国交省試行! 小黒板の電子化による作業効率向上と改ざん防止

Value Presentation 2015 国交省試行!
小黒板の電子化による作業効率向上と改ざん防止
一般財団法人 日本建設情報総合センター(JACIC)
建設情報研究所 研究開発部 主任研究員 影山 輝彰
内容
1.デジタルカメラの誕生と遷移
2.工事におけるデジタルカメラの利用
3.効率化と信憑性向上への取り組み
4.写真管理業務の効率化
※実証実験から試行工事
5.今後の展望
1.デジタルカメラの誕生と遷移
□1975年(昭和50年)12月
・イーストマン・コダックの開発担当者Steve Sassonが世
界初のデジタルカメラを発明する。
・重量3.6kg、0.01メガピクセル、白黒画像をカセット
テープに23秒で記録(図1)。 □1988年(昭和63年)
・画像をデジタル方式で記録する初めての一般向けカメ
ラ「FUJIX DS-1P」が発売。
図1-世界初のデジタルカメラ※1
□1994年(平成6年)
・カメラとしては初めての動画記録機能を装備(図2)。
図2-DC-1(1995年リコー社製)
□1999年(平成11年)
・高画素数化競争や小型化競争など、市場拡大を伴った
熾烈な競争により性能は上昇、価格は低下。
現在では、工事現場向けにBluetoothⓇ等を利用した
データ転送やGPS機能は無論のこと、防水・防塵・耐冷、
耐衝撃に加え、長時間駆動が実現されたモデルも誕生
図3-G700SE(2010年リコー社製)
(図3)。
※1 出典 http://www.fastcodesign.com/1663611/how-steve-sasson-invented-the-digital-camera-video
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1.デジタルカメラの誕生と遷移
表1-主要耐久消費財の普及・保有状況
(一般世帯)※2
図4-主要耐久消費財の普及率(一般世帯)※2
・現在、デジタルカメラが登場してから約40年が経過。
・当時のデジタルカメラは非常に高価であり、一般的に普及していなかった。
・1990年代後:パソコンやインターネットが急激に利用
・2000年初頭:デジタルカメラ自体の低価格化、軽量化、機能向上により普及
※2 出典:内閣府 平成26年3月実施調査結果:消費動向調査(抜粋)
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2.工事におけるデジタルカメラの利用
土木工事写真管理基準
この写真管理基準は、土木工事施工管理基準に定める土木工
事の工事写真による管理(デジタルカメラを使用した撮影~提
出)に適用する。
表2-工事写真の分類
表3-撮影頻度
「デジタル写真管理情報基準(案)」
写真等(工事・測量・調査・地質・広報・設計)の原本を電子媒
体で提出する場合の属性情報等の標準仕様を定めたものである。
表4-写真管理項目
図5-フォルダ構成
・国土交通省では、平成18年1月に「デジタル写真管理情報基準(案)」を公開し、
同年4月より適用。
・現在、国土交通省直轄工事では、デジタル工事写真により監督職員の確認・立ち
会いに加え、その出来形・品質ならびに、施工の実施状況等を確認することが当た
り前の光景になっている。
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2.工事におけるデジタルカメラの利用
平成17年度に、検査時に受注者が発注者に提出する工事写真の取り扱いについて、一
部不適切な事例が見受けられたことから、写真等の原本を電子媒体で提出する場合には、
明るさ等調整やパノラマ写真(2枚の写真を1枚に合成)などは、受発注者で協議、決定
した場合を含めて認められていない(図6)。
図6-デジタル工事写真の編集に対する回答
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3.効率化と信憑性向上への取り組み
現在、携帯電話(モバイル端末)のカメラ機能を利用した各種システム(災害情報収集シ
ステム、河川巡視、道路巡回パトロール、橋梁点検 等)が急速に普及しつつある
しかしながら、撮影した写真に付与する情報は、各システムで異なる。
このため、自主研究「CIMサポート事業の創設に関する研究」の一環として「写真管理サー
ビス」の検討を実施
(1)小黒板、GPS情報等を利用した業務効率化の検証と新たなビジネスモデルの検討
(2)デジタル工事写真の信憑性向上と新たなビジネスモデルの検討
□研究成果
H24
・東北地方整備局における河川巡視、道路巡回パトロールにおける試行
・デジタル写真に付加する情報の仕様として「デジタル工事写真応用スキーマ」の策定
H25
・国土交通省直轄工事(4件)にて小黒板、GPS情報等を利用した業務効率化の検証※
・国土交通省直轄工事にて撮影した、デジタル工事写真(20,344枚)の信憑性を確認※
H26
・有志による「デジタル工事写真に関する勉強会」を設立(活動期間2年間)
・国土交通省直轄工事(59件)にて試行を実施※
※国土交通省からの受託業務として実施
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3.効率化と信憑性向上への取り組み
・デジタルカメラやモバイル機器の高機能化により、写真自体にさまざまな付加情報を
付与することができる。
・デジタル工事写真は、従来の銀塩写真と比べ、画像の編集が容易(図7)である一方、
適切な技術を用いることで写真の原本性(改ざんの有無)と信憑性の向上に加え、画期
的な業務効率化が可能。
・しかし、現行の「土木工事写真管理基準」「デジタル写真管理情報基準」を確認する
限りこれらの製品を利用する場合には、写真編集に該当するかの扱いが決定していない
ため、その判断を現場の監督職員に委ねている。
図7-デジタル写真の原本性に対するリスクの例
Exif 2.3のAPP領域を活用し、写真の原本性(改ざんの有無)と信憑性の向上や位
置情報(GPS)等に加え、従来、小黒板に記述していた工事の品質・出来形等に関
わる情報を構造化して、実写真単体でこれらの情報を保有する方法(メタデータ構
造)を定義する方法を研究。
※(一財)日本建設情報総合センター 研究助成事業活動・報告 http://www.jacic.or.jp/josei/itiran.html
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4.写真管理業務の効率化(実証実験)
図8-実証実験による効果検証
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4.写真管理業務の効率化(実証実験)
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4.写真管理業務の効率化(実証実験)
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4.写真管理業務の効率化(実証実験)
※一部の工種に適用した結果であり、今後さまざまな工種への適用性の検証に加え、機
器・アプリケーションの操作性に関わる課題等も明らかになった。
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4.小黒板電子化の試行(利用ソフトウェア例)
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4.小黒板電子化の試行(利用ソフトウェア例)
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4.小黒板電子化の試行(利用ソフトウェア例)
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5.今後の展望
展望①新たな情報化施工分野の創出
機器の計測情報と連動することにより、管理情報(測定時間、測定位置、写真(臨場))等
を一元管理
展望②品質・出来形管理と写真管理の連動
品質・出来形管理と写真管理との相互リンクが可能(整合性、検索性の向上→電子検査)
展望③管理情報に基づく自動整理と共有
撮影と同時に写真整理が完了する。災害時における情報の収集システムの簡易構築(バック
アップ機能)
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ご清聴ありがとうございました