その 7:地域主義と民族集団

地域主義と民族集団
民族をつくる地域
地域主義と民族集団 -1
≪「ユダヤ人」が聖地に「帰還」してできた国家イスラエル≫
□帰還したユダヤ人
⇒公職に就くにはヘブライ語教育が必要
□正統派に再改宗した者
⇒主席ラビ庁が認定するユダヤ教徒
■イスラエル生まれの「イスラエル人」の世界各地への「離散」
民族と地域の双務的関係
□民族(文化を共有する共同体)の紐帯
⇒地域の形成
■地域(公権力を行使する主体)の営為
⇒民族の形成
© 竹中克行 2015
地域主義と民族集団 -2
民族の標識としての言語
ス
ア V2
ゥリア
アスト カンタブリ
L7
バスク
V8
V4
R2
ナバ
V4
ラ A10
ラ・リオハ
カスティーリャ
V6
・イ・レオン
C9
L7
E
アラゴン
スペイン全域
C8
L10
G9
P
マドリード
ポルトガル
全域
C1
カタルーニャ
C3
C6
C5
カスティーリャ・
P10
ラ・マンチャ
エストレマ
C9
ドゥーラ
バレンシア
C5
ムルC6
シア
アンダルシア
C2
国境
自治州境
言語地域の境界
バレアレス諸島
言語記号
C3
言語地域類型
【言語記号】
(国家語)E:カスティーリャ語(スペイン語),P:ポルトガル語
(非国家語) C:カタルーニャ語,V:バスク語,G:ガリシア語
R:アラン語
(カスティーリャ語の方言)A:アラゴン方言,L:レオン方言
メディ
おける知識・ アでの
使用
使用
地名表記
る法的承認
地域人口に
学校での使用
自治州によ
社会的承認
【言語地域類型】非国家語の法的・社会的承認と使用状況
類型番号
(2000)
アシャー;モーズレイ『民族言語地図』
□言語を共有する民族がつくる地域
■多言語環境では困難な言語 = 地域の対照
スペインの言語地域
□国家語
*カスティーリャ語(スペイン語)
□非国家語
*カタルーニャ語 *バスク語
*ガリシア語 *アラン語
言語=民族が生んだ地域?
□ガリシア
□ポルトガル
G7
ガリシア
G2
1
公用語
高
高
高
高
○
2
公用語
高/中
高
中/低
高
○
3
公用語
中
高
中/低
中
△
中
低
低
中
○
4
公用語/強
い法的承認
5
公用語
低
低
低
中
△×
6
法的承認
低
極低
低
極低
×
低
低
△
極低
極低
×
7
言語に関す
る権利承認
8
×
中/低
中
農村:高/中
都市:低
中
9
×
低
高
極低
10
×
低
極低
皆無
低/
極低
皆無
×
×
図 7.1
イベリア半島の言語地域――非国家語の地位と使用
状況による類型化
カスティーリャ語(E)とポルトガル語(P)は,それぞれス
ペインおよびポルトガルの全域で使用されている国家語であ
る.非国家語については,地図中に言語記号と言語地域類型
を組み合わせて示した.図中,
大西洋の島嶼部は省略してある.
Burgueño(2002)をもとに作成.
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地域主義と民族集団 -3
地域アイデンティティの複合性
ス
ア V2
ゥリア
アスト カンタブリ
L7
バスク
V8
V4
R2
ナバ
V4
ラ A10
ラ・リオハ
カスティーリャ
V6
・イ・レオン
C9
L7
E
アラゴン
スペイン全域
C8
L10
G9
P
マドリード
ポルトガル
全域
C1
カタルーニャ
C3
C6
C5
カスティーリャ・
P10
ラ・マンチャ
エストレマ
C9
ドゥーラ
バレンシア
C5
ムルC6
シア
アンダルシア
C2
国境
自治州境
言語地域の境界
バレアレス諸島
言語記号
C3
言語地域類型
【言語記号】
(国家語)E:カスティーリャ語(スペイン語),P:ポルトガル語
(非国家語) C:カタルーニャ語,V:バスク語,G:ガリシア語
R:アラン語
(カスティーリャ語の方言)A:アラゴン方言,L:レオン方言
メディ
おける知識・ アでの
使用
使用
地名表記
る法的承認
地域人口に
学校での使用
自治州によ
社会的承認
【言語地域類型】非国家語の法的・社会的承認と使用状況
類型番号
バスク語
□バスク/ナバラの北部に分布
□バスクによるナバラの併合要求
□独立した自治単位をなすナバラ
カタルーニャ語
□複合国家たる中世アラゴン連合王国
□活発なカタルーニャ・ナショナリズム
□言語への関心が薄い他の 2 地域
自治州制が生んだ地域意識
□自治州間の資源獲得競争
□言語空間に対する市民意識
G7
ガリシア
G2
1
公用語
高
高
高
高
○
2
公用語
高/中
高
中/低
高
○
3
公用語
中
高
中/低
中
△
中
低
低
中
○
4
公用語/強
い法的承認
5
公用語
低
低
低
中
△×
6
法的承認
低
極低
低
極低
×
低
低
△
極低
極低
×
7
言語に関す
る権利承認
8
×
中/低
中
農村:高/中
都市:低
中
9
×
低
高
極低
10
×
低
極低
皆無
低/
極低
皆無
×
×
図 7.1
イベリア半島の言語地域――非国家語の地位と使用
状況による類型化
カスティーリャ語(E)とポルトガル語(P)は,それぞれス
ペインおよびポルトガルの全域で使用されている国家語であ
る.非国家語については,地図中に言語記号と言語地域類型
を組み合わせて示した.図中,
大西洋の島嶼部は省略してある.
