久米南町 地域公共交通網形成計画

久米南町
地域公共交通網形成計画
【概要版】
平 成 27 年 3 月
岡 山 県久 米 南 町
計画の策定にあたって
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計画の策定にあたって
計画策定の趣旨
久米南町では、民間のバス事業者やタクシー事業者がすべて撤退・廃業したことにより、公共交
通機関としては鉄道(JR 津山線)と、平成 17 年より町が無償で運行する町民バスのみが運行され
ています。町民バスは小中学生の通学や山間部の移動手段として利用されていますが、少子高齢化
と人口減少が進む中、公共交通空白地域の解消や、効率的な運行に向けた見直しが必要であり、だ
れもが安全・安心・快適に利用できる公共交通の確保が課題となっています。
このような状況のもと、現在の公共交通体系を見直すことで、公共交通空白地域に住まわれてい
る方や高齢者の方等の移動手段を確保し、まちづくりと連携した面的かつ持続可能な公共交通ネッ
トワークを構築することを目的に「久米南町地域公共交通網形成計画」を策定することとしました。
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計画の位置づけ
本計画は、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく法定計画であり、町の基本
的な施策の方向性を示す「第 5 次久米南町振興計画」(平成 24 年 3 月策定:計画期間 10 年間)を
上位計画とし、町のほかの関連計画を踏まえ策定しています。
交通政策基本法(平成 25 年 12 ⽉施⾏)
日常生活等に必要不可⽋な
交通手段の確保等
まちづくりの観点からの
交通施策の促進
関係者相互間の連携と
協働の促進
地域公共交通活性化・再生法の一部改正(平成 26 年 11 ⽉施⾏)
まちづくり、観光振興等の
地域戦略との一体性の確保
地域全体を⾒渡した総合
的な公共交通網の形成
地域特性に応じた多様な
交通サービスの組合せ
住⺠の協⼒を含
む関係者の連携
第 5 次久米南町振興計画
上位計画
キャッチフレーズ「いいひと いっぱい 久米南町」
基本目標
久米南町
地域公共交通網形成計画
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関連計画
町⺠参画
地域活性
安心安全
定住促進
健康増進
教育振興
■
久米南町過疎地域⾃⽴促進市町村計画
■
久米南町地域福祉計画
■
久米南町高齢者保健福祉計画
計画の区域
計画の区域は、久米南町全域とします。
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計画の期間
計画の期間は、平成 27 年度から平成 31 年度までの 5 年間とします。
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計画の策定にあたって
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久米南町の公共交通の課題と対応方針
公共交通を取り巻く課題
計画策定にあたり、町内の全世帯を対象としたアンケート調査(平成 25 年度)や、デマンド交
通の試験運行(平成 26 年度)を行い、公共交通の利用実態やニーズを把握したほか、人口や高齢
化、主要施設の分布、公共交通に対する財政負担等に関する調査・分析を行いました。
その結果、久米南町の公共交通を取り巻く課題は、次のとおり整理することができます。
(1) 地形や移動ニーズと町民バスの運行形態との不整合
南北に通る幹線道路・鉄道の東西の丘陵地に集落が点在しているため、決まった路線や時
刻で走るバスの効率的な運行が成立しにくいという特徴があります。
町民バスはスクールバス機能を優先した運行となっているため、一般の利用者が満員で利
用できないとか、通院等で利用する際に時刻が合わないといった状況が生じています。
(2) 公共交通空白地域の存在
町民バスの路線網は町内の多くの地域をカバーできているものの、西山寺、仏教寺、山ノ
城といった公共交通を利用できない地域も存在しています。
公共交通空白地域を解消し、町民の外出機会を増やすためにも、通院や買い物で気軽に利
用することのできる、地域を面的にカバーする公共交通の確保が求められています。
(3) 町外への移動を支える広域交通との連携
町民バスは弓削駅等で JR 津山線と接続していますが、乗り継ぎを意識したダイヤ調整は
行われていません。
住民アンケート調査やデマンド交通の試験運行では、町外の医療機関等へ移動する際の利
便性の向上を望む声があります。
(4) 地域拠点の活力向上と維持・充実
試験運行において「久米南のりあいタクシー」を利用した人のうちの 3 割近くが、試験運
行によって「外出機会が増加した」と答えています。
日常生活を支える地域拠点に出かけやすい公共交通体系の構築とあわせて、まちづくりと
