豊根村人口ビジョン(平成27年8月策定)

豊根村まち・ひと・しごと創生総合戦略
豊根村人口ビジョン
平成 27 年8月
豊根村
目次
はじめに
Ⅰ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
3
4
今後の人口問題に対する基本的視点
1 人口減少問題への取り組み姿勢
2 今後の基本的視点
Ⅲ
1
人口問題に対する基本認識
1 人口減少の状況
2 人口減少の要因
3 人口の将来予測
Ⅱ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目指すべき将来の方向
1 目標人口の設定
2 目標人口の検証
参考資料
6
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17
はじめに
豊根村の将来に向けて持続可能なむらづくりを進めるために、国の「まち・
ひと・しごと創生長期ビジョン」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に
基づき、「豊根村まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」(以下「豊根村人口ビ
ジョン」という。)を策定する。
豊根村人口ビジョンは、豊根村の人口の現状と将来の姿を示し、人口問題に
関する村民の認識の共有を目指すとともに、今後取り組むべき将来の方向を提
示することを目的とする。
これにより、豊根村の人口減少を巡る問題や持続可能な地域づくりを進める
論点が明確となり、今後の豊根村のあり方についての議論が一層深まることを
期待するものである。そして、豊根村人口ビジョンを基本に、豊根村第 5 次総
合計画とも連動させて、新たに「豊根村まち・ひと・しごと創生総合戦略」の
策定を進めるものとする。
豊根村まち・ひと・しごと創生人口ビジョン
(目標年次 2060 年)
豊根村まち・ひと・しごと創生総合戦略
(平成 27~31 年度)
豊根村第 5 次総合計画
(平成 20~29 年度)
1
Ⅰ
人口問題に対する基本認識
1
人口減少の状況
日本の総人口が 2008 年以降減少局面に入り、2040 年代頃には約 8,000 万人
台まで減少すると推計されている。
そうした中、豊根村の人口は、戦後の 5,000 人台をピークとして、減少を続
けている。これは、特に戦後におきた食糧難対策として分村による村外への移
転や佐久間ダム、新豊根ダム建設により集落が水没し、家ごと村外へ移転せざ
るを得ないなど、大きな事案による離村による減少と、戦後の高度成長期にお
ける都市部への就職や農林業などの主要産業の低迷など過疎化による減少の 2
つの要因があると考えられる。
近年では、少子高齢化が顕著に進み、平成 22 年国勢調査における若年者比率
は 10%、高齢者比率は 46%となっている。
(人)
6,000
5,229
5,675
5,263
5,086
5,669
5,193
5,000
5,414
総数
5,499
女
4,610
男
3,822 3,865
4,000
世帯数
2,126
3,000
2,308
2,000
1,813
1,933
1,629 1,336
1,722
1,517
1,000
0
(出典:国勢調査)
年齢3区分別人口推移
100%
老年人口65歳以上
80%
生産年齢人口
15~64歳
年少人口
0~14歳
60%
40%
20%
(出典:国勢調査)
0%
2
人口減少の要因
2
2
人口減少の状況のうち、社会増減の動向としては、戦後の分村、ダム建設な
どの個別事案の発生に伴う集落移転など、一時的で、強制的な人口減少に対し、
昭和 40 年代以降の人口減少は、林業不振や高度成長期に見られた産業構造の変
化による都市部との賃金格差や生活格差の発生に伴うものになっている。この
傾向は、戦後一貫して続いており、長年続く人口減少は、地域経済に悪循環を
招き、人口減少による消費の低迷など地域経済に大きな影響を与えたことで地
域が雇用力を失い、人口減少には拍車をかける状況になっている。最近では、
ダム建設などの個別事案の発生に伴う集落移転などの人口減少はなく、農林業
の低迷などによる地域経済の悪化に伴う雇用の減少や、医療・教育など生活基
盤の脆弱性に伴う転出増加など社会減による人口減少が主になってきている。
一方、自然増減の動向は、高齢者比率の高まりにあわせ、年度によりばらつ
