SGホールディングスグループ 「CSRレポート2015」に対する第三者意見 〈評価できること〉 環境面については、今年度、新たにSGホールディングス 昨年度に引き続き、SGホールディングスグループの企業 グループの環境理念・環境方針を制定(P.24)しています。 理念である「信頼、創造、挑戦」というイノベーティブな企 従来より、同グループは、事業特性をふまえて環境分野へ 業姿勢が反映された良いCSRレポートだと思います。トッ 積極的に取り組んでおり、物流業界でもいち早くサプライ プメッセージにあるように、近年、SGホールディングスグ チェーン全体でのCO₂排出量を開示したり、低公害車を率 ループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。国内 先して導入してきた実績を持ちます。同グループの環境と 外の社会環境が転換期を迎える中、「グループ内外の経営資 の共生を目指した事業活動の推進を高く評価します。 源活用と連携深化で新たな価値を創造し、経営基盤強化と 永続的な成長を目指す」という経営ビジョンを同グループが 〈要望したいこと〉 いかに実現しようとしているのかが、本レポートを読むと 2014年度にSGホールディングスグループは「取引先CSR よく分かります。また、各ステークホルダーの仕事風景や ガイドライン」を制定しました。世界的に人権や環境への関 現場の声も多く掲載されており、顔の見えるレポートとなっ 心が高まる中、このようなガイドラインを制定したことは ている点も特徴です。 同グループのガバナンス意識の高さを示しています。今後、 グローバル展開を進める上で、ガイドラインに沿って各国 2014年度は、中期経営計画「Third Stage Plan」の2年 でステークホルダーとともに適切なサプライチェーンCSR 目でした。「グループシナジーの追求」 「グローバル事業の拡 が推進されることを期待します。 大」 「ビジネスモデルの変革」という3つのテーマに対して、 それぞれ、 「戦略的営業開発チーム GOALの発足」 (P.21) 、 「 ス リ ラ ン カ 最 大 手 の フ レ イ ト・ フ ォ ワ ー ダ ー で あ る 国内の事業環境に目を向けると、今後、深刻化するドラ イバー不足問題があります。中・長距離についてはより一 EXPOLANKA HOLDINGS PLCのグループ化」 (P.11、P.44、 層の生産性の向上を、ラストワンマイルについてはダイバー 45)、「スマート納品の開始」 (P.22)や「ファシリティマネジ シティ(女性や高齢者の活用)への理解を深めて働きやすい メントソリューション」 (P.13)という新たな試みに着手し 環境を整えるとともにビジネスモデルの刷新が必要となる ています。大規模な物流センターをもつ利点を活かし、物 のではないでしょうか。社会のインフラである物流を途切 流を通して魅力ある街づくりに貢献するなど、社会や人々 れることなく、適切なコストで確実に継続していただくこ のニーズを汲み取ったCSRを着実に進めている点を高く評 とで、SGホールディングスグループの本業を通じたCSRを 価したいと思います。 進めていただきたいと思います。 前回と今回のレポートを比較して最も進展が見られたの は、ISO26000にもとづき、「6つのCSR重要課題」を特定 し、重要課題ごとの活動テーマと中期目標・アクションプ ランを設定したことです(P.16、17)。持続可能な社会の発 展と、事業の永続的な成長の両面の観点から同グループの CSRの実効性を高めるためには、これらの設定が不可欠で す。 今 後 は、 中 期 目標やアクションプランを精緻 化 し、 PDCAを回すことで、CSR活動の一層の深化が期待できる と思います。 立教大学経営学部 教授 高岡 美佳 氏 SG HOLDINGS GROUP CSR Report 2015 47
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