明るく、楽しいものになり、
「ぼくも、わたしもやってみた
い」と思ってくれる友だちがたくさんでてくるでしょう。
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6.グループを作らないで
このバンドは横のつながり『学年』と、縦(たて)のつながり『パート』とが、しっか
りと組み合わされてできています。上級生(じょうきゅうせい)を中心としたパートごと
のチームワークと、学年ごとのチームワークが必要となります。チームワークのどこか一
つでも乱(みだ)れると、音色やリズムが合わなくなり、何よりも「心をひとつにした」
演奏ができなくなります。
小さなグループを作って、別(べつ)行動をとったり、気の合った人たちだけでグチを
こぼしあったり、かげ口を言い合ったり、きまった人だけとつきあったりすることは、そ
のたいせつなチームワークを作る上で問題(もんだい)となります。なぜこのようなこと
がバンド内であると困(こま)るのでしょうか。自分のことしか考えない行動の後ろには
必(かなら)ずその事で苦しむ人や悲(かな)しむ人を作ってしまうからなのです。男子
女子の区別(くべつ)なく、なかまを公平(こうへい)に見ること、だれとでも話し合え
ることこそが、よいチームワークのポイントなのです。チームワークがとれないバンドは
一人一人がどんなにうまくても、また、それぞれに必死(ひっし)にどれだけどりょくし
ても、むくわれることはないということを忘れないで下さい。
7.楽器(がっき)と楽譜(がくふ)をたいせつに
みなさんがもし、ケガをしたら、大さわぎで手当てをするでしょう。いたいところやぐ
あいの悪いところも人に言えるでしょう。しかし、楽器はものが言えません。みなさん一
人一人がたいせつに手入れすることによって楽器に生命(いのち)がふきこまれるのです。
楽器だけではありません。楽譜(がくふ)もみなさんの体の一部(いちぶ)と考えてたい
せつに、そしてどんどん書きこみして、自分のものにして下さい。楽器やふめんだいをい
ためたり、楽譜をなくしたり、ファイル、イスなどを乱暴(らんぼう)にあつかったまま
平気でいられる人は、自分の子どもをだいじにしない親のように、人としてもいいかげん
で、思いやりのない人になってしまい、ものもいうことを聞かなくなってしまいます。
8.体にはじゅうぶん気をつけて
ひびきのあるいい音を演奏するためには、健康(けんこう)な体をつくらなければいけ
ません。そのためにも規則(きそく)正しい生活を送ることがたいせつです。しっかりと
睡眠(すいみん)をとり(そのためにも夜ふかしをしないで)
、好ききらいをしないで栄養
(えいよう)のバランスがとれた正しい食生活をする必要(ひつよう)があります。どん
なにがんばりたくとも、体が弱かったり、いつもどこかの調子(ちょうし)が悪かったり
してはがんばれるものではありません。とくに小学生は体が大きく成長する時です。少し
でも異常(いじょう)があったらすぐに申し出ること。しっかりと休んで一日も早く元気
になるようにし、また活動を続けて下さい。むりをして病気を重(おも)くしたり、いざ
というときにだいじな本番(ほんばん)近くの練習を休んだりすることは、それまでの苦
労(くろう)が水のあわとなってしまいます。そのためにもうがい・手あらいをしっかり
するなどの健康管理(けんこうかんり)を自分でしっかりとしていきましょう。
9.連絡(れんらく)、相談(そうだん)をわすれずに
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毎日の練習はたいせつです。でも、ぐあいの悪いときにむりをするひつようはありませ
ん。また、家のじじょうで練習にどうしてもこられない人もいるでしょう。そうしたとき
はかならず連絡(れんらく)をしてください。スクールバンドの活動時間は短く、少ない
時間をだいじにするため計画をもってすすんでいます。とつぜん休むこと(ドタキャン)
は、計画していることができなくなり、がんばっている人たちにめいわくをかけてしまう
ばかりか、
「ただなまけて休んでいるのでは?」と思われかねません。ぐあいが悪いときは
しかたがありませんが、前もってわかっているときは、早めに連絡をしましょう。
また、練習の出席をとるときに何も連絡をしないで休んでいる人がいると「ひょっとし
てくるとちゅうに事故(じこ)があったのでは」と心配になります。休むときだけではな
く、やむをえず練習におくれるときもかならず連絡を入れるようにしてください。
また、こまったことがあるときは一人でなやまずに相談をしてください。バンドのこと
はもちろん、学級のことやそのほかのことでも、同じバンドのなかまとして先生や上級生
(じょうきゅうせい)、また友だちなどに相談(そうだん)して心をすっきりさせていきま
しょう。一人でなやんでいては、練習にしっかりとのぞめません。明るく学校生活をおく
っていくためにも、だいじなことです。
10.はじめての時のことを思い出して
くるしい時、つらいと思う時、かなしくて(やめてしまいたい)と思う時、思い出して
ください。はじめて楽器を手にした時のことを、はじめてはくしゅをあびた時のことを、
大きな会場ですべてを出しつくしたコンクールや演奏会の感動(かんどう)を、体育館で
友だちから「ガンバレー!」と大声援(だいせいえん)をあびた時のよろこびを。ほかの
人の生活がうらやましいと思った時は、いろいろな場面での自分の気もちを思い出してみ
てください。きっと成長した自分に気づくはずです。
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最後に
この『心のしおり』にかかれてあるのは、人として生きていくうえにはごくあたりまえ
のことです。そして、小学生のみなさんにはできないことではないと思います。スクール
バンドで活動(かつどう)するみなさんには、これらのことをまもってもらわなければ、
よい音づくりはできません。これらのことがまもれたとき時、簾舞小学校スクールバンド
のすばらしい音づくりができるのです。きいている人を感動(かんどう)させる音楽を演
奏することができるのです。また、このバンドを最後までまじめにやって卒業できたなら、
その後の人生の中できっと役に立つ何かがあるでしょう。
この「心のしおり」に書いてあることを、みんなからすかれるいい人になるためにも、
自分の力をためすためにも、いつも心にとめて行動してください。
先生もがんばります。しっかりとあとについてきて下さい。
簾舞小学校スクールバンド
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塩田
英樹