この時期の検査と言ったら? ~心臓の血管造影検査~ 診療放射線科 鴨川 真也 寒い時期の病気でまず頭に浮かぶのがインフルエンザなど感染性の病気ですが、命に関 わる病気も増えてきます。それは「急性心筋梗塞」と呼ばれる病気です。この病気は心臓 を養う冠動脈と言う心臓に栄養を送る血管の内部が狭くなり、血液の流れが制限されて起 こる病気で、早期に血管の流れを改善しないと心臓の機能低下や死に至る怖い病気で突然 死の一つともされています。 菊川市立総合病院でも毎年 12 月から 2 月の時期に急性心筋梗塞疑いの患者さんが増えて きます。急性があるのでもちろん慢性もありますが、慢性の心筋梗塞は症状が安定してい る場合が多いので急を要しての治療対象とはなりません。 菊川市立総合病院では、この検査・治療を年間約 280 件行っていますが急性心筋梗塞の 場合、検査・治療は概ね、発症から 6 時間~12 時間以内に行えば効果があると一般的には 言われています(症状や患者様の状態によっては後日の検査・治療となる場合もあります)。 現在、菊川市立総合病院で行っている検査・治療を少し紹介したいと思います。治療の 方法は大きく分けて 2 つの方法があります。風船の様な機材(バルーンと呼びます)を用 いた方法と金属の筒(ステントと呼びます)を用いた治療です。どちらの治療法も、まず 足の付け根や手首などの動脈から直径 0.3mm ほどの細いワイヤーと 2mmほどの管(カテ ーテル)を心臓近くまで挿入し、冠動脈という心臓の筋肉に血液を供給している血管を造 影剤と言う薬を使って血管専用のレントゲン装置で映し出します。 心臓と血管(冠動脈 ) 心臓は主に3本 の血管で栄養を 保っています 狭くなった血管を バルーンもしくはステント で広げます 実際の検査画像 図1.血管が詰まった状態 図2.ステント治療後 ※造影剤を血管に流すことでレントゲン写真では黒く見えます。図1は造影剤で黒く映る 血管が途中で詰まっている状態で、詰まった部分を治療することによって図2のように 血管が開通して血液が流れるようになったレントゲン写真です。 心筋梗塞の起こりやすい時期は今のような冬の寒い時期です。また、朝起きてから身体 が徐々に活動を始める午前 9 時~10 時頃、1 日の疲れのたまった午後 7 時~10 時頃と言わ れています。しかし、いつ何時急性心筋梗塞の症状に襲われるかはわかりません。重要な のはいざという時に必要な治療が受けられるかどうかです。 菊川市立総合病院では、地域住民の皆様が安心して 365 日 24 時間このような治療ができ るように経験豊かな医師や看護師など医療関係者が万全の体制を整えています。
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