質問2;朝、起きられない。医師に起立性調節障 害と診断されたが、どうし

質問2;朝、起きられない。医師に起立性調節障
害と診断されたが、どうしよう。
ことのあらまし;
中学校に入ってから、朝なかなか起きられなくて、ずっと布団の中からでてくること
ができなくなりました。午後からは元気になって、ご飯も食べられますし、テレビをみ
たりゲームをしたりすることはできるので、はじめは学校に行きたくないのかな、いじ
めでもあるのかなと心配しながら見守っていたのですが、さすがに毎朝体がだるい、ふ
らふらすると言うので、貧血でもあるのかと思って病院を受診したところ、医師に「起
立性調節障害」と診断をされ、血圧を上げる薬を毎日飲むように言われました。これっ
てどんな病気なのですか?
こたえ;朝起きられない理由はさまざまです。
「起立性調節障害」は朝がつらくなるからだの
病気のひとつです。
詳しい解説;
●こうなる理由
なぜ朝起きられないのか、その原因はさまざまです。逆に考えましょう。朝起き
て活動を始めるためには何が必要でしょうか。答えは、①からだのエネルギーがあ
ること、②こころのエネルギーがあること、③脳に目覚めのスイッチが入ること、
そして④脳に血液がめぐること、です。朝起きられないことが続くときは、この①
~④のどれかが不足していないか考えてみましょう。①過度の疲労や慢性的な病気
によってからだのエネルギーが消耗していると、だるくて体に力がはいりません。
一方からだが元気でも②こころの疲れが蓄積していると大脳の活動にブレーキが
かけられ、朝起きようにも起きることができなくなります。③不規則な生活リズム
で体内時計の目覚ましがかからなくなると、ずっと寝ているときのような状態で活
動をしなければいけません。そして④脳血流が不足すると脳が安定して活動するこ
とができず、頭がモヤモヤして思考力がにぶります。④の原因のなかでもっともよ
くある病気が「起立性血圧調節障害(OD)」です。
OD は自律神経の調節がうまくいかずに起こるからだの病気です。寝ている姿勢
から起き上がると脳血流は重力の影響を受けて下半身に落ちてゆきますが、自律神
経が首や体の血管をキュッと収縮させることによって、脳血流が一気に下半身に落
ちていかないようにうまく調節しているのです。ところが、OD ではこの調節がう
まくいかず、からだを起こしたときに脳血流が過剰に低下してしまい、「立ちくら
み」や「めまい」などの症状が起こります。脳血流が低下することにより、朝起き
てしばらく頭がボーっとしてスッキリせず、脳が活動を開始するまで時間がかかり
ます。このため朝がとてもつらいのです。
●お勧めの対応
朝起きられない理由はさまざまですから、まず①~④の何が原因か考えてみまし
ょう。よくわからない場合は小児科で相談するのもよいでしょう。「起立性血圧調
節障害」が原因の場合、まずそのような病気があることに気づくことと、周囲の皆
がからだの病気だということを理解することが大切です。
もう 1 つ大切なことは、とにかく「朝起きると良いことがある」という形を作り
続けることです。明るい「おはよう!」の声かけ、暖かい蒸しタオル、朝ごはんに
好きなものを一品、などなど。地道な積み重ねですが、とっても大切です。
●こんな対応は NG(><)!
「早く起きなさい!」子どもは、頭ではどうすべきなのか知っていますが、できな
いのです。できていないことを強調しても逆効果です。
ここがポイント;
・朝起きられない理由を考える。
・OD では頑張ろうと思ってもからだが思うようにならないのだと理解。
・「朝起きると良いことがある」という形づくりを意識して。
ⒸTakanobu Maekawa