Burgueño(2002)をもとに作成.
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考察の見取図
地域主義と民族集団 -4
❶地域をつくるもの
❷地域がつくるもの
❸資源を動員する地域
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地域主義と民族集団 -5
ニルスの旅
写真 7.1 スウェーデンの 20 クローナ札に描かれたニルスの旅
ニルスが旅
したルート
43 ケブネカイセ山
『ニルスのふしぎな旅』
44
マルムベリエット
31 で当該地が登場する章
の番号
200km
ス
ウ ェ
ー
フィンランド
デ ン
ノルウェー
41 スンズヴァル
40 デルスブー
レットヴィーク
31
30 ファールン
24
エーレブロウ
22
コールモルデン
19トーケルン
マルスト 51
ランド島
18
ターベリ山
エー
ラン
ド島
52
ネース
35 ウプサラ
37
ストックホルム
キュッラ
ベリ山 ロンネビイ川
5
8
3
4
バ ル
ト 海
29
ダール川
モールバッカ 49
デンマーク
国土認識の涵養
□学校の壁にかかる全国図
□自然の中で生活を切り開いた人間の物語
(ラーゲルレーヴ,1906 ∼ 07 年)
『ニルスのふしぎな旅』
□ガチョウの背に乗って瑞を縦断旅行
□マルチスケールに展開する視界
*スコーネの豊かな農村風景
*ラップランドの荒涼たる山岳風景
*ストックホルム中心の国家形成
===
□ノルウェー独立(1905 年)
□国民意識形成に与えたインパクト
(1877 年)
※『二人の子どものフランス巡歴』
14 ヴィスビイ
13 ゴットランド島 ラトビア
小カルル島
11 オッテンビイ
9
カールス
クローナ軍港
リトアニア
1 西ヴェンメンヘーイ
54 (起点・終点)
図 7.2 ニルスが旅したルート
ラーゲルレーヴ(1998)の図をもとに作成.
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景観のシンボロジー
地域主義と民族集団 -6
巡礼の風景
□神秘に包まれた土地を歩く経験
□巡礼をめぐる集合的な行為と記憶
□聖地への憧れに動かされた人の絆
心象風景の核をなす場所
□地域の固有性と結ぶ図像
□直接的な経験からの昇華
□ナショナルな象徴への転化
■ナショナリズムによる価値づけ
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カタルーニャの山岳景観
山の多い土地
□山に関する豊富な語彙
□山岳景観と地域アイデンティティ
ラナシェンサ(renaixença)の言説
□アリバウ,マラガイ,バルダゲ
□詞の中のモンセラット,モンセニィ
山岳景観への新しい視線
□「魔の山」から「白い山」へ
□健康・精力回復作用(ルイ・ラモン)
ジョルディ・プジョル(Jordi Pujol)
□ピレネー頂から選挙キャンペーン開始
□カタルーニャ民主集中(CDC)の結党
※デンマークのヒース
地域主義と民族集団 -7
写真 7.2 修道院から見るモンセラット山(2007 年)
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巡検旅行の実践
アクスクルシウニスマ(excursionisme)
□地域の自然・文化遺産の価値再発見
□カタルーニャ主義科学巡検協会(1876 年)
*カタルーニャ主義運動への関与
*カタルーニャ研究院設置の礎
□文化人による巡検運動の実践
*プッチ・イ・カダファルク(Puig i Cadafalch)による遺産の学術調査
カタルーニャ地理協会の巡検
□地域イメージの検証
□負の遺産からの再構築
地域主義と民族集団 -8
表 7.1 カタルーニャ地理協会の巡検事例(2005 ~ 2009 年)
【テラ ・ アルタ/エブロ川下流域の緑の道】
(2005 年 6 月 11 日)
カタルーニャ南西端,テラ・アルタ郡からエブロ川まで/短
命に終わったアラゴン = エブロ川デルタ間を結ぶ線路跡を利
用した観光ルート/パンドゥル山脈とアルス・ポルス山脈の
間を横切る渓谷と聖域/沿岸の村に残るエブロ川氾濫の痕跡.
