■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【スペシャルレポート】 利下げサイクルが続く 『ニュージーランドドル』の下落再開に注目! 株式会社CKキャピタル 代表取締役CEO西原 宏一(2015年8月24日) ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 1)商品市場の低迷と新興国通貨、資源国通貨の下落 8月後半の金融市場を震撼させたのが、人民元の突然の切り下げである。 中国人民銀行(PBOC)による相次ぐ人民元の切り下げに、夏季休暇明けのマーケットは混乱し、一 時globalに株価は急落。 切り下げはいったん収まり、マーケットに安堵感が漂ったのもつかの間、8月18日(火)に再び 上海株が急落し、globalな株価も再び不安定な展開に。 今月に入り、中国発の報道に金融市場は翻弄されている。 呼応して、原油を筆頭に、鉄鉱石、milk priceといった商品市場は軒並み急落。 Commodityはglobal経済の先行指標と言われている。 中国経済の急減速に伴う商品市場の急落は、中国経済に依存して発展してきた多くの国の減速を 意味する。 米系大手「Morgan Stanley」は、中国関連ビジネスで悪影響を受けるブラジルやロシア、韓国、 台湾、シンガポール、タイ、チリ、コロンビア、ペルー、南アフリカの10通貨に「Troubled 10」 と称し、これら諸国の経済の急減速を警告している。 加えて、「AxJ」(Asia Excluding Japan、日本を除くアジア諸国)通貨の売りを推奨するレポ ートも顧客向けに配信している模様。 一方、新興国通貨のみならず、主要通貨の中でも、Commodityの動向に大きな影響を受ける資源 国通貨と称される通貨がある。 例えば、原油であればカナダドル、鉄鉱石は豪ドル、milk priceはニュージーランドドル。 また今回のように中国経済の動向にも大きく影響を受ける国といえば、オセアニア通貨であるオ ーストラリアとニュージーランドで、これらには下落圧力がかかりやすくなっている。 2)利下げサイクルにはいったRBNZ、NZドル/円は75円へ ニュージーランド経済は2015年初頭こそ堅調であったが、ニュージーランドの主要輸出品であ る乳製品価格の下落に伴い、経済は停滞気味。 経済減速に懸念を示したRBNZ(ニュージーランド準備銀行)は、6月11日(木)に久しぶりに利 下げを決行。 RBNZが利下げを実施したのは、2011年3月以来、約4年ぶり。これで、政策金利は3.50%から3.25% となる。 RBNZの利下げはこれだけでは収まらず、7月23日(木)にも追加利下げを決定し、政策金利は3.00% まで急落。 RBNZによる政策金利の引き下げに伴い、NZドル/円は下落を続け、7月16日(木)には80.47円ま で急落。対ドルであるNZドル/米ドルも下落を続け、0.6500ドルレベルまで急落。 この0.6500ドルというレベルは、2014年9月にニュージーランドのジョン・キー首相(元為替デ ィーラー)がコメントしたレベル。 「ニュージーランドドルにとっていわゆるゴルディロックス(景気が過熱しすぎず不況でもない、 ほどよい状態)な水準は1NZドル=0.6500米ドル前後だ」と発言。 NZドル/米ドルは、10カ月を経て、首相がコメントするレベルまで到達。 このNZドル/米ドルの0.6500ドルというレベルが、NZドル/米ドルのサポートとなり、NZドル/円、 NZドル/米ドルの下落はいったん沈静化。 この水準は実際NZドル/米ドルにとってゴルディロックスなレベルのようで、その後のNZドル/米 ドルは調整局面入り。NZドル/円も7月中旬から80円~83円での調整局面入り。 しかし前述のように、8月に入り、中国経済が想像以上に悪化していると思われる報道が相次ぐ と、NZドル/円は再び軟調な展開に。 昨夜発表された7月分のFOMC議事録でも中国減速への警戒が示された。 米大手「ゴールドマンサックス」は、RBNZが9月さらには12月にも追加利下げをすると予測。 仮に彼らの予測どおりにRBNZが利下げを決行すれば、RBNZの政策金利は、2.50%の低水準まで急 低下。 リーマンショック前のRBNZの政策金利は、一時8.25%もの高金利を誇っていたが、ニュージーラ ンドもすでに主要国なみの低金利まで下落することになる。 中国経済減速の報道に加え、RBNZの追加利下げの予測も、ニュージーランドドルの下落要因の大 きなファクターのひとつ。 3)NZドル/円、NZドル/米ドルのチャート分析 <NZドル/円週足・チャート分析> NZドル/円は2013年から週足の25*5DMAをサポートとし推移する傾向があったが、今年5月に 25*5DMAを明確に下抜け、下落トレンド入り。 NZドル/円は前述のRBNZの利下げ予測も背景に、続落する可能性が濃厚で、サポートである80円 を割り込んでくると下落余地が更に拡大。 上海株が下げ止まらなければ、2013年6月に到達した74.47円まで下落する可能性が高まっている。 <NZドル/円日足・チャート分析> NZドル/円の日足をチェックすると、7月16日(木)に80.47円の安値をつけてから調整局面入り し、その後80.47円から83.30円でのレンジで推移。 しかし、中国経済減速懸念が拡大し、NZドル/円の上値は限定的。 6/25高値、7/8安値、7/13高値でフィボナッチ・エクスパンションをすると、COP(第1目標)は 79.91円、OP(第2目標)は77.99円、XOP(第3目標)は74.90円となり、Fibonacciの計算からも 次のターゲットが75円ということになる。 <NZドル/米ドル週足・チャート分析> 2014年8月から週足の25*5DMAを下抜けて下落が加速。今年の4月には0.7745ドルまで反発したが、 週足の25*5DMAが上値を抑える形で反落し、トレンドは下落基調。 また、米ドルとニュージーランドドルでは現時点での中央銀行の金融政策の違いが際立ってい るため、RBNZが利上げを停止した2014年7月の0.8836ドルを高値にNZドル/米ドルはNZドル/円よ りさらに下落が顕著となっている。 中国経済の悪化が、RBNZの連続利下げを誘引し、下落余地が拡大しているニュージーランドドル に注目である。 【本レポートの趣旨】 本レポートは株式会社CKキャピタルより発行されているレポートであり、情報提供のみを目的と しております。 本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、株式会社CKキャピタル、およびワ イジェイFX株式会社共にレポート中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示 的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。 また、本レポート内のコンテンツ、データに関する著作権は株式会社CKキャピタルに帰属してお ります。 コンテンツ、データ等は私的利用の範囲内で使用し、無断転載、無断コピー等はおやめください。 さらに、かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、株式会社CKキャ ピタル、およびワイジェイFX株式会社は一切責任を負いません。 最終的な投資判断は、他の資料等も参考にしてご自身の判断でなさるようお願いいたします。
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