400ギガイーサに向けた 省電力光多値変復調方式の研究 Study of Low-power Optical Multilevel Signaling for 400 Gigabit Ethernet 2015/10/19 株式会社 日立製作所 情報通信イノベーションセンタネットワーク研究部 平井 理宇, 菊池 信彦 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 目次 1. 背景 2. イーサネット標準化動向 3. 400ギガイーサに向けた日立の取り組み 4. まとめ ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 1 1. 背景 1-1. 通信トラフィックの増大 1-2. 光ファイバ通信の役割 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 2 1.1 通信トラフィックの増大 モバイル データ トラフィック量 (Cisco予測) スマートフォン、クラウドコンピューティング...etc の普及により インターネット情報量は増加し続けている ADVNET 2015 2018年には2013年の10倍強 DVD約40億枚/月の情報量 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 3 1.2 光ファイバ通信の役割 バックボーンネットワークとして将来にわたり、高速化が必要 ・低損失、広帯域、安価など光ファイバの利点を活かして 長距離(~数千km)かつ大容量(~数Tbps)のデータ伝送が可能 ・近年ではデータセンタ内など、ごく短距離でも利用されつつある(⇒イーサネット) 基幹網(コア網) 伝送速度 100G~10Tbps 国内~海底 100~3000km 光ファイバ通信網 メトロ-アクセス網 伝送速度 10G~数Tbps 市内~県内 10~300km データセンタ内/間 装置間~DC間 数m~数10km ADVNET 2015 データセンタ(DC) 伝送速度 1G~100Gbps © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 4 2. イーサネット標準化動向 2-1. 従来のイーサネット技術 2-2. ポスト100ギガの技術課題 2-3. 400ギガイーサ提案方式の最新状況 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 5 2.1 従来のイーサネット技術 - 1983年に規格化された10Mbpsから年率1.5倍で増加 - 伝送速度10Gbpsを超えたあたりから光ファイバ通信が主流 現在 伝送速度 光ファイバ 通信主流 1Tb/s 年率 約1.5倍 100GBASE 40GBASE (2010/7) 100Gb/s 400GBASE (2017 想定) 10GBASE-X/R/W (2002/6) 10Gb/s 1000BASE-X (1998/6) 1Gb/s 100BASE-T (1995/6) 100Mb/s メタルケーブル 通信主流 主な規格の 伝送速度と標準化時期 10BASE5 (1983/6) 10Mb/s 1980 年 1985 年 1990 年 1995 年 2000 年 2005 年 2010 年 2015 年 2020 年 標準化完了年 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 6 2.1 従来のイーサネット技術(Cont’d) - 光変調技術は最も単純なOOK(オンオフキーイング)方式 - 100ギガイーサは25GbpsのOOK信号を4本束ねて構成 1秒間に250億回、1(オン)と0(オフ)を切り替える T: シンボル長(時間) 40ピコ秒* 光強度 1(オン) 1 0 1 1 0 0(オフ) * 1ピコ=10-12 光1 強 度 1 0 0 0 時間 図. 時間波形(25Gbps OOK) ビット情報 時間 T 図. アイパターン(OOK) (時間波形を重ねて表示) 高速切り替え(変調速度)が限界に近付いている ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 7 2.2 ポスト100ギガの技術課題 どのように400ギガ化するか?高速化の課題は? 従来採用されていた高速化技術 ■ 変調速度増? - 回路/部品の動作速度の限界(30~? GHz) - 伝送劣化による制限(ファイバ波長分散など) 25Gbps程度がほぼ限界 ■ チャネル数(並列数)増? - サイズ/コスト/発熱の低減効果小 (~N倍) - 製造歩留まりの低下 - 波長多重数の限界 (波長制御精度、合分波損増) 25GbpsのOOK信号の場合、 16本(波長)も必要。コスト増 新たな高速化技術が必要 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 8 2.2 ポスト100ギガの技術課題(Cont’d) 多値変調技術によりチャネル(波長)あたりの高速化を実現 ■ 多値強度変調 PAM-N (N-level Pulse Amplitude Modulation) - 変調速度 R Baud時、伝送速度は(log2N)・R bps Ex) 変調速度25GbpsのPAM4信号 ⇒ 伝送速度50Gbps ビット情報 T: シンボル長(時間) 40ピコ秒* 光強度 3 3 1 1 3 2 0 光 3 強 2 度 10 1 01 0 00 11 2 1 時間 0 図. 時間波形(PAM4) 時間 T 図. アイパターン(PAM4) 同じ変調速度で(log2N)倍のビット情報を送れる ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 9 2.3 400ギガイーサ提案方式の最新状況 - 伝送距離100m~10kmの規格策定*を’17年12月までに完了予定 - SMFの光変調方式には多値変調 “PAM4” を採用 表:400ギガイーサ提案方式の一覧 ファイバ 種別 伝送 距離 並列数× レート 多重化方式 変調速度(baud) 変調方式 MMF 100m 16× 25Gbps 16パラレルMMF 25G NRZ 500m 4× 100Gbps 4パラレルSMF 50G PAM4 2km 8× 50Gbps 8波長WDM 25G PAM4 10km 8× 50Gbps 8波長WDM 25G PAM4 SMF MMF: マルチモードファイバ SMF: シングルモードファイバ ADVNET 2015 (2015年7月会合にて全て合意) * : 40kmの規格は次世代に先送り © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 10 3. 