【上サガラ地方】(2006 年 10 月 28 日)
カタルーニャ中央部,上サガラの都市(カラフ,アルス・プラッ
ツ・ダ・レイ,トゥラ)と歴史的な商圏/国土回復運動期の
境界地域に林立した要塞/歴史的郡域と現行郡域の不一致と
新郡設置をめぐる議論(市長の参加するラウンドテーブル)
.
【バジャスのブドウ畑景観】
(2007 年 3 月 24 日)
カタルーニャ中央部,バジャス郡におけるブドウ栽培の伝統
と現在/森に戻ったブドウ畑跡に残された石造りの発酵槽/
マンレザ貯蓄銀行が所有する旧修道院と周辺の開発プロジェ
クト/主力醸造元ロケタ ・ グループのブドウ畑と社屋.
【アル・カニゴ】
(2008 年 6 月 27 ~ 28 日)
ピレネー山脈東部,フランス領内に聳えるアル・カニゴ山(標
高 2784m)への登攀/カタルーニャ主義科学巡検協会の詩人
ジャシン・バルダゲが謳ったカタルーニャ精神の源/ルシヨ
ン地溝帯の町プラダ(350m)からアプローチする急斜面.
【下モンセニィ地方】
(2009 年 10 月 24 日)
バルセロナ・ジロナ両県の境界にある山地,モンセニィの南
側/第二共和政下の郡制施行時に遡る独自郡域設定の要求/
豊かな森林資源と首邑サン ・ サロニの歴史遺産/新郡設置を
睨んだ自治体間協力(市長の参加するラウンドテーブル)
.
カタルーニャ地理協会(Societat Catalana de Geografia)の
Web サイトおよび筆者の記録により作成.
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地域を境界づけるという行為
地域主義と民族集団 -9
行政地域の情緒的基盤
□平成の大合併
⇒ローカル・アイデンティティ保持の難しさ
□スペインの基礎自治体
⇒政治と日常会話の中の隣町とのライバル関係
地理的想像力の政治的な発動
□特定の空間を所有・管理する欲望の表現
□境界づけの 2 形態
*下部地域の国家への統一
*国家の下部地域への分割
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地域主義と民族集団 -10
リージョン設置による地域編成
11
バス・
ノルマンディー 4
ブルターニュ
ノール・パ・
ド・カレー
17
オート・
ノルマンディー
12
7
ペイ・ド・
18 ラ・ロワール サントル
③県(Department)
8
ロレーヌ
シャンパーニュ
・アルデンヌ
5
3
14
1
地域圏都
(都市名は右参照)
10
22
オーヴェルニュ
2
15
ブルゴーニュ フランシュ・コンテ
20 リムーザン
ポワトゥー・
シャラント
200km
ローヌ・アルプ
アキテーヌ
ミディ・ピレネー
16
B
アストゥリアス
3
11
プロヴァンス・アルプ
・コート・ダジュール
13
ラングドック
・ルシヨン
カンタブリア
バスク
6
14
ガリシア
コルス
21
9
自治州都
(都市名は右下参照)
15
カタルーニャ
2
7
8
9
アラゴン
マドリード
12
17
カスティーリャ・
ラ・マンチャ
バレンシア
バレアレス
4
10
200km
13
1 アンダルシア
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
ストラスブール
ボルドー
クレルモン・フェラン
カーン
ディジョン
レンヌ
オルレアン
シャロン・アン・シャンパーニュ
アジャクシオ
ブザンソン
ルーアン
パリ
モンペリエ
リモージュ
メス
トゥールーズ
リール
ナント
アミアン
ポワティエ
マルセイユ
リヨン
①自治州の集合
②自治州(Comunidad Autónoma)
③県(Provincia)
ナバラ
カスティーリャ・
ラ・リオハ
イ・レオン
16
エクストレマドゥラ
【地域圏都一覧】
②地域圏(Région)
19
ピカルディー
イル・ド・フランス
6
①地域調査・整備管区(ZEAT)
アルザス
フランスの地域圏
□地方分権法(1982 年)による設置
□面積的バランスの重視
■「不自然」な地域設定
*ペイ・ド・ラ・ロワール
*ラングドック・ルシヨン/ミディ・ピレネー
■国の地域政策の枠組み踏襲
スペインの自治州
□ 1978 年憲法が定める自治州設置手続き
□憲法制定後の政治過程による行政地図
■単独県自治州の続出
■ 19 倍近い面積差
■地域主導がもたらす「不自然」な地域
A
ムルシア
カナリアス
5
【自治州都一覧】
1 セビリャ
2 サラゴサ
3 オビエド
4 パルマ
5 ラス・パルマス
6 サンタンデル
7 バリャドリード
8 トレド
9 バルセロナ
10 メリダ
11 サンティアゴ・デ・コンポステラ
12 マドリード
13 ムルシア
14 ビトリア
15 パンプロナ
16 ログロニョ
17 バレンシア
図 7.3 EU 地域統計単位(NUTS)に対応したフランスとスペインの地域区分
フランス(A)とスペイン(B)について,NUTS-1 から NUTS-3 に対応する地域区分を①~③に示した.
