第 6 章 計 画 の 基 本 構 想 第5章まで見てきた、高齢者の状況及び現在までの福祉サービスの現況 と課題を踏まえ、本章では本計画の基本構想として、今後の本市高齢者福 祉計画及び介護保険事業に係る基本的な考え方を示します。 第1節 基本理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 第2節 政策目標と重点課題・・・・・・・・・・・・・・・26 第6章 第1節 計画の基本構想 基本理念 計画の策定にあたって、その基本となる理念は、第5期に引き続き以下の ように定めました。 「生涯現役社会をめざし みんなでつくる 安らぎのまち」 介護保険制度は、平成 12 年度にスタートしてから 15 年が経過しますが、 年々要介護者が増加し、それに伴い保険給付費が増大する状況に対応した改 正が行われながら、国民の老後の生活の安心を担い続けています。一方で介 護保険制度は、高齢者が介護を必要とせず、元気で生き活きと自立した生活 を送ることができることを目指し、平成 18 年 4 月に予防重視型へ転換されま した。 平成 26 年度の制度改正では、要支援者等の高齢者の多様な生活支援のニー ズに地域全体で応えていくため、予防給付の訪問介護及び通所介護について、 全国一律の基準に基づくサービスから、地域の実情に応じて、市町村が効率 的かつ効果的に実施することができる「介護予防・日常生活支援総合事業」 に移行することとされました。 本市においても、介護が必要になったときに手厚いサービスを提供すると いう従来の視点からだけではなく、自立支援の観点から予防サービスを重視 し、個々の状態に応じた多様な予防サービスの充実を図り、すべての高齢者 が健康で自立した生活を送り、生きがいを持ちながら安心して過ごせる地域 社会の実現を目指してまいりました。 生涯現役社会とは、高齢者が健康で自立した生活を送り続けることができ ること、元気で自立している高齢者が少し助けの必要な高齢者のサポートを 行うこと、さらに例え要介護状態となっても、できる限りその人が有する能 力や機能を生かしながら、住み慣れた地域で質の高い、その人らしい生活を 送ることができる社会と定義します。 市では、少子高齢化や核家族化、さらには地域コミュニティの希薄化に起 因する、高齢者を取り巻く様々な社会的な不安や問題を緩和・解消するため に、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年に向け、医療、介護、介護予 防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される地域包括ケア システムの体制づくりを行い、 「生涯現役社会をめざし らぎのまち」の実現に努めてまいります。 - 25 - みんなでつくる 安 第2節 政策目標と重点課題 基本理念を実現させるために、本計画における政策目標を以下のとおり定 めるとともに、これらの政策目標の実現に向けて、また、必要な施策を展開 していくため、個々の政策目標ごとに重点課題を設定しました。 <基本理念> 生涯現役社会をめざし みんなでつくる <政策目標 Ⅰ> 「高齢者福祉の充実」 ⅰ ⅱ ⅲ ⅳ ⅴ ⅵ 高齢者への福祉サービスの提供 生きがい対策の充実 就労対策の充実 認知症高齢者支援対策の推進 高齢者虐待防止対策の推進 被災した高齢者の支援 <政策目標 Ⅱ> 「介護保険事業の効率的な運用」 ⅰ ⅱ ⅲ ⅳ ⅴ 適切な介護サービスの提供 サービス基盤の充実・介護職員の育成と確保 介護保険制度の健全な運営 介護給付費適正化の推進 介護認定審査会の充実 - 26 - 安らぎのまち Ⅰ 高齢者福祉の充実 高齢者が住み慣れた地域において安心して生活し続けることができるよう、 高齢者及びその家族を含む地域の人々が相互に支え合い、助け合う環境づく りを推進します。 さらに、高齢者が介護を必要とする状態になっても、その人らしい生活を 自分の意志で送ることができるよう、高齢者の尊厳を支える体制の強化を図 るなど、総合的な高齢者福祉の充実に努めます。 また、今後、介護保険における地域支援事業と調整し、事業の集約等、事 業の見直しを図っていきます。 ⅰ ⅱ ⅲ ⅳ ⅴ ⅵ 高齢者への福祉サービスの提供 高齢者が住み慣れた地域で、日常生活や健康状態を維持しながら安心 して暮らして行けるように、行政、民間、NPO、ボランティア等が一 体となって、自立を支援するための各種福祉サービスを提供します。 生きがい対策の充実 高齢者が、社会の中でいつまでも現役であることを認識し、趣味・余 暇活動等何らかの形での社会参加が行えるような環境づくりを進めま す。 これにより、高齢者が社会の一員であることを再認識し、精神的な自 立が図られるとともに、生活に対し大いに自信が持てるものと考えられ ます。さらに、高齢者の持つ資源(長年の経験にもとづく知識や技能な ど)を有効に活用し、社会システムの中に取り入れることにより、活力 ある地域社会の実現を図ることが可能となります。 就労対策の充実 高齢者の積極的な社会参加を図るために、職業紹介の機能を強化する 体制を整備します。 認知症高齢者支援対策の推進 認知症の高齢者に対する理解を深めるための啓発のほか、認知症とな った高齢者への支援体制を整備します。 高齢者虐待防止対策の推進 高齢者に対する虐待を未然に防止し、高齢者が尊厳を持って生活がで きる地域を目指します。 被災した高齢者への支援 東日本大震災により被災した高齢者が、地域で安心して暮らせる支援 体制を検討します。 - 27 - Ⅱ 介護保険事業の効率的な運用 さらに高齢化が進むと予想される本市の年齢構造を踏まえ、介護保険事業 の適切な運用を図るために、平成 18 年度から本格的に導入された介護予防の 効果が十分に得られるよう施策を推進するとともに、介護保険の限られた財 源が有効に活用されるよう、東日本大震災による影響を考慮しつつ介護保険 事業における需要の把握、認定、介護業務の評価などを適切に実行していき ます。 ⅰ 適切な介護サービスの提供 利用者のニーズにあった介護サービスを提供するとともに、要介護状 態に陥ることを未然に防止するなど、予防重視型への転換を推進します。 また、要支援・要介護になるおそれのある高齢者を対象とした効果的 な介護予防事業を引き続き実施します。 ⅱ サービス基盤の充実・介護職員の育成と確保 少子高齢化の進展や景況の回復、震災からの復興事業の増加等により、 介護職に就く人材が不足しています。このことから、介護サービス事業 所では、人材確保に苦慮しているところも見受けられるため、市独自の 介護職育成のための事業を引き続き実施するほか、国、県と連携を強化 しながら、介護職員の育成や雇用に繋がるための対策を検討・実施し、 相馬市の介護サービス提供基盤を充実させます。 ⅲ 介護保険制度の健全な運営 介護保険制度の健全な運営を図るため、適正な保険料を設定するとと もに、普通徴収に係る滞納者の早期の把握と対策に努め収納率の向上を 図ります。また、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故により人口 動態の変動が大きくなっていることから、その把握と分析に努めます。 また、サービスの質的向上を図るため、事業者の指導を行っていきます。 ⅳ 介護給付費適正化の推進 介護給付費の適正化を図るため、介護保険の財政状況の分析や介護給 付費の動向等の的確な把握に努めます。 ⅴ 介護認定審査会の充実 介護保険制度において、要介護認定をもとに給付されるサービスの総 量を決定する重要な位置を担っていることから、審査判定が公平公正に 行われるよう努めます。 - 28 -
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