きがあるものの、総じて自然減が増加する傾向にある。
過去の自然増減・社会増減数の変化
単位:人
15
人
10
5
0
-5
-10
-15
自然増減
-20
社会増減
-25
-30
-35
平成元年
平成2年
平成3年
平成4年
平成5年
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
-40
(出典:豊根村役場調べ)
3
3
人口の将来予測
国立社会保障・人口問題研究所(以下、「社人研」という。)の試算では、今
後も人口の減少傾向は続く人口推計が示されている。
高齢化がますます進む人口推計が示されており、自然減による人口減少は、
当面続く見込みである。その後、2025 年の高齢化率 55%をピークに高齢化率は
減少が予測されており、人口自体は小規模になるものの、高齢化率の高い状況
は徐々に解消に向かうものと推測される。
しかしながら、高齢者率の改善に伴い、人口の絶対数が著しく減少していく。
こうした人口規模の縮小は、経済活動や生活基盤の維持をはじめとした様々な
村の取り組みに悪い影響が生じることが推測され、そうした悪循環が継続され
れば、地域経済や地域社会存続自体を危ぶむ人口まで減少することが懸念され
る。
将来の担い手となる若年者人口も、今の 10%から 2040 年には 7%に減少する
ことが予測されており、地域の担い手不足は顕著となると推計されている。
4
豊根村における人口の長期的見通しの推計(社人研推計準拠)
2060 年の人口は、2015 年現在の 36%まで減少
2015 年 1207 人
⇒
2040 年 689 人
⇒
2060 年 438 人
人口の推計
1,600
1,400
1336 人
1207 人
1,200
1,000
15~64 歳
612
0~14 歳
595
800
569
600
400
594
503
200
0
65~ 歳
130
109
427
74
523
363
66
689 人
463
408
370
317
438 人
273
237
202
201
35
333
307
268
245
224
209
58
53
51
49
45
40
人口構成比率の推移
120%
100%
80%
46% 49%
53% 55% 54% 53% 54% 52% 50% 49% 46%
65~ 歳
60%
40%
20%
0%
15~64歳
44% 42%
46%
40% 38% 39% 40% 39% 40% 41% 43%
10%
9%
7%
7%
7%
7%
7%
8%
8%
8%
0~14 歳
8%
(出典:国立社会保障・人口問題研究所数値)
5
Ⅱ
今後の人口問題に対する基本的視点
1
人口減少問題への取り組み姿勢
国のビジョンが指摘するように、人口減少への認識を村民のみなさんと共有
しつつ、的確な施策を集中的かつ持続的に展開していけば、人口減少を緩やか
なものとしていくことも可能である。
成果を出すためには、問題の性格上、長期間かかることは明白であり、一早
く取り組んでいくことが重要である。また、豊根村だけの解決は難しく、国、
県、近隣市町村と連携しつつ、村民、企業、団体等の力をひとつに合わせて、
積極的に取り組んでいくことが重要である。
2 今後の基本的視点
(1)4つの基本的視点から取り組む
人口減少への対応は、大きく 2 つの方向性が考えられる。ひとつは、国
の長期ビジョンが指摘するように、出生数を増加させる対策。もうひとつ
は、転出の抑制、転入者の増加による社会減の抑制、さらには社会増とい
った積極的な戦略を発展的・持続的に行うものである。
この 2 つの対策を同時並行的かつ相乗的に進めていくことが重要となる。
そうした取り組みを進めるにあたっての基本的な視点は次の 4 つである。
① 地域の雇用を創出する。
豊根村において地域に「しごと」を創出していく必要がある。既存産業の
振興を図るとともに地域資源を最大限活かした産業の創出をすることで地
域を担う人材の定住を確保していく。
② 若者の定住を促す。
将来の地域をつくっていく若者の定住を確保していくことが重要な課題
である。Uターンの促進とともに、都市部の田舎志向をとらえたIターンの
促進を図っていく。
③ 子育てや高齢者を支える現役世代をしっかり支援する。
若者が安心して暮らしていける対策を講じることで、安心した子育てがで
