第4学年 国語科学習指導案 平成27年6月26日(金) 1 単元名 場面の様子に着目して読み、紹介しよう 題材名 「一つの花」 2 単元の目標 ◎ 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の気持ちの変化、情景などについて、叙述をもとに想像して読 むことができる。 〇 物語を読んで感じたことや考えたことを発表し合い、友達との感じ方の違いに気づくことができる。 3 単元と児童 (1) 単元について 登場人物は、父・母・ゆみ子の家族3人のみである。全体の構成は「戦時中」 「戦後」と捉えやすく、一・二・ 三の場面では「時代背景やゆみ子の家族の生活の様子」 、四の場面は「お父さんとの悲しい別れ」 、五の場面は「1 0年後のゆみ子の生活」とわかりやすい。 『一つの花』は戦時中という過酷な時代に生まれて生きたゆみ子への両親の深い愛情が丁寧に描かれている。 戦争を理解できないあどけないゆみ子の姿、精一杯のゆみ子を思う両親。それぞれの立場を考えながら作品を味 わわせ、 「親子の愛情」 「戦争の非情さ」 「困難にくじけず、これからを生きようとする人間の姿」などのこの作品 の主題に迫っていきたい。 本題材の目標は、時代の状況や人物のおかれた立場を考えて、登場人物の気持ちや願いを想像して読むことが できるである。ここで上げられている登場人物の思いや願いとは、父母のゆみ子に対する思いや願いであると考 える。そこで、父母のゆみ子に対する思いや願いを会話文や行動から考えさせることで、両親のゆみ子に対する 思いや願いを読み取らせていきたいと思う。 そして、第五場面では、一~四場面での今までの両親の思いと第五場面のゆみ子の姿から、父の思いを比較し て考えさせ、 「1つだけ」から始まったゆみ子の人生が「1つだけではない」ゆみ子の明るい未来が続いていく作 品として捉えさせたい。 (2)児童の実態(男12人、女9人、計21人) (略) 4 指導の構想 ~研究主題(確かな読みを通してかかわり伝え合う)にかかわって~ (1) 主体的に楽しく学習に参加するような課題の提示 中心人物の意外性を生かした読みを貫く課題の設定 あらすじを考えるとき、読みの浅い子どもたちは、中心人物を「ゆみ子」と捉えるだろう。しかし、この物語 に幼いゆみ子の気持ちは浅く、両親の思いでこの物語は進んでいく。このことを知った子どもたちは意外な気持 ちから、両親の気持ちを読み取っていきたいと思うだろう。 そして、子どもたちの初発の感想から、両親の思いに着目した疑問を取り上げ、学習問題に設定する。このこ 1 とにより、両親のゆみ子への深い愛情を感じ取ることが期待できる。 挿絵を活用した一人学習 子どもたちに場面ごとの「挿絵」をカラーで用意し、それをノートの真ん中に貼らせ、挿絵の周りに説明や感 じたことを自由に書いていく。そのことによって、一人一人が場面を読んで思いついたことや発見した「大切な 言葉」を自分の好きな順番に好きな所に書いていく自由度の高い、一人学習ができると考えた。 挿絵は教室にも掲示し、場面毎に感じた「両親の思い」を残していくことにより、思いの変化にも気づかせた い。また、話し合いの中でも活用し、新たな子どもたちの考えも必要に応じて書きこんでいく。 (2) 自分の考えを明確にするための場の設定 考えを導き出すためのかんこりカードの活用 子どもたちは、研修計画の考えの表し方スキルに示したように文章化することが難しかった。それは、 「考えの 理由付けを考える際どのように考えたらよいかわからない」 「考え(解釈)-根拠-理由の型に慣れていない」の 2つが考えられる。そこで、文章化せずに考えを生み出す手順を表にした「かんこりカード」を利用する。 第一場面から繰り返し、両親の気持ちや家族を取り巻く状況が表れている言葉を探し(根拠)、~だから(理 由)という言葉を使って、当時の状況や両親の気持ちを考え(解釈し)ていくことにより、自分の考えを創り出 す過程を子どもたちに学習させていく。同時に一つの花の主題に迫らせていきたいと考えた。 (3) 効果的なかかわりをさせるための工夫 比較を取り入れた構造的な板書 考えを広げることが目的になるので、全体で話し合いを進める。父親の思いの深まりを捉えられるよう第四場 面の親の思いと第五場面を構造的に板書する。そして、子どもたちが友達と自分の考えを比較できるよう、友達 の考えにつながるように発表させていく。そのことにより、同じ根拠でも理由が違うとか解釈が違うといった考 えを比較させながら、考える姿を期待する。 また、根拠が出なかったときはグループで考えさせたり、子どもたちが自分たちから交流したいと言ってきた りしたときはペアやグループで話し合わせたりして、友達とかかわり合う大切さを実感させたい。 5 指導計画 全10時間 次 時間 1 3 (本時7/10) 主 な 学 習 活 動 「一つの花」の全文を読み、物語の設定や登場人物を確かめ、物語を5場面に分ける。 初発の感想を書き、あらすじを話し合い、学習課題を決める。 一人学習(学習課題を自分なりに考えてみる・意味調べをする・挿絵の周りに感じたこと を書くなど)をする。 2 5 子どもたちと話し合い、課題を設定する。課題は以下のようなものが考えられる。 ・お父さんとお母さんはどんなことをしてゆみ子を喜ばせたのだろう。 (めちゃくちゃに 高い高いしたのはなぜだろう。 ) ・一つの花をあげたのはなぜだろう。 (ゆみ子が大事にしなければならない一つだけのも のとは、何だろう。 ) ・お父さんが、今のゆみ子を見たらどう思うだろう。(本時) 3 2 「一つの花」を紹介する書き方を知り、文章を書く。 文章を読み合い、交流する。 