研究の概要 (1)研究主題 主体的に学び,自分の思いや考えを伝え合う子どもの育成 ~国語科「読むこと」を窓口にした複式授業の構築~ (2)研究主題設定の理由 本校では,平成 21 年度から3年間にわたり「主体的に考え,生き生きと学び合う子の育成」を目 指して,算数科を窓口に,自らの考えを表現し,「わかる」「できる」喜びを感じ,生き生きと学 び合う子どもの育成を図るための研究を進めてきた。特に,子ども一人一人が自らの考えを表現す るための表現活動を支える「板書の在り方」「ノート指導」「話し方の工夫」「交流場面での教師 の指導・支援の在り方」を主とした研究を進める中で,子どもたちは根拠をもって自分の考えを表 現できるようになり,他の考えとの比較・検討から本時の目標につながる交流活動を行えるように なった。 しかし,算数科で培った子どもたちの態度や能力を,他教科・他領域に広げ,自分の考えを発表・ 交流しながら,理解を深められるようにすることが課題として残された。また,本校が平成 25 年度 から完全複式学級となることから,学年の発達段階を踏まえた複式授業の在り方を確立し,教師が 効率的・効果的に授業を進めるとともに,子どもたち自身が主体的に学習を進めていくことができ る力を身に付けさせるための創意工夫が求められている。 さらに,各教科において言語活動の充実が求められていることや,本校の子どもたちの課題であ る「音読の力」「話す力」「聞く力」「要旨をとらえる力」などを解決し,「すらすらと文章を読 む」「言いたい事を相手に伝わるように話す」「話や文章の要点をとらえることができる」など, 実生活に生きてはたらく言葉の力を身に付けさせる必要性があることから,研究の窓口を「国語科」 に設定した。その中でも,本校では,複式授業での難しさを感じている「読むこと」の領域を研究 の中心に据えることにより,他領域・他教科の複式授業にも繋がる指導形態を構築することができ ると考え,本研究主題を設定した。 (3)研究主題のおさえ 主体的に学び,自分の思いや考えを伝え合う子どもの育成 (主体的に学習に取り組む態度) (思考力・判断力・表現力等) □主体的に学習に取り組む態度 = 学習意欲 ○基本的な学習習慣を身に付け,学習に向かう準備が習慣化している。 ○学習対象となる様々な事柄に興味・関心をもち,積極的にかかわることができる。 ○課題解決に向けて,見通しをもって学習を進めることができる。 □思考力・判断力・表現力等 〈個として〉 ○場面や状況などに応じて,文章や話し手の目的・意図を正確に理解できる。 ⇒「正確に理解する能力」 ○目的や意図に応じて,順序立てて話したり,文章の構成を考えて書いたりすることができる。 ⇒「適切に表現する能力」 ○理由や根拠を示しながら,筋道を立てて自分の考えを伝えることができる。 ⇒「論理的に思考する力」 ○目的をもって情報を取り出し,知識や経験と結び付けて思いや考えを伝えることができる。 ⇒「新たな発想や思考を創造する力」 〈集団として〉 ○他の考えとの比較・検討から,話したり書いたりすることで自分の考えを深めることができる。 ⇒「伝う合う力」 (4)目指す子ども像 本校では,子どもたちの実態を交流し,学習指導要領「国語科」における目標と照らし合わせな がら,発達段階に応じて,各学年で目指す子ども像を下記のように具体化した。また,そのために 必要とされる「話す力」「聞く力」「読む力」「書く力」を洗い出し,学年ごとに明示することに より,国語科の指導内容の研究において,取り組むべき方向性を明確にした。 【目指す子ども像】 主体的に学習を進め,論理的に考えながら課題解決に取り組み,思いや考えを自分なりに伝え合う子 【各学年における目指す子どもの姿】 低学年 中学年 高学年 ◎よく聞き,自分の思いや考え ◎相手の考えと比べながら,自 ◎みんなの考えを比べて,考え を伝えられる子 話 す く を伝え合える子 ○話す事柄を順序立てて話す ○相手や目的に応じて,理由や ○自分の意見と比べながら考 ことができる。 力 聞 分の考えを伝えられる子 例を挙げながら筋道を立て えをまとめ,話すことができ て話すことができる。 る。 ○大事なことを落とさずに聞 ○話の中心に気を付けて聞く ○話し手の意図をとらえなが くことができる。 ことができる。 ら聞くことができる。 力 書 く ○つながりのある文や文章を ○書こうとする中心を明確に ○目的や意図に応じて,文章全 書くことができる。 力 し,構成を意識して書くこと 体の構成の効果を考えて書 ができる。 くことができる。 ○語のまとまりや言葉の響き ○内容の中心や様子がわかる ○意図や思いが伝わるように 読 に気を付けて音読できる。 む ○文章の内容の大体をつかむ 力 ことができる。 ように音読することができ る。 ○中心となる語や文をとらえ 読むことができる。 音読や朗読ができる。 ○文章の内容を的確におさえ て要旨を読むことができる。 (5)研究の仮説 複式の学習指導において,指導計画や授業展開を工夫し,目標・指導・評価を一体化することに より,主体的に学習を進め,論理的に考えながら課題解決に取り組み,思いや考えを自分なりに伝 え合う子どもを育てることができるであろう。 (6)研究内容 【具体仮説1】 【具体仮説2】 【具体仮説3】 複式の国語科の指導計画に おいて,単元を貫く言語活動や 基礎的・基本的な知識・技能を 明確にし,学習課題を吟味する ことにより,主体的に学習を進 める子を育てることができる であろう。 複式の国語科の授業展開に おいて,問題解決的な学習過程 を基盤とした指導形態や,発 表・交流の形態,発問を工夫す ることにより,論理的に考えな がら課題解決に取り組む子を 育てることができるであろう。 指導計画の各段階におい て,子ども一人一人の学習状 況を把握し,個に応じた指導 を充実させることにより,思 いや考えを自分なりに伝え合 う子を育てることができるで あろう。 〈研究内容1〉 〈研究内容2〉 〈研究内容3〉 ○指導計画の工夫 ○授業展開の工夫 ○目標・指導・評価の一体化 ・単元を貫く言語活動(指導事 項)の明確化 ・基礎的・基本的な知識・技能 の明確化 ・学習課題の吟味 ・問題解決的な学習過程を基 盤とした指導形態の工夫 ・発表・交流の工夫 ・思考を促す発問の工夫 ・子どもの実態を把握する診 断的評価の在り方 ・指導に生かす形成的評価の 在り方 ・単元の目標達成状況を把握 する総括的評価の在り方 (7) 研究計画 学 期 1 学 期 2 学 期 3 学 期 1年次(平成 25 年度) (研究計画の構想と立案) ○研究主題の設定 〇仮説の設定 ○研究内容の構想 ■指導主事による講義 「複式授業における国語科 指導の在り方」についての 学習会 2年次(平成 26 年度) (実践研究の蓄積と検証) ○研究仮説の修正 ・1年次の課題を踏まえた研 究仮説の修正 〇研究内容の修正 ・修正した仮説に基づく研究 内容の具体化 3年次(平成 27 年度) (実践研究の検証と発展) ○研究推進計画の見直し 〇研究内容の修正 ・2年次の課題を踏まえた研 究内容の検討 〇検証のための実践 ・研究授業 ○検証のための実践 ・研究授業と協議会 ■外部からの参観者を招いて の研究協議と協議会 「複式授業における国語科指 導の在り方」について 〇研究結果の整理 ・成果と課題の把握 ○検証のための実践 ・授業研究 ■公開研究会の実施 〇研究結果の処理 ・研究紀要の作成 ○研究結果の整理 ・成果と課題の把握 〇研究全体のまとめ 〇次年度の研究について (8)研究構造図 【学校の教育目標】 よく考える子 じょうぶな子 思いやりのある子 【重点教育目標】 自ら学び 認め合い やりぬく子の育成 ~確かな学力の向上,健康・安全・体力の向上,豊かな心の育成~ 【研究主題】 主体的に学び,自分の思いや考えを伝え合う子どもの育成 ~国語科「読むこと」を窓口にした複式授業の構築~ 【目指す子ども 【目指す子ども像】 子ども像】 主体的に学習を進め,論理的に考えながら課題解決に取り組み,思いや考えを自分なりに伝え合う子 【研究の仮説】 【研究の仮説】 複式の学習指導において,指導計画や授業展開を工夫し,目標・指導・評価を一体化することにより, 主体的に学習を進め,論理的に考えながら課題解決に取り組み,思いや考えを自分なりに伝え合う子ど もを育てることができるであろう。 【具体仮説1】 複式の国語科の指導計画にお いて,単元を貫く言語活動や基 礎的・基本的な知識・技能を明 確にし,学習課題を吟味するこ とにより,主体的に学習を進め る子を育てることができるであ ろう。 【具体仮説2】 複式の国語科の授業展開にお いて,問題解決的な学習過程を基 盤とした指導形態や,発表・交流 の形態,発問を工夫することによ り,論理的に考えながら課題解決 に取り組む子を育てることがで きるであろう。 【具体仮説3】 指導計画の各段階において,子 ども一人一人の学習状況を把握 し,個に応じた指導を充実させる ことにより,思いや考えを自分な りに伝え合う子を育てることが できるであろう。 〈研究内容1〉 ○指導計画の工夫 ・単元を貫く言語活動(指導事 項)の明確化 ・基礎的・基本的な知識・技 能の明確化 ・学習課題の吟味 〈研究内容2〉 ○授業展開の工夫 ・問題解決的な学習過程を基 盤とした指導形態の工夫 ・発表・交流の工夫 ・思考を促す発問の工夫 〈研究内容3〉 ○目標・指導・評価の一体化 ・子どもの実態を把握する診 断的評価の在り方 ・指導に生かす形成的評価の 在り方 ・単元の目標達成状況を把握 する総括的評価の在り方 評 価 計 画 展 開
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