き、また、高齢者を助ける地域づくりにつながる。そのため、現役世代への
切れ目のない支援を行い、豊根村での安定した暮らしを実現する。
6
また、高齢になってもいきいきと暮らしていけるよう、医療福祉体制の充
実を図るとともに、介護予防や生涯現役で働くことのできる仕組みを進め、
高齢になってもいきがいを持ち、安心して暮らせる社会づくりを進める。
④ 道路や住宅などの生活基盤の維持改善を図る。
山間地である豊根村においては、生活においても経済対策においても、道
路基盤が最重要な基盤であり、継続して充実を図っていく。また、民間サー
ビスのない豊根村においては、住宅、医療、教育、情報通信など生活基盤を
公的に確保し、安心してくらすことのできる環境づくりを進める。
(2)地域連携の強化等を積極的に活用した戦略
4 つの基本的な視点の推進にあたっては、豊根村における取り組みだけで
は十分に推進できない。豊根村住民の生活圏は、近隣自治体や都市部を含
めた地域となっており、それに応じる形で行政の取組やサービスも、地域
連携で提供されている。特に北設楽郡3町村では、共通の地域特性を有す
ることから、公共交通や情報通信基盤、医療の確保、ごみ処理など生活を
支える機能を共同運営してきている。さらに、新城市を含めた新城北設地
域での取り組みや、東三河広域連合による行政サービスの実施など、広範
な自治体連携によって豊根村の基盤が形成されている。また、県境に接す
る地域特性上、県境を越えた自治体との連携や交流が古くから行われてい
るとともに、三遠南信地域など非常に広域的な取組も進めてきている。そ
うした広域的な地域と連携を強化しながら対策を進める必要がある。
そのため、北設楽郡 3 町村では、共同で「地域活性化モデルケース」に
選定を受けるとともに、共同で「地域再生計画」を策定し、認定を受けた
ところである。こうした地域横断的な取組を一層強化し、地域間相互の相
乗効果を高めていく。
(3)地域になじむ人材の誘致・育成
豊根村は小さな地縁的コミュニティで成り立ってきた。そのため、転入
促進にあたっては、地域コミュニティを理解し、協力できる人材を誘致、
若しくは人材育成をしていく必要がある。
また、地域の将来を考えるにあたり、若者や子供など地域の担い手を重点
的な受け入れを行う一方で、公的負担の大きい高齢者層については限定的な
誘致を図る。
7
Ⅲ
1
目指すべき将来の方向
目標人口の設定
人口対策の効果を十分発現させて 2060 年の豊根村人口を
900人程度確保する。
今後の変化を前提としない、社人研の将来推計人口推計では、2040 年に 689
人、2060 年に 438 人となっている。
(ケース1)
その推計に対して、人口減少に対する「4つの基本的視点」と「豊根村まち・
ひと・しごと創生総合戦略」等の実施など地方創生の取り組みの実施により、
出生率向上対策(ケース2)と転出抑制・転入促進対策を実施し、その効果を
十分に発現させることにより、2060 年の豊根村人口を 900 人程度確保していく。
(ケース3)
具体的には、出生率向上対策としては、国の出生率目標を実現するために、
子育て世代となる現役世代をしっかりと応援して、子育てしやすい環境を作り
上げていく。
さらに、転出抑制・転入促進対策として、主に「しごとの確保」と「定住生
活基盤の確保」に取り組み、毎年 3 家族(大人 2 人・子供 1 人)程度の定住促
進を図ることにより、人口の確保を図る。
これら取り組みにより、2060年の人口を900人確保することができる
と考える。
この900人程度の人口規模は、小中学生数の観点からみると、条件によっ
ては、小中学校において生徒児童を1学年あたり 8 人程度確保できる人口規模
であり、複式学級を回避するために必要な人口規模といえる。豊根村において、
一定の教育水準を維持することのできる人口規模と想定する。
また、2015年における生産人口の規模を確保するものであり、現状の産
業構造の維持・向上を図ることのできる人口規模である。
8
地方創生の取り組みを進めた豊根村人口推計
単位:人
1600
1400
1336
1200
892
893
1000
800
732
559
600
689
400
438
200
0
2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060
ケース1 1336 1,206 1,071
951
854
769
689
611
