平成27年度 北海道帯広南商業高等学校第1学期終業式式辞 十勝を吹き渡る風も、春から夏へと移り、私たちの住むこの地では、十勝野、十勝の大 河の恩恵を受けた数多くの成長した農産物が、秋の実りを予感させ始めています。 さ て 、 聞 き 慣 れ た 「 異 常 気 象 」 と 「 例 年 に な い 天 候 」、「 地 震 」 と 「 火 山 の 噴 火 」、 交 通 事故や火災などの身近なニュースから、国内・外の政治、経済、金融、文化・スポーツな どのニュースまで、視点や価値観、立ち位置などの違いから様々に加工された情報が行き 交い、拡散と収束が繰り返され、情報を聞き取る力や見分ける力、取捨選択し判断する力 が求められています。 そんな時代だからこそ、この1学期終業式にあたり、皆さんにお願いがあります。 皆さんは、この1学期をどう過ごしてきましたか。学習、部活動、先日の南商祭に代表 される生徒会活動や各種行事など、幅広く一生懸命に取り組み、それぞれの思いを含め、 成長し、成果を収めてきたことと思います。 朝、目覚めて始まる一日は、初めての連続です。明日を経験した人はいません。不安や 期待の思いに揺れ動きながら、日々の出来事が自分を成長させるのです。 お願いとは、皆さんの、その行動の目的や目標の方向性や高さ、広さ、深さを、見失わ ないで欲しいと言うことです。 例 え ば 、 ス マ ー ト フ ォ ン 。「 賢 い 」 と い う 意 味 が あ り ま す 。 画像・映像を撮る・見る、音楽を録音・聴く、ゲームや読書、様々なアプリケーション な ど 、 専 用 の 道 具 に 代 わ る 機 能 を 備 え 、 当 初 の 「 電 話 」 や 「 手 紙 」 の 目 的 も 失 い 、「 つ ぶ やく・つながる」道具に進化し続けています。 様々な道具、機器は、使う人の「便利さ」や「快適さ」を目指して進化し続けます。 し か し 、 使 う 人 の 目 的 や 使 い 方 か ら 被 害 が 多 発 し 、「 犯 罪 者 」 も 増 え て い ま す 。 技術を進化させるのも、利用するのも人間です。しかし、両者の「思い」は一つではあ りません。利用する側の「思い」によって、事件、事故が起きているのです。 道 具 を 考 え 、 創 る 人 は 、「 安 全 」 を 忘 れ て は い ま せ ん 。 便 利 だ け で な く 、「 安 全 」 だ か ら 売 れ る の で す 。 スマートフォンの画面を見ながら自転車を運転することなど、誰も思いつきません。危 険に決まっています。前を見ないで、校内の廊下を歩けますか。道を歩けますか。 「安全」を忘れているのは、使っている人です。 「スマートフォン」だけではありません。 道路交通法等が改正され、自転車も、ルールが厳しくなりました。 安 全 で 、 正 し い 使 い 方 を 理 解 し 、 利 用 す る こ と で 、「 便 利 」 な 道 具 と な る の で す 。 さて、目的や目標を見直し、変更することは、よくあることです。 社 会 情 勢 や 環 境 の 変 化 、様 々 な 壁 に ぶ つ か り 、新 た な 目 標 を 目 指 す こ と も あ る で し ょ う 。 た だ 、「 楽 し い 」「 お も し ろ い 」「 楽 ( ら く ) だ 」 の 方 へ 流 さ れ て 、 本 来 の 目 標 を 見 失 っ て ほしくないということです。 学校は、便利でも、快適でもありません。学びを求める皆さんを鍛え、成長させる道具 であり、進路を実現するための場所でもあります。 この節目の日にあたり、この4ヶ月の自分の高校生活で、甘えたところ、不足していた ところを振り返り、これからの高校生活の過ごし方を、見直してみてください。 8月19日水曜日、第2学期始業式が、全校生徒の再スタートの日となるよう、期待し ています。 平成27年7月24日 北海道帯広南商業高等学校長 我妻 公裕
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