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地域主義と民族集団 -11
EU の NUTS が意味するもの
「地域からなるヨーロッパ」の内実に迫る
□ NUTS(地域統計単位一覧)
□ 3 つのレベル(NUTS-1 ∼ NUTS-3)
① 3 レベルが実質的な行政地域
□独:▲行政管区(NUTS-2)
□ベルギー:▲行政区(NUTS-3)
② NUTS-1 が実質を欠く
□仏:▼地域調査・整備管区
□西:▼自治州の集合
③ 2 つ以上のレベルが実質を欠く
□英:▼カウンティ/基礎行政体の集合
□葡:全レベルが実質を欠く
CG のレイヤーのごとき絵
表 7.2 EU の地域統計単位一覧(NUTS)
NUTS-1
NUTS-2
NUTS-3
①人口 300 万~ 700 万人
①人口 80 万~ 300 万人
①人口 15 万~ 80 万人
②収斂目的/地域競争力・雇用目的
②欧州地域協力目的(国境地域協力)
②地域競争力・雇用目的(一部の国)
ドイツ
□州(Land:16)
□行政管区(Regierungsbezirk:41)
□郡(Landkreis:439)
□ 地 域(Région / Gewest: フ ラ □県(Province / Provincie:10)
ベルギー
ンデレン地域,ワロニー地域,ブ
□行政区(Arrondissement:43)
□ブリュッセル首都圏
リュッセル首都圏の 3 地域)
□ 地 域 調 査・ 整 備 管 区(Zone
フランス
□地域(Région:26)
□県(Department:100)
□自治州(Comunidad Autónoma:17)
□県(Provincia:50)
d'études et d'aménagement du territoire:9)
スペイン
□自治州の集合(7)
□イングランドの地域(Region:9) □イングランド:カウンティー(county) □イングランドのカウンティーおよ
□ウェールズ,スコットランド,北 の集合(30)
イギリス
アイルランドの各地域(3)
び基礎自治体の集合(93)
□インナー・ロンドン,アウター・ロン □ウェールズ,スコットランド,北
ドン(2)
アイルランドの基礎自治体の集合
□ウェールズ,スコットランド,北アイ (40)
ルランド:基礎自治体の集合(7)
□大陸部
ポルトガル
□地域調整・開発委員会(Comissões de □ 基 礎 自 治 体(Concelho)の 集合
□ 自 治 地 域(Região Autónoma: coordenação e desenvolvimento regio- (30)
アゾレス諸島とマデイラ自治地域の nal:5)
2 地域)
□自治地域(2)
①は各地域レベルの基準となる人口規模,②は当該地域レベルが実施単位となる EU 地域政策の種類を示している.括弧内の数字は,
当該地域単位の設置数を表す.Regulation (EC) No 1059/2003 など,EU の資料にもとづいて作成.