542
486
438
ケース2 1,336 1,206 1,080
965
874
798
732
673
623
587
559
ケース3 1336 1208 1102 1015
947
915
893
871
863
870
892
ケース1
社人研推計値
ケース2
出生率向上対策実施
(出生率を国目標値 2040 年 2.07 にした場合の豊根村推計値)
ケース3
出生率向上対策(ケース2)に加え、転出抑制及び転入促進対策を
実施
(毎年 3 家族(30 代大人 2 人・小学生子供 1 人)程度の定住促進が
実現した場合の豊根村独自推計値)
9
ケース1
今後の変化を前提としない推計
( 社人研の将来推計人口推計値
)
2040 年(25 年後) 2060 年(45 年後)
ケース1
社人研推計値
(対策を講じない場合)
689 人
438 人
ケース2
出生率向上対策実施
( 出生率を国の目指す目標まで向上・回復させる )
国のビジョンによれば、仮定として、現在の全国の出生率 1.39 を、
2020 年に出生率 1.6、2030 年に 1.8 まで向上し、2040 年に 2.07 が達成
されるケースを前提としている。
豊根村の出生率の想定目標の考え方としては、全国の出生率が 1.39
に対し、豊根村の出生率は 1.51 であるので、これを前提に国の出生率
目標とそのまま適用した場合を想定する。
2040 年(25 年後) 2060 年(45 年後)
ケース1
社人研推計値
(対策を講じない場合)
689 人
438 人
ケース2
出生率向上対策実施
(国目標値を実現)
732 人
559 人
10
ケース3
出生率向上対策(ケース2)に加え、転出抑制及び転入促進対策を
実施
出生率向上対策(ケース2)に加え、以下の対策を進めることで、
人口社会減を現在数値(年平均 15 人)の半減を目標とする。
そのため毎年 3 家族(計 9 人)を新たに確保していくことを目標と
してしごとの確保と定住生活基盤の確保を実施する。
ア しごとの確保
基本的視点にある若者の定住と生涯現役の高齢社会の実現に本格的に取
り組むことにより、既存産業の活性化、新しい起業などによる雇用力の向
上に期待をする。
遊休農地の増加、伐採時期を迎えた森林の増加など、地域資源は今まで
になく量的には確保されてきており、そうした地域資源を最大限に生かし、
さらには観光的視点で観光入込客を取り込むことで新しい産業として伸び
ていくことが期待できる。そうした対策を積極的に展開すれば、地域の雇
用力は今まで以上に確保できることが期待される。
高齢者や団塊の世代の定年などによる生産年齢人口の減少は、地域に雇
用があっても人がいない状況になりかねず、雇用対策に合わせしっかりと
した生産年齢人口の確保対策を行っていく。
イ
定住生活基盤の確保
現在の豊根村では、雇用の多い都市部への道路状況が悪く、時間がかか
るため、都市部へ通勤することが難しい状況にある。現在の通勤は、設楽
町や東栄町、長野県阿南町など近隣市町村にとどまっている。
今回の地方創生の動きにより、近隣の市町村における経済の活性化も期
待されることから、通勤可能域な近隣市町村での雇用の増加がなされれば、
通勤可能性が高まることが期待できる。
また、高規格道路の整備をはじめ幹線道路の整備が進めば、より広域へ
の通勤の可能性が大きく高まる。
豊根村の自然環境豊かな地域特性を活かして、その魅力を最大限活用し
た生活基盤を含めた住環境を提供することで、いままでにあまり多くみら
れない通勤による定住人口の伸びを期待することができる。
また、生涯現役の取組により健康長寿化が一層図ることができれば、自
然減の抑制となり、地域経済や地域社会の活力も向上し、定年後 U ターン
など豊根村出身者の帰村の動きも期待できる。
11
2040 年(25 年後)
2060 年(45 年後)
ケース1
社人研推計値
(対策を講じない場合)
689 人
438 人
ケース2
出生率向上対策実施
(国目標値を実現)
732 人
559 人
893 人
892 人
ケース3
出生率向上対策実施及び
転出抑制及び転入促進対策
実施
(毎年 3 家族受け入れ)
12
2 目標人口の検証
(1)小中学生数の確保の視点からの検証
小中学生数は、定住促進を進めるにあたって、子供の教育環境の確保は重要
な視点である。一定数の児童生徒の確保ができないと複式学級になるなど教育
