vol.232 地価の回復傾向が続くも、都市と地方で格差広がる

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2015 年 3 月20 日号
232
ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
地価の回復傾向が続くも、都市と地方で格差広がる
地価の回復傾向が続いている。国土交通省が発表した
店舗などの新規需要が
2015年の地価公示によると、全国平均で住宅地は0.4%の
堅調で、地価が上昇し
下落となったが下落率は縮小した。商業地は0.0%と下落か
ている。
ら横ばいに転換した。商業地の下落が止まったのは7年ぶ
住宅地では交通利便
り。三大都市圏では住宅地が0.4%上昇、商業地が1.8%上
性の向上が期待される
昇と上昇が継続。一方、地方では住宅地が1.1%下落、商業
地点で地価が上昇する
地が1.4%下落だが下落率は縮小している。上昇地点の割合
傾向が見られる。仙台
は、三大都市圏では住宅地の5割弱の地点が上昇、商業地の
市太白区では市営地下
7割弱の地点が上昇した。一方、地方では住宅地、商業地と
鉄東西線の新駅が今
も上昇地点、横ばい地点が増えているものの、7割弱の地点
年12月に開業する予
で下落している。
定。新駅周辺の八木山
交通利便性や地域の状況によって地価は2極化
しつつある
「上昇地点が増えている三大都市圏と下落が続く地方圏の
本町・松ヶ丘地区では
格差が拡大している」
(土地・建設産業局 地価調査課)という。
交通アクセスの向上が
景気が穏やかに回復するなか、三大都市圏など都市部では住
期待されるため住宅需要が旺盛で、地価が9.6%上昇した。
宅需要が堅調。中心部の店舗の消費動向も堅調で、オフィス
東京都でもオリンピック新設会場周辺の住宅地で地価の
の空室率も低下傾向が続いている。ただ、地方では下落地点
上昇が目立つ。中央区月島駅周辺では地価が9.1%上昇した。
の割合は減っているものの、秋田県の4.2%下落をはじめ大
オリンピックの開催に伴い、インフラの整備や都市開発が進
幅な下落が続いている県も目立つ。
むとの期待から高層マンションの需要が旺盛だという。
北陸新幹線開業で金沢、富山の地価が上昇
ただし、今回、住宅地で最も高い上昇率を示したのは福島
県いわき市。泉もえぎ台1丁目25番8の17.1%上昇を筆頭に
今回の地価公示では、インフラの整備や都市開発などによ
住宅地の上昇率上位10位地点を独占した。いわき市は原発
り利便性が向上し、地価が大きく上昇した地点も多い。典型
事故による被災者の住宅需要が集中しているのに加え、一般
的なのが北陸新幹線が開業し首都圏との距離が縮まった金沢
の需要に津波と地震の被災者の需要も重なっていることが地
市だろう。金沢駅周辺ではホテルや分譲マンション・商業施
価を押し上げている。
設などの建設が進められ、地域振興への期待から地価が上昇
同じ県内で明暗が分かれるケースもある。神奈川県では都
している。上昇率は17.1%と商業地では全国で最も高い上
心へのアクセス性が高い横浜市や川崎市の住宅地の地価は上
昇率となった。同様に富山市でも駅周辺の店舗需要が高まっ
昇が続いている。一方、三浦半島の最南端の三浦市では人口
ており、収益性向上への期待感も相まって地価が上昇。7.8
減などから全国での下落率10位中9位となる8.6%の下落を
%上昇した。
示す地点もあるなど、大きく下落している。
「以前のように全国的に地価が上昇しているわけではなく、
地域振興への期待から地価が上昇したケースは京都市で
も見られる。祇園四条駅周辺の地価が7.6%上昇した。近年、
交通利便性や地域の状況によって、同じ地域内でも地価が2
日本を訪れる外国人観光客が増えており、収益性の向上から
極化する傾向が見られる」
(同)という。
今週の主なニュース
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・国土交通省 住宅瑕疵担保履行制度見直しの報告書
を公表 リフォーム瑕疵保険をトラブルの処方箋に
・住友林業 東南アジアでの木材建材流通事業を拡大 タイで
梱包材・木質製品流通事業会社へ出資および現地法人設立
・ミサワホーム 住宅金融サービス事業を開始 長期
固定金利型の住宅ローンを提供
・パナホーム 戸建住宅の ZEH仕様「ゼロエコ」を新
設 戸建ての半数を目標に展開
・LIXIL 同社初「戸建住宅リフォーム専用」のシステム
バスルームを商品化 現場対応力を高めた部材を開発
・YKK AP 玄関リフォーム商品を刷新 業界初、ド
アを引戸に変える商品もラインナップ