(2015 年 12 月号掲載) 群馬県内企業の資金・資本調達ニーズに関わる意識調査 ~「投資ファンド」についての意識を中心に~ 一般財団法人群馬経済研究所 主任研究員 斎藤 知宏 【 要 約 】 1.企業にはその成長・成熟度に応じた資金ニーズがあるが、特に調達力の弱い創業期や事業 再生期には「投資」としての資金供給が必要である。 2. 投資ファンドは、投資家から資金を集め幅広い企業に投資し、また経営にも参画して長期 的な投資スタンスで企業価値を高めようとするものである。 3. 当研究所が県内企業を対象に行ったアンケートによれば、これまでに増資の経験があると 回答した企業は6割で、多くは事業規模の拡大や信用力の向上などを目的としたものだが、 その出資者は経営者・役員がほとんどであった。 4.県内企業は今後の資金調達について、社債発行や借入金を挙げるなど、依然として金融機 関に依存している。一方、ファンドからの投資を挙げる企業は極めて少数だった。 5.これまでファンドから資金を調達したことがある企業は全体の 1.8%にとどまり、 60%以上の企業はファンド自体を「あまりよく知らない」「まったく知らない」と回 答している。また、「金融機関から資金を借りられれば、ファンドからの調達は不 要」とした意見が多かった。 6.中小企業がファンドの資金を積極的に活用するためには、金融機関やファンド側に何を望 むかを聞いたところ、「手続きや管理業務の負担を軽くする」ことや、金融機関が「融資も 投資も一つの窓口で提案してくれる」ことが多く挙がった。 7.自社が投資の対象になった場合の対応では、総じて「まず投資を受けるための条件を検討 し判断する」、という回答が多かった。ただし、従業員 300 人以上の企業や、代表者・親族 の株式シェアが 50%未満の企業では、投資を「受け入れない」傾向が最も多かった。 8.新規ビジネスを地域の手で大きく育てるには、地域金融機関は地域経済のリーダーとし て、融資・投資の両面から企業にとってどのような調達の形が望ましいのかなどをアドバイ スしていくことが望まれている。
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