高校野球のマナーとルールを学ぼう (第48回)

高校野球のマナーとルールを学ぼう
(第48回)
一般財団法人兵庫県高等学校野球連盟
グランドでの試合を振り返り、高校野球の大切なマナーとルールを学びましょう。
あなたの「なぜ? どうして?」にわかりやすくお答えしていきます。
マナー編
用語は正しく!
野球放送の解説者が「ここは手堅くバンドで送りたいですね」。受けたアナウンサーが「バント、バント、バ
ントですね!」と訂正を思わせるように「バント」を連呼しました。
「バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした
打球である」は、規則2・13に示されるBUNT(バント)の規定です。日常に
言葉の澄む・濁るによる間違いは少なくありません。BAND(バンド)なら
「団・楽団」を表す別の語になってしまいます。野球の現場で二つを混同
することはないでしょうが、用語は言葉として正しく使いたいものです。
外来語に対して、時に発音が難しかったり、日本語の語感に馴染みにく
いこともあります。
例えば、6ー4ー3 のダブルプレイに関して、軸になる二塁手はピボットマ
ンと呼ばれます。投手の軸足はピボットフットです。正しくピボット(pivot)
でなくピポットと間違っていませんか?キャッチャー(捕手)をキャッチと呼
んだり、ワンバウンド、ツーバウンドをワンバン、ツーバンと言うことも改めてください。「ワンパン」などは恥ずかしくな
ってしまいます。
最初の誤入力は修正しにくいものです。言葉は、その多くを耳から覚えます。次に目で確認することが出来れば間違
いないでしょう。「野球用語=仲間内の言葉」ではありません。言葉には大切な意味が込められています。規則書の「用
語の定義」を確認しながら、改めてベースボールを味わってください。
ルール編
3バント失敗のアウトは三振?
「3バント失敗」は三振に記録されると聞きましたが……。
「3バント失敗」、いわゆる「2ストライク後の投球をバントしてファウルボールになった場合」は、野球規則 6・05(d)の規
定で打者アウトです。誰もが知る規則ですが、なぜ3バント失敗がアウトになるのでしょう?
規則 2・73 は STRIKE の定義です。その(d)に「バントしてファウルボールとなったもの」と規定されています。つまり「3
球目のストライクによるアウト(struck out)」で三振が記録されるので
す。
ところで、スコアブックなどに三振を〝K〟で記入することがあります。
奪三振記録の投手に贈る称号は〝ミスターK〟です。この〝K〟の
由来には諸説あります。ストラック・アウトを〝SO〟と記していたの
が、スティール・アウト(steal out=盗塁死)も〝SO〟で同じ頭文字と
なるため、struck の末字で〝K〟を表示したことによる…も一説で
す。
ただの「決まりごと」として受け止めるだけでなく、その一つ前を考え
ることで本質が知らされます。それは大切な興味の深まりです。