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EU の地域政策は地域をつくるか
地域主義と民族集団 -12
資金配分の地域範囲に即した事業体制の構築
□ 2007 ∼ 2013 年期で 3470 億€にのぼる地域政策関連基金
□ NUTS-2 を単位地域とする収斂目的/地域競争力・雇用目的
地域政策関連基金の運営機構
□仏:各地域圏(Région)に置かれた地域長官庁(Préfecture)
□西:自治州制にもかかわらず中央官庁
LEADER によるローカルな地域の結束
□農村地域の持続可能性に力点をおく共通農業政策の柱の一つ
□官民諸団体の連携によるローカル行動グループ立ち上げ
□国/地域行政体の承認を受けて事業の立案・実施
※マル・デ・アラゴン諸郡開発センター
□アラゴン自治州が承認する 20 のローカル行動グループの一つ
□基礎自治体,郡,事業者団体,農協,労働組合,青年団 ・・・
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地域資源とは
地域主義と民族集団 -13
地域と結ばれた資源
□地理的に境界づけられた有用物
□呼称やイメージによる価値付与
地域資源の存在意義
□地域イメージの集約化【外向けの効用】
⇒観光客・投資の呼込み
□地域との「つきあい」の活性化【内向けの効用】
⇒固有文脈の継続的構築
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地域主義と民族集団 -14
EU の地理的呼称制度
ド イ ツ
イギリス
イタリア
スペイン
ポルトガル
表 7.3 EU への地理的呼称の登録件数(2010 年)
フランス
食の地域ブランド
□特定地域の原料,製法,加工
□保護原産地呼称(AOP)
□保護地理的呼称(IGP)
EU 内の温度差
□地中海欧:地域資源の集合的な育成
□北西欧:消極的
■米:自由貿易への妨げ
66
4
14
7
20
31
加工肉
7
16
2
50
16
36
チーズ
71
7
13
56
29
13
9
1
0
48
34
7
47
12
4
110
56
24
2
9
1
8
12
1
23
48
13
15
14
10
225
97
47
294
181
122
生肉
食用油脂
青果物
パン・焼菓子等
その他
合計
保護原産地呼称(PDO)および保護地理的表示(PGI)の登
録件数の合計を品目種類別に示した.EU 委員会資料(Door
Database)にもとづいて作成.
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地域主義と民族集団 -15
水資源をめぐる地域間の攻防
スペイン全国水利計画(2001 年)
□最後の「土建型」国土開発
□持続可能な開発からの批判
顕在化した地域間の攻防
□エブロ川流域,アラゴン自治州
*節水・代替資源確保を行わない地中
海沿岸地域への批判
□地中海沿岸地域,バレンシア自治州
*連帯の精神に欠けるアラゴンへの批
判,環境負担の大きい海水淡水化
「希少」資源の表象
□貧しいステップ気候帯を貫く緑の回廊
□エブロ川防衛プラットフォーム
【全国水利計画によるエブロ川からの水移送】
ル ゴ
2,303km2
48m3/s
ョ川
ミニ
200km
1.9億m3/年
ト ロ
2
41,808km
101m3/s
エ
ブ
バダホス
48,515km2
43m3/s
川
バルセロナ
トゥルトザ
84,230km2
3
312m /s
マドリード
タホ川
フカル川 スマカルセル
2
17,876km
3
21m /s
グアディアナ川
ル川
キビ
ダル
グア
メンヒバル
セグラ川
16,166km2
21m3/s
アルメリア
図 7.5
エ ブ ロ 川 流 域
ロ
サラゴサ
ドゥエロ川
アルカンタラ
51,958km2
207m3/s
バルセロナ周辺
グアルダマル・デ・セグラ
14,925km2
0.7m3/s
タホ = セグラ
移送ルート(既設)
4.50億m /年
3
0.95億m3/年
3.15億m3/年
フカル川流域
セグラ川流域
アルメリア周辺
【水利組合の管轄地域】(主要河川流域に概ね対応)
水資源に相対的な余裕が見込まれる
恒常的な水不足が指摘されている
アルカンタラ
2
51,958km
207m3/s
計測地(黒丸で地点表示)
計測地から上流側の流域面積
流量(1977~2006年の平均)
スペイン半島部の主要河川流域の基礎データと全国水利計画で予定されたエブロ川からの水資源移転
流量は,30 年間のうち,データが得られる年次について平均した値.Plan Hidrológico Nacional(2001 年)などにもとづいて作成.
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地域主義と民族集団 -16
風力発電計画への抵抗が意味するもの
産業インフラの集中建設
□ダム,原発,風力発電 ・・・
□補償と引換えに切り刻まれる環境
環境保護団体による風力発電計画反対
□低開発地域に偏る計画
□地元の小さな電力需要
□風車建設による稜線景観の改変
景観に凝縮された意味・価値の争い
□「エブロ川の戦い」の記憶
□歴史のトラウマに満ちた場所
□集合的記憶と結ぶ山岳・文化景観
写真 7.3 カタルーニャ南西端の村,オルタ・ダ・サン・ジュ
アンの民家のバルコニーに掛けられた風力発電計
画反対を掲げる垂れ幕(2007 年)
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