デジタルストーリーテリングプロジェクトを通して学ぶ様々な視点 Learning other perspectives through digital storytelling project 松井久恵 (プリンストン大学) HISAE MATSUI (PRINCETON UNIVERSITY) 外国語教育の場でスキルとしての言語の習得が重要であることは言うまでもないが、大学教育の一環として外国語教育が 学生に提供できるものは何であろうか。アメリカの大学教育で重要視されてきた批判的思考力に不可欠である「多角的に 物事を見る」姿勢は自然に身につけることは難しい。その理由の一つとして脳が一つの考えに固執してしまう Einstellung effect が挙げられるが、それに対抗する事に外国語教育は大きく貢献できるのではないだろうか。 このような姿勢を学ぶことを目標に、本校では 2014 年度の秋学期に日本語 3 年生のクラスにおいて「デジタルストーリ ーテリング」を柱としたプロジェクトを行った。このプロジェクトにはクラス内のグループでの協働、また Facebook を 通して行った日本の大学生との遠隔協働など多岐にわたる 6 種類の活動が含まれている。 発表では、プロジェクトの概要説明の後、プロジェクト後のアンケートの結果と学生のエッセーをグループ毎に照らし合 わせ、グループメンバーがどのような活動を有意義と認識していたかを分析し、その影響を学生のエッセーの内容の変化 と照らし合わした結果を発表する。 分析の結果、グループにより考えを深めることが出来たと評価した活動にばらつきはあったものの、役立ったと認識され た活動に特に影響を受け、考えが深まった事を示唆する記述が最終エッセーの中に認められたことから、プロジェクトに 多様な活動を組み込むことの重要性、外国語教育を通して多角的な視点を習得することの重要性、更には、教師自身がカ リキュラムデザインにおいて Einstellung effect に対抗する事の重要性も提言したい。
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