2 6 本時の指導 (1) ねらい 第五場面の中から、今までの場面にはなかった幸せを感じる言葉を根拠にしながら話し合う活動を通して、 「一 つだけではない」ゆみ子を見た父親の思いを感じることができる。 (2) 展開 時間 5 教師の働きかけと児童の反応 ○指導上の留意点 ◆評価 第四場面のお父さんはどんな気持ちでしたか。 ○話し合いに使った挿絵を掲 ・命を大事に・喜びを大事に・たくましく生きていってという 示する。 思いを一輪のコスモスに込めて戦争に行ってしまった。 10 ◎お父さんが今のゆみ子を見たら、どう思うだろう。 ○一人音読が終わった子ども まと ・1つだけじゃなくてよかったなあと思っていると思います。 から、ノートに考えを書くよう める 25 発表 わけは、P76.5 行目に「コスモスの花でいっぱいに包まれて」 にする。 と書いてあって、一輪だけじゃなくたくさんのコスモスに包 ○自分も生きたかったという まれているからです。 意見が出された時は、ゆみ子の ・ものがたくさんあるのでお腹がすくことがなくて、よかった お父さんが第一に考えていた なあと思っていると思います。P76.10 行目に「お肉とお魚と のは誰のことかを考えさせる。 どっちがいいの。 」と書いてあって、きまったおいもや豆やか ○根拠を書くことも難しいK ぼちゃではなく、選ぶことができるからです。 男には、 「悲しんでいるか」 「よ ・好きなものを買えるようになってよかったねと思っていると かったと思っているか」を問 思います。P77.3 行目に「買い物かごを下げて町の方へ」と い、どこからそう思ったのか支 書いてあって、配給の切符ではなく、店があるということだ 援する。 からです。 ○考えが出なかったときは、グ ・大きく成長できて、お母さんを助けるほどになってうれしい ループで交流させる。 と思います。P77.4 行目に「お昼を作る」と書いてあってお ○根拠の言葉を全部見つけら 昼を作ることができるくらいだからです。 れなかったら、数を示して探さ ・平和になってよかったなあと思っていると思います。P77.2 せたり、言葉を示してそこから 行目に「コスモスのトンネル」と書いてあって、花がたくさ どういうことがわかるかを考 ん咲くくらい爆弾は落ちていないということだからです。 えさせたりする。 ・少しはお金があって豊かになってよかったと思っています。 ◆お父さんの思いを叙述から P77.1 行目に「ミシンの音」と書いてあって、防空頭巾は手 見つけ、考えをまとめることが 縫いだったのに機械を買えるくらいお金があるということだ できたか。 からです。 5 振り返りをしよう。 振り ・私は、第五場面を学習して、お父さんの願いがかなってよか ◆ゆみ子が幸せに暮らしてい 返り ったと思います。一つの花を見つめながら、汽車に乗って行 ることをよかったという父の ってしまったお父さんは、とてもつらかったと思うからです。 思いを記述しているか。 これからもたくましく生きて行ってほしいと思いました。 (3)評価規準 3 B(C は B に満たない) A 評価規準 第五場面の中から、今までの場面に お父さんの思いを叙述を根 お父さんの思いを叙述から はなかった幸せを感じる言葉を根拠に 拠に考え、さらに、第四場面の 見つけ、考えるとともに、ゆ しながら話し合う活動を通して、 「1つ お父さんの思いとゆみ子の幸 み子が幸せになってよかった だけ」ではないゆみ子を見た父親の思 せを併せて記述している。 ということを記述している。 いを感じることができる。 7 板書計画 〈 ふ り 返 り 〉 い 。 豊 か に な っ た 。 の は 高 い 高 い だ け じ ゃ な ・ ゆ み 子 に し て あ げ ら れ る 和 に な っ て よ か っ た 。 ・ 爆 弾 が 落 ち な く な っ て 平 音・ ミ シ ン の の ト ン ネ ル ・ コ ス モ ス る 買い 。 えで るは くな らい いか ら お、 金機 が械 あを ・ 防 空 頭 巾 を 作 っ た 手 縫 い・ 花 が た く さ ん 咲 く く ら た・ 。戦 こ争 れで か死 らな もな 生く きて てよ くか れ 。っ る・ お 昼 を 作 に な っ て よ か っ た な あ 。 く 成 長 で き た ん だ ね 。 店 が あ る か ら ・ お 昼 を 作 る く ら い 大 き ・ 好 き な も の が 買 え る よ う れ て い る の か も し れ な い 。 ・ 一 つ だ け と い う 言 葉 を 忘 か っ た な あ 。 腹 が す く こ と が な く て 、 よ ・ も の が た く さ ん あ っ て お っ た な あ 。 ・ 町 の 方 へ が い い の 。 魚 と ど っ ち ・ぱの・ おい花コ 肉 でス と いモ お っス ・ 配 給 の 切 符 で は な く 、 で い る か ら か ぼ ち ゃ で は な く 、 選 ん ・ き ま っ た お い も や 豆 や れ て い る か ら 、 さ ん の コ ス モ ス に 包 ま 四 ・ 一 つ だ け じ ゃ な く て よ か 挿絵 五 ・ 一 輪 だ け じ ゃ な く た く 挿絵 かんこりカード え ま し た 。 私 は ○ ○ だ と 考 自 分 の 考 え あ目○ っにペ て~ー とジ根 書の拠 い○ て行 ~ だ か ら理 で由 す 。 4 ◎ お 父 さ ん が 今 の ゆ み 子 を 見 た ら 、 ど う 思 う だ ろ う 。
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