東京支部通信特別号_A3 (Page 2)

平成21年3月
特別号
会員の業務を支援する研究成果物が完成
クレーム・トラブル対処法(増補改訂版)
賃貸管理実務相談事例集
「賃貸管理実務相談事例集」は、日管
協総合研究所が借主・貸主・不動産会社
等から受けてきた相談事例のうち、とく
に件数の多いものをピックアップ。Q&A
方式で取りまとめ、関連法令や条文、判
決などを織り込んで、わかりやすくまと
めたものです。
「当研究所では、約11年前から、年間
約450件に及ぶさまざまな相談に対応し、
トラブル解決のためのアドバイスをして
きました。この本は、約10年間に及ぶ成
果をまとめてありますので、皆様の紛争
防止に少しでも役立てていただけたら幸
いです」(日管協総合研究所主任研究所
員・今田好邦氏)
。
法務研究会が平成10年に発刊した「ク
レーム・トラブル対処法」を改訂しま
した。
社会環境や法令等の変化に応じて内
容を整理・加筆したほか、この10年間の
法改正等に伴うQ&Aを追加。法的には
簡単に白黒のつかないクレーム・トラ
ブルも多くありますが、特に難しい問
題については、対応の参考になるよう
「各社の事例・意見」を記載しています。
「会員各社の皆さんには、社員研修
やトラブル発生時にご活用していただ
きたい」
(法務研究会長・土岐勝哉氏)
。
6ヵ国語対応「部屋探しのガイドブック」
サブリース管理の借上賃料計算プログラム
当協会が参画する「あんしん賃貸住宅
サブリース協議会は、簡単な項
同協議会が平成19年にまとめた
推進協議会」が、あんしん賃貸住宅協力
目を入力するだけで、借上げ賃料
「サブリースにおける借上げ賃料査
店向けに「部屋探しのガイドブック」を
を算出できるプログラム(賃貸住
定に関する研究報告書」の趣旨を
作成しました。
宅用)を作成しました。
電子化したもの。プログラムは当
国内の外国人が急増している現状を受
協会ホームページに掲載されてい
け、外国人が日本で部屋探しをするとき
ます。「これを利用することで、借
に必要な基礎知識などを日本語、英語、
上げ賃料が各種要因によって変動
中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガ
することがわかります。オーナー
ル語の6ヵ国語でまとめたものです。
や従業員のみなさんにどのくらい
の借上げ賃料が妥当かを判断する
「言葉がしゃべれなくても、ページを
材料として使っていただきたい」
開いて説明していくことで、コミュニケ
(サブリース協議会長代行・多田博
ーションが取れる仕組みです」(国際交
雄氏)
。
流委員長・荻野政男氏)
。
講演会
管理の質を高め、
差別化することが
最大のリスク回避策
また、賃料の集金業務においてむや
みに取り立てを行なうことは、弁護士
法における「非弁行為」に抵触する点、
債権管理回収業に関する特別措置法
(サービサー法)においても、同法に
定める金銭債権に賃料債権は含まれ
テーマ:賃貸管理会社のリスク
と倒産の場合の対策に
ついて
講師:亀井英樹氏(当協会顧問、
弁護士)
ず、同法による取立ても同じく非弁行
為に問われると指摘しました。もちろ
ん、こうした賃料の不払いが発生した
場合、それを理由にした賃貸借契約の
解除も可能ですが「背信性がない場合
熱心に学ぶ参加者たち
総会に先立ち行なわれた講演会で
は、亀井英樹弁護士が賃貸管理業務の
性質が一応認められています。しかし、
とで、莫大な損害賠償請求をされる可
各場面において発生するリスクなどに
「消費者契約法違反の疑いありとして、
能性があります」
(同氏)
。この延長で、
常に争われる危険性があります。賃貸
滞納以外の理由による契約解除につい
借契約は特約の固まりであり、敷金で
ても、相当の困難が伴う、と指摘しま
一段落というわけにはいかないでしょ
す。
ついて解説しました。
亀井氏はまず、「委任契約としての
賃貸管理委託契約」における業者の基
亀井 英樹氏
本的義務である「報告義務」の重要性
は、権利濫用として解除が認められな
に触れ、「クレームやトラブルが発生
いケースもあります。滞納があったら
また、「貸鍵施設契約」による自力
きちんと記録して証拠化し、いざ裁判
した時きちんと報告することで、業者
始末書を取り、それを保管しておくな
救済が問題となった明渡業務について
となったとき使えるよう準備しておく
からオーナーに義務が移転します。報
ど、日常の管理をしっかりしておけば、
は、
「法的手続きが必要。賃貸借契約
ことです。証拠があれば、使用目的違
告義務を怠ったことでオーナーに被害
信頼関係の破壊行為として認められる
に自力救済条項があっても、住戸へ勝
反として信頼関係の破壊による契約の
が生じた場合、債務不履行による損害
でしょう」
(同氏)
。
手に侵入する、残置物を処分するとい
解除が認められるでしょう。日常の管
った行為は絶対してはいけません。あ
理が重要なのです」
(同氏)
。
賠償責任を負うことになります」
。
う」
(同氏)
。
敷金や更新料については、その法的
〈2〉
「借主に違法な行為があった場合は、