400ギガイーサに向けた日立の取り組み 3-1. 研究の背景と目的 3-2. 研究①:ナイキストPAM4変復調方式 3-3. 研究②:遅延検波光16値変復調方式 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 11 3.1 研究の背景と目的 背景:ネットワーク機器の消費電力の急激な増加が予測 そのうち50%がアクセス(短距離)網、さらにその約2割が光送受信器が占める I T 機 器 消 費 電 力 600 500 400 300 出典:内閣府 12倍 サイズ: 145 x 82 mm(CFP) 消費電力: ~35W 構成: 25Gbps x 4波長 方式: 強度変調+直接検波 伝送距離: 10~40km(LR4/ER4) ディスプレイ PC サーバ ネットワーク機器 5倍 (TWh/ ) 200 100 年 波長数4倍の場合 140Wに増大 13倍 0 ⇒多値化を検討 2006 2025 2050 (年) 図. IT機器の消費電力の予測 (最悪時) 図. 100ギガイーサの光送受信器 研究の目的:多値技術を用いた400ギガイーサ光送受信器の開発 - 目標伝送距離: 40km - 消費電力目標: 70W (IEEE標準化のLANの最長距離) (従来方式の1/2以下) 総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」 (H24-H27)を利用 ADVNET 2015 12 3.2 研究①:ナイキストPAM4変復調方式 400ギガイーサ標準化動向に合わせ、<10km向け伝送方式を考案 - より短距離向けに簡素なPAM4変調/強度受信方式を採用 - 信号帯域圧縮技術(ナイキストPAM4)で、安価な28G級部品が利用可能 100G/波長伝送の原理実証実験に成功し、標準化会合に方式提案 目標より小型・省電力(部品数~1/2、消費電力1/2~1/3) 51.2 GBaud PAM4 2 sps 1.25 sps Tx-side offline DSP 光変調部 64 GSa/s Driver 100 GSa/s 40-km SMF PD/TIA DA LD EAM EML AD Rx-side offline 2 sps DSP 光 強 度 光 振 幅 =1.55 /1.30 m 図.100G/波長伝送実験の構成 (51.2GBaud ナイキストPAM4) ENC: 符号化, OS:オーバーサンプリング, NLC:変調器非線形等化回路, LEQ:線形等化回路, CLP: クリッピング回路, LD: レーザ光源, EAM: 電 界吸収型光変調器, EML:変調器集積化光源, ALEQ:適応等化回路, CDR:タイミング抽出回路, DEC: 多値復号 ADVNET 2015 ナイキストPAM4 従来PAM4 光受信部 受信側 信号処理 RS RRCF ALEQ CDR DEC ENC x2 RRCF RS NLC LEQ CLP 送信側 信号処理 T 時間 周波数 図. アイパターンと周波数スペクトル (ナイキストPAM4の実験結果) © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 13 3.3 研究②:遅延検波光16値変復調方式 FPGAを用いてリアルタイム省電力100G多値送受信機を試作 - 変調方式: 28GBaud 16値変調 (1波長あたりの伝送速度112Gbps) - 受信方式: 光遅延/強度検波+デジタル信号処理 4x100G信号の光ファイバ40km伝送に成功! 消費電力は70W (ASIC化時の見積り) 【送信器】 DAC Q I I dQ am Q 100GbE(CAUI) ADC LD 変調器 フレーマ/FEC ADC -p/4 Q 受信FPGAボード dI ADC I 多値復号化 MSPE T ADボード 光変調部 DAC 1sps分散補償 回転/直交補正 バランス補正 +p/4 Q リタイミング DC補正 T I 複素振幅正規化 線形応答補正 非線形応答補正 位相予積算 多値符号化 光受信部 f DAボード 変調器補償 波長分散補償 x2 補完 r フレーマ/FEC 100GbE(CAUI) 【受信器】 送信FPGAボード 16APSK信号 16QAM信号 図. 受信信号点配置の例 (2種類の16値変調で実験) 図. 試作光多値送受信器の構成(1波長、112Gbps分) ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 14 4. まとめ ■ 本発表では、下記の解説・研究紹介を行った。 - イーサネット標準化動向を解説 → 400ギガイーサで初めて多値変調技術を採用 - 400ギガ光多値変復調方式の研究紹介 (1)ナイキストPAM4変復調方式を400ギガイーサ標準化に提案 (2)光遅延検波を用いた16値変復調方式で40km光ファイバ伝送実証 本研究の一部は、総務省の委託研究「超高速・低消費電力 光ネットワーク技術の研究開発」の研究成果である。 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 15 END 400ギガイーサに向けた 省電力光多値変復調方式の研究 Study of Low-power Optical Multilevel Signaling for 400 Gigabit Ethernet 2015/10/19 株式会社 日立製作所 情報通信イノベーションセンタ ネットワーク研究部 平井 理宇 菊池 信彦 ADVNET 2015 © Hitachi, Ltd. 2015. All rights reserved. 16
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