連携した交流拠点づくりを進めることで、町民の外出機会の増加を図ることが必要です。
(5) 協働による事業の推進体制の構築
アンケート調査によると、町民バスを利用したことのある人は 13%にとどまっています。
住民・交通事業者・行政の連携による事業の推進体制を構築し、公共交通の認知度をさら
に高め、利用してもらうきっかけをつくることが重要です。
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課題への対応にあたっての基本的な方針
第 5 次振興計画に掲げるキャッチフレーズ「いいひと いっぱい 久米南町」と 6 つの基本目標の
ほか、町の関連計画や国の施策等を踏まえ、課題への対応にあたっての基本的な方針を次のとおり
定めます。
基本的な方針
公共交通で「ひと」と「まち」をつなぎ、
持続可能な地域を形成する
久米南町の公共交通の課題と対応方針
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計画の目標と具体的な事業内容
計画の目標と評価指標
計画の基本的な方針である『公共交通で「ひと」と「まち」をつなぎ、持続可能な地域を形成す
る』とは、誰もが安心・安全・快適に、行きたいところに行くことができる効率的な交通サービス
をつくり、将来にわたって守り、育てていくことを表します。
したがって、本計画では、第 5 次振興計画の 6 つの基本方針をキーワードとして、「町民だれも
が日常的に利用できる公共交通」
「まちの魅力を高め、
『ひと』がいきいきと交流できる公共交通」
「協働により守り、育て、未来につなげる公共交通」という 3 つの目標を掲げ、具体的な事業に取
り組むこととします。
また、それぞれの事業ごとに、具体的な数値目標による評価指標を設定し、目標の達成状況に関
する定量的な評価を行います。
目標1
町民だれもが日常的に利用できる公共交通
(公共交通そのものの品質を高める取組)
目標2
事業①
デマンド交通の導入
公共交通空白地域の
居住⼈口割合
事業②
スクールバスの運⾏
小中学校の生徒数に対する
スクールバスの利⽤率
事業③
近隣市町とを結ぶ
交通サービスの充実
JR 津山線と接続する
デマンド交通の便数
まちの魅力を高め、「ひと」がいきいきと交流できる公共交通
(品質を高めた公共交通の利⽤促進を図る取組)
目標3
評価指標
事業①
地域と連携した公共交通の
利活⽤による外出促進
⾃由に使える⾃動⾞を持たない⼈の
外出回数
事業②
「ひと」が集う
交流拠点づくり
地域と連携した待合スペースや
交流拠点の確保数
協働により守り、育て、未来につなげる公共交通
(便利になった公共交通をみんなで維持する取組)
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評価指標
評価指標
事業①
公共交通を地域で支える
仕組みの構築
地域住⺠による公共交通の
検討組織数
事業②
公共交通を利⽤する
きっかけづくり
地域住⺠の参画する検討会や、住⺠
説明会及び意⾒交換会の開催件数
計画の目標と具体的な事業内容
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目標を達成するために行う事業及びその実施主体に関する事項
目標1
事業①
町民だれもが日常的に利用できる公共交通
デマンド交通の導入
平成 27 年度中に、町全域においてデマ
ンド交通の試験運行を行います。
事業内容
試験運行の結果を踏まえ、平成 28 年度
以降より、デマンド交通の本格運行を開
始します。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者
実施時期
事業②
事業内容
平成 27 年度中に試験運行
写真:試験運行車両(H26 年度)
平成 28 年度以降より本格運行
スクールバスの運⾏
小中学生が確実に通学することができ
るよう、児童・生徒の人数や居住地分布、
学校の始業・終業時刻にあわせて、時刻
や運行経路の見直しを行います。
写真:試験運行乗降場所(H26 年度)
新たに導入するデマンド交通を補完す
る交通手段としてスクールバスを位置
づけ、デマンド交通との役割分担による
効率的な運用方法を検討します。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、教育委員会
継続実施
実 施 時 期 平成 28 年度以降のデマンド交通の本格運行
に合わせ運行形態を見直し
事業③
写真:町民バス(スクールバス)車両
近隣市町とを結ぶ交通サービスの充実
デマンド交通と JR 津山線とを短い時間
で乗り継ぐことができるよう、交通結節
点における接続を図ります。
事業内容
町内と近隣市町の医療機関等とを直接
結ぶ交通手段について、既存の交通資源
の活用や、新たな交通手段の確保策を検
討します。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、医療機関等
平成 27 年度に検討・調整
写真:交通結節点(弓削駅)