面での不安要素が生じることは、定住者、特にUIターンを促進するうえで支
障が生じる。
また、子供の確保は、将来の担い手確保に直結するものである。
そのため、複式学級にならない規模(1 学年あたり 8 人以上)を確保すること
が必要とする視点から検証した。
出生率向上対策に加え、転出抑制・転入促進対策を実施する人口推計ケース
3の場合から試算した場合、最低で 63 人まで減少するが、2020 年以降対策の
効果が発現し、小中学生数が増加する。2030 年には 72 人となり、その頃には
複式学級を解消できることになる。
単位:人
120
100
100
85
83
80
63
60
50
49
47
40
32
23
20
0
2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060
ケース1
85
76
48
43
37
33
32
31
29
26
23
ケース2
85
76
47
47
46
46
49
54
58
55
50
ケース3
85
76
63
66
72
77
83
92
96
97
100
ケース1
人口推計におけるケース1(社人研推計値)から豊根村で推計した小中学生数
ケース2
人口推計におけるケース2(出生率向上対策実施により国目標 2.07 を実現)か
ら豊根村で推計した小中学生数
ケース3
人口推計におけるケース3(出生率向上対策を実施及び転出抑制・転入促進対
策を実施)から豊根村で推計した小中学生数
13
(2)生産年齢人口確保の視点からの検証
豊根村における産業活動を維持するためには、一定の生産年齢人口の確保を
図る必要がある。
出生率向上対策に加え、転出抑制・転入促進対策を実施する人口推計ケース
3の場合から試算した場合、2060 年の生産年齢人口は 509 人であり、現在の
503 人を維持する規模となる。
ケース1の場合(6 ページ表)に比較して、対策の効果により、生産年齢人口
が確保されることから、その減少に歯止めをかけることができる。
ケース 3 における生産年齢人口数(14-64 歳)の推移
単位:人
1600
65歳以上
1400
15~64歳
1200
1000
14歳以下
612
595
552
800
486
399
342
302
246
232
225
225
449
455
480
479
491
424
433
509
450
100
105
115
124
136
145
152
154
158
600
400
594
503
200
0
130
110
2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060
(出典:豊根村推計値)
14
ケース 3 における生産年齢人口(14-64 歳)割合の推移
100%
90%
80%
46
49
70%
50
48
42
37
34
28
27
26
25
60%
65歳以上
50%
40%
30%
44
42
41
42
10
9
9
10
46
49
51
14
15
55
55
17
18
56
15~64歳
57
20%
10%
0%
12
18
18
2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060
(出典:豊根村推計値)
15
14歳以下
おわりに
国のビジョンが指摘するように、人口減少を増加に転じさせることはもとよ
り、これに歯止めをかけることすら極めて困難な課題である。現在半数を占め
る高齢世代が減少する局面が 2020 年から 2025 年ころにかけて訪れ、急速な人
口数自体の減少が起きることから、その状況を踏まえた積極的な人口対策が早
急に必要である。
国、県、近隣自治体と連携しながらも、村民、企業、団体などとしっかり歩
調を合わせ一体的かつ積極的な新しい取り組みを推進していかなければならな
い。
人口減少問題は、豊根村では半世紀前から続いている課題である。その間、
全国に先駆けて少子高齢化を迎え、現在では、少子高齢化のピークの時期にあ
たる。今後、各種対策を講じることにより、2020 年ころまでは、少子高齢化が
進むが、2020 年以降には、高齢者率が減少する「脱高齢化」といった新しい時
代を迎える。
対策の効果が発現すれば、2060 年には、高齢化率 25%、若年者比率 18%と
バランスの良い人口構成の実現も可能となる。
