【ビジネスニュースレター2015年8月号】「人事評価制度改定のポイント」

ビジネスニュースレター
2015 年 8 月号
日 頃 は「ビジネスニュースレター」をご愛 読 いただき、誠 にありがとうございます。
今月号は、【人 事 評 価 制 度 は精 緻 に作 り込 むべきか?~人 事 評 価 制 度 改 定 のポイント~】 と
【路 線 価 の公 表 と相 続 税 の課 税 強 化 】 をテーマにとりあげています。
人事評価制度は精緻に作り込むべきか?
~人事評価制度改定のポイント~
昨今では多くの企業で人事評価制度に関する強い問題意識を持ち、それらへの対処として制度を精緻
化するケースが多く見受けられます。しかし、制度の形骸化を招きかねない精緻化ではなく、むしろ制度
のシンプル化による会社メッセージの明確化や、運用面での的確な対応こそが、人事制度の信頼性向
上につながる着実な打ち手であるといえます。
昨今、経営者の方々と人事領域に関するお話
2.人事評価制度改定のポイント
をする中で、自社の人事評価制度に対する問題
それでは、問題意識への打ち手として、どの
意識の高まりを実感することが増えています。「数
ようなポイントを意識すべきでしょうか。一般的
年前に導入した人事評価制度が現状に合ってい
な評価要素である成果評価(業績数値等)、
ない」、「評価基準が曖昧で、評価者により甘辛
プロセス評価(成果に結び付く行動等)のいず
のバラつきが出る」等が典型的なケースです。今
れに対しても、以下3点の着実な実践が効果
回は、こうした問題意識に対し「人事評価制度を
的です。
精緻に作り込むべきか」という側面から、制度改
①「会社として現在、社員に意識付けたいメッ
セージ」の観点から、評価項目・基準をシン
プルに絞り込む
定のポイントについて考察します。
1.人事評価制度は精緻に作り込むべきか?
冒頭の典型的な問題意識に対して、評価項目
数の大幅な追加や、評価基準の詳細化(期待
する日常業務行動を数多く列挙する等)により対
②評価者研修やフィードバック面談の実施等、
運用面を通じて社員間での評価内容擦り合
わせを図る
した精緻な制度設計を行ったにも関わらず、以
③人事部門による現場への助言や情報提供等
のフォローを丁寧に行う
下の各点で機能しないものとなり、制度形骸化
各社の実情に応じて上記のポイントを重層的
応するケースが多く見受けられます。しかし、こう
に拍車をかけてしまうことが多いのが実情です。
に組み合わせ、地道な取り組みを繰り返すこと
①ボリュームが膨大になり、上司・部下の双方に
とって評価実務が煩雑になる
こそが、人事評価制度の信頼性向上につなが
②評価項目数が多過ぎ、会社として社員に期
待するメッセージが伝わりにくくなる
③事業や組織の改編の都度、評価項目・基準
を頻繁に修正する手間がかかる
るものと確信します。
路線価の公表と相続税の課税強化
7月1日に国税庁から路線価が発表されました。路線価の全国平均でみると
0.4%の下落(7年連続の
35
年前、中国では名も知られていない小さい漁港の街であった「深圳」は、鄧小平氏の地図
マイナス)ですが、下げ幅は縮小してきており、また、大都市を中心に回復傾向が鮮明になってきてい
に付けた一筆により、経済特区に指定されました。そこから、中国改革開放の先駆けとなり、中
ます。
国経済を牽引して「深圳奇跡」を起こしてきました。現在、多くの日系企業が製造拠点として進
平成 27 年から相続税の計算における基礎控除額が大幅に減額され、以前は相続税がかからなかっ
たケースでも今後は相続税を負担しなければならない場合も出てきます。特に都内に不動産をお持ち
出している深圳は、低付加価値工業の退出により新たなビジネスモデルへと舵をきっています。
の方は路線価の発表を機に、一度、相続税がかかるかどうか試算してみてはいかがでしょうか。
果たして、新たな飛躍と奇跡は期待できるのでしょうか?
(1)路線価とは
国税庁が毎年7月頃に公表する土地1㎡当たりの価格であり、相続税や贈与税を計算する際の、
土地の評価に利用されるものです。
(2)相続税の課税強化
税制改正により、平成 27 年 1 月 1 日以降の相続税の負担が重くなっています。
改正前
改正後
相続税の
基礎控除額の縮小
5,000 万円+1,000 万円×法定相続人の数
3,000 万円+600 万円×法定相続人の数
最高税率
50%
55%
(3)相続税の試算
将来の相続に備えて相続税を試算する場合、まずは土地と建物について大まかな評価をし、
現預金や上場株式などその他の財産を合算します。
〈試算における各財産の評価方法〉
土地 (居住用) ······· 路線価×地積 ※
建物 (居住用) ······· 固定資産税評価額×1.0
現預金 ··············· 試算時の残高
上場株式等 ·········· 試算時の時価
※土地の利用状況や形状によって細かく計算方法が
定められていますが、「路線価×地積」で大まかな
評価額は確認できます。
居住用に使用している不動産については評価を大幅に減額する特例がありますが、その要件
に適合するかどうか確認しておくことが必要です(特例を適用するためには相続税の申告書を
提出する必要があるので注意して下さい)。
(4)基礎控除額を超える場合
上記の合計金額が相続税の基礎控除額(3,000 万円+600 万円×法定相続人の数)を超える
場合には相続税が課税される可能性が出てくるので、以下のような点に留意しておきましょう。
① 生前に適用を受けられる各種特例(例えば、居住用の不動産を配偶者に贈与する場合の非
課税規定、居住用の住宅取得資金の贈与、教育資金・結婚資金の贈与など)を利用して相
続税の負担を軽減することが出来ます。
② 相続税の計算は遺産を誰が取得するかによって大きく変動します。遺産分割の大まかなイ
メージに基づいて相続税を計算してみましょう。
③ 想定される相続税に対して、納税資金が十分に確保されているか(手持ちの現預金で支払
可能な範囲か)確認する必要があります。
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