実 施 時 期 平成 28 年度以降のデマンド交通の本格運行
に合わせ実施
計画の目標と具体的な事業内容
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目標 2
事業①
まちの魅力を高め、「ひと」がいきいきと交流できる公共交通
地域と連携した公共交通の利活⽤による外出促進
デマンド交通のダイヤにあわせた診察時間の予約や、薬の受け取りを行うサービ
スの導入に向けた検討を行います。
事業内容
公共交通での来店者に対する運賃割引や荷物運搬サービス、公共交通を活用した
地域産品の集出荷等の導入に向けた検討を行います。
タクシーを公共交通として位置づけた上で、タクシー利用券の配布を含め、タク
シーによる救援事業(買い物代行や薬の受取等)の導入に向けた検討を行います。
町社会福祉協議会が実施している通所サービスと公共交通との連携に向けた検討
を行います。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、医療機関、商業施設、社会福祉協議会等
実施時期
平成 27 年度に検討・調整
平成 28 年度より事業化が可能な取組から実施
写真:道の駅くめなん
事業②
事業内容
写真:公共交通で地元の特産物を運ぶ
(島根県益田市の例)
「ひと」が集う交流拠点づくり
町内の医療機関、薬局、商業店舗及び公共施設等と連携して、店内や施設の中で
到着を待ちながら利用者が集うことのできる待合スペースを確保します。
駅や町役場等の交通結節点において、待合施設や駐輪場等の整備を行うとともに、
地域との協働による維持管理を行います。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、医療機関、商業施設等
実 施 時 期 平成 27 年度より適宜実施
写真:町民バス発着場所
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計画の目標と具体的な事業内容
目標 3
事業①
協働により守り、育て、未来につなげる公共交通
公共交通を地域で支える仕組みの構築
事 業 内 容
「広報くめなん」や町の web サイト等を活用して、
公共交通の利用実態や取組についての情報を提供し、
地域で公共交通を支える意識の醸成を図ります。
「○○地域の公共交通を考える会」等、地域単位で公
共交通について考える検討組織をつくります。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、地域住民
実 施 時 期 平成 27 年度より適宜実施
事業②
公共交通を利⽤するきっかけづくり
画像:利用促進冊子(例)
公共交通の重要性やデマンド交通の利用方法についての理解を深める住民説明会
や、地域住民との意見交換会を開催します。
事業内容
公共交通利用促進冊子や時刻表等を作成・配布します。
町外からの来訪者(観光客等)に対して提供する公共交通に関する情報の充実を
図ります。
事 業 主 体 久米南町、交通事業者、観光協会、地域住民
実 施 時 期 平成 27 年度より適宜実施
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計画の達成状況の評価に関する事項
事業の実施にあたっては、社会環境や町民のニーズの変化にあわせ事業内容を適宜改善すること
が必要です。このため、Plan(事業計画の策定)、Do(事業の実施)、Check(評価・検証)、Act
(改善)からなる PDCA サイクルを機能させながら計画を推進します。また、PDCA サイクルの運
用にあたっては、5 年間の計画期間全体を対象として目標の達成度を評価する大きなサイクルと、
年度ごとの事業実施状況を評価するための小さなサイクルを組み合わせて進行管理を行います。
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事業スケジュール
計画の目標
(1) 町 民 だ れ も が 日 常
的に利用できる公共交
通
事業
①デマンド交通の導入
②スクールバスの運行
H27
H28
試行
運行継続
③近隣市町とを結ぶ交通サービスの充実 検討調整
(2)まちの魅力を高め、 ①地域と連携した公共交通の利活用による外出促進 検討調整
「ひと」がいきいきと
②「ひと」が集う交流拠点づくり
交流できる公共交通
(3)協働により守り、育
て、未来につなげる公
共交通
H29
H30
H31
本格運行
本格運行にあわせ見直し
本格運行にあわせ実施
事業化が可能な取組から実施
適宜実施
①公共交通を地域で支える仕組みの構築
適宜実施
②公共交通を利用するきっかけづくり
適宜実施
計画の目標と具体的な事業内容
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久米南町地域公共交通網形成計画【概要版】
発 行 久米南町地域公共交通会議
編 集 久米南町総務企画課
〒709-3614 岡山県久米郡久米南町下弓削 502-1
電話 086-728-2111