自然と文化科 活動記録 “名塩和紙”紙漉き体験と名塩村の歴史と文化をひもとく 日時 2015年8月28日(金) 場所 西宮市「名塩」周辺 9:30~15:30 晴 担 当 者 文:八木橋佐知子 写真:倉田 祐子 備考 参加者数 1 班 12名・2 班 14名・3 班 12名・4 班 14名・5 班 14名・6 班 9 名 総数75名 (紙漉き体験午前の部 3,4,5班 午後の部1,2、6 班) 行程:JR名塩駅9:30集合 和紙学習館で紙漉き体験→昼食(西宮名塩SA)→谷徳製紙所で名塩紙の説明と実演を見学→名塩村を 散策 (紙漉き午後の部グループは逆コース) 1 紙漉き体験 名塩駅から徒歩 20 分、残暑厳しい中名塩和紙学習館に着く。2階の展示室横の部屋で、はがきに漉き込む 個人識別マークを作成。後、ビデオで名塩和紙を学ぶ。名塩紙は集落近辺の山中に自生する雁皮を素材とし、 それに村落の付近で採掘できる神戸層群第2凝灰岩という岩石をくだいた泥を混入するため、他に類を見ない 名塩和紙となり偽造しにくいので藩札として多く利用されたそうだ。 1 階の実習室にはすき舟が8台、4~5 人づつに分かれる。はがきの大きさの道具を使い、手順通りパルプを 6 回掬う。4 回目に飾りと自分のマークをデザインして漉き込む。ひとり 10 枚前後の作品ができあがった。い ちばん多い人は 29 枚できたと聞く。パルプは木材パルプ75%に楮、雁皮の混合液。 2. 谷徳製紙所見学 昼食の後、徒歩で谷徳製紙所に向かう。谷野武信さんは工業技術・和紙の分野で人間国宝に認定されている 方だ。雁皮、泥、水、など紙料液の話につづき、手すきの実演を見せていただいた。水の中からいっきに掬い 上げた大きな間似合紙の簀子を、隅々まで凝視する横顔は、辺りの空気を凜とさせて凄さを感じる。二条城や 須磨寺の障子紙、国宝や文化財、地域の小学校和室にも名塩和紙が使われているという。 3. 名塩村散策 「蘭学の泉ここに湧き出す」という石碑の前で名塩出身の緒方八重さんについて説明を聞く。竹林を抜け、 小さな滝を通り 14;00 教行寺に着く。住職さんのお話は地名の由来について。奈良の大乗院の記録によると、 昔、この辺りは内塩(ナイジョ)とよばれ、塩分を含んだぬるい温泉が湧いていて農耕馬を洗った。内塩がい つしか名塩となって定着したそうだ。その他、西宮、生瀬、船坂など地名というのは歴史的意味を背負ってい るという。開け放った窓からミンミンミ~ンとセミの声が聞こえてくる。午後の部の人たちは「教行信証」に ついてのお話だったようだ。東山地区から斜行エレベーターで名塩駅へ。 所感:数年前、谷徳製紙所を訪れたときはまだ高速道路はなく、あの小さな作業場につづく敷地はそのまま草 むらから山へと続いていた。村の外れといった静かな場所で、この地で連綿と紙が漉かれていたのだろうと想 像できる環境だったように覚えている。あまりの変化に驚いた。
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