捨て身の覚悟が次の道を切り開く

池田泉州キャピタル 投資先経営者インタビュー
2015 年1月5日
「捨て身の覚悟が次の道を切り開く」
北田 秀司
●FREEMIND holdings 株式会社 代表取締役社長
ホテル経営からITシステム開発業を経て、英語教育事業にも乗り
出している北田社長に、これまでのターニングポイントを訊いた。
訊手:神保 敏明=池田泉州キャピタル 代表取締役 編集:森 祐也=同 投資部
きただ ひでじ:57 年 生まれ。80 年 関西学院大学 経済学部を卒業後、
旧ハウス食品工業に入社。84 年 川村染工㈱に入社。88 年 ㈱京都インフ
ォーメンションデスクを設立し、取締役に就任。99 年 ㈱空に商号変更
し、代表取締役に就任。08 年 ㈱EVANを設立し、代表取締役を兼任。
10 年 ㈱国際コミュニケーションズを設立し、取締役を兼任。14 年 持株
会社として FREEMIND holdings を設立し、代表取締役を兼任。
結婚を機に経営を学んだ
用して、プログラミングが得意な従
ているのです。日本の教育水準が大
大学時代はスキーツアーを組む
業員からコンピューターの基礎を
きく遅れている現実を目の当たり
のに汗を流しました。自作のパンフ
学び始めました。応用に関しては独
にした瞬間、根底から変えていかな
レットで募り、夜行バスやホテルも
学です。それを基に、ホテルのHP
ければならないという使命感が生
手配しました。盛時にはスタッフが
制作やサーバー構築を行ない、販売
まれました。同時に、既存事業との
50 名を超えていました。それを業と
管理システムも取り入れました。
相乗効果も出せるサービスは何か
しても、生活には困らない自信を持
IT+教育でシナジーを出す
と考えました。答えは、塾の空き時
っていました。
これがきっかけで同業者へIT
間である昼間を活用した英語塾「L
ところが、親から一度は就職した
化を勧めていく内に、ビジネスの可
epton」の展開でした。
ほうが良いと言われました。聞き容
能性を感じました。自分がホテル経
IPOで優秀な人材を求める
れる形で一旦サラリーマンとなり
営から外れても上手く進められる
英語教育事業の成長力をもって
ました。既に起業志向が強かったの
経営体制にした後、身1つでIT開
IPOを実現します。これまでの先
発会社を興しました。親族からは当
行投資期に支援を受けたVCにも
然に大反対され、それ以降はしばら
報いる事が出来ます。何より、知名
く関係が途絶えていた程です。それ
度や信用力が高まるのは、優秀な人
でも、成長を見込める事業にチャレ
材の採用に効果的だからです。今後
ンジする気持ちが勝りました。
の経営課題である後継者の育成に
幸いにも優秀なエンジニアと出
も繋がります。事業は家業ではない
会えて、短期間で軌道に乗せる事が
ので、同族での承継は考えていませ
で、社会勉強のつもりでしかありま
出来ました。会社とエンジニアの関
ん。事業に失敗したら生活もゼロに
せんでした。
係が対等となる組織を創る意思を
転機は結婚でした。京都で染物屋
込めて、
「空」と名付けました。友
を営む妻の実家を継ぎました。そこ
人が代表を務めている学習塾大手
で、所有していた不動産のホテル転
からの受託開発を契機として、今で
用を任されました。順調に進めてい
は教育業界の基幹システムを得意
く一方で、老舗染物工場の伝統を重
としています。
んじる親と、経営に対する考え方が
違っている事に気付きました。
その頃からアイドルタイムを活
その後、韓国の英語教育に触れる
機会が有り、衝撃を受けました。小
なる覚悟を持った次世代の人材を
学4年生の子供が実に流暢に話し
登用するつもりです。
【取材日:2014 年 11 月 19 日】