こうした局面をしっかりと予測し、脱高齢化社会の先駆けとして積極的に行
動し、その解決に全力を挙げることで、一早く、バランスの良い人口構成を実
現し、人口規模が小さくとも持続可能な地域となるよう、対策を早急に進めて
いく必要がある。
16
参考資料
1
年齢階層別人口移動の推移(男性)
2
年齢階層別人口移動の推移(女性)
3
通勤通学地域の状況
4
転入転出先の状況
17
1
年齢階層別人口移動の推移(男性)
単位:人
20
10
0
-10
-20
-30
85歳~→90歳~
80~84歳→85~89歳
75~79歳→80~84歳
70~74歳→75~79歳
65~69歳→70~74歳
60~64歳→65~69歳
55~59歳→60~64歳
50~54歳→55~59歳
45~49歳→50~54歳
40~44歳→45~49歳
35~39歳→40~44歳
30~34歳→35~39歳
25~29歳→30~34歳
20~24歳→25~29歳
15~19歳→20~24歳
1995
10~14歳→15~19歳
-50
5~9歳→10~14歳
1980
0~4歳→5~9歳
-40
2005
年
年
年
(出典:国提供データ)
○
村から通学できる高校・大学が限られることから進学時に村外へ転出する。
その後の U ターン率は 20%程度(豊根村役場調べ)と低いが、企業や学校な
どへの新規採用者などにより 20 代の転入がみられる。
○
10 代の転出者に対して、
I ターンを含め、20 代に約 3 割が戻ってきている。
20 代の転入は、1995 年に比較して、2005 年割合の方が高く、比率は高く
ないが、UI ターンが増加傾向にある。
○
○
最近の傾向として、定年後の転入の傾向がみられる。
18
2
年齢階層別人口移動の推移(女性)
単位:人
20
10
0
-10
-20
-30
1980 年
-40
1995 年
85歳~→90歳~
80~84歳→85~89歳
75~79歳→80~84歳
70~74歳→75~79歳
65~69歳→70~74歳
60~64歳→65~69歳
55~59歳→60~64歳
50~54歳→55~59歳
45~49歳→50~54歳
40~44歳→45~49歳
35~39歳→40~44歳
30~34歳→35~39歳
25~29歳→30~34歳
20~24歳→25~29歳
15~19歳→20~24歳
10~14歳→15~19歳
5~9歳→10~14歳
0~4歳→5~9歳
-50
2005 年
(出典:国提供データ)
○
村から通学できる高校・大学が限られることから進学時に村外へ転出する。
その後の U ターン率は 20%程度(豊根村役場調べ)と低いが、企業や学校な
どへの新規採用者などにより 20 代の転入がみられる。
10 代の転出者に対して、I ターンを含め、20 代に戻る傾向があるが、男性
が1/3程度戻っているのに比較して1/7と非常に低い。
○
○
30 代、40 代に転入する傾向がみられる。婚姻によるものと推測される。
○
定年後の転入は、男性に比較して少ない傾向がみられる。
19
3
通勤通学先の地域の状況
100%
3%
5%
5%
3%
3%
5%
6%
6%
86%
85%
平成12年
平成17年
平成22年
県外
3%
3%
3%
県内(近隣除く)
0%
0%
1%
東三河(4市)
1%
1%
1%
新城市
0%
1%
2%
東栄町
5%
5%
6%
設楽町
5%
6%
7%
豊根村
86%
85%
81%
90%
80%
7%
70%
60%
50%
40%
81%
30%
20%
10%
0%
(出典:地域経済分析システム)
○
○
豊根村内への通勤通学が 8 割を超えている。
1 時間圏域にある近隣市町村への通勤通学がわずかではあるが増加傾向に
ある。
20
4
転入転出先の状況
(1)豊根村からの転出先の状況(2012~2013 年における比率)
約半数が、東三河地域であり、進学なども含め近隣への転出が顕著であ
る。
20%
北設楽
18%
新城
東三河(4市)
10%
県内
28%
県外
24%
(出典:国提供データ)
(2)豊根村への転入先の状況(2012~2013 年における比率)
約半数が、東三河地域であり、近隣からの転入が顕著である。これは、
転出と同じ傾向にある。首都圏や名古屋圏などの大都市からの転入は、あ
まり見られない。
9%
北設楽
24%
新城
19%
東三河(4市)
県内
24%
県外
24%
(出典:国提供データ)
21