安倍内閣の「戦争法案」に断固反対する

20150608 日本科学者会議東京支部常任幹事会声明
安倍内閣の「戦争法案」に断固反対する
戦争遂行のための「平和安全法制」ではなく、
日本国憲法に立脚した平和の構築を
安倍政権は「平和安全法制」の今国会での成立をめざし、5月 26 日、衆院本会議で審議入りし
本格的な論戦が始まった。その短期間の国会論戦を通じても、この法制化が、米国の期待を背負っ
た日本の保守支配層の過去四半世紀にわたって執着し続けた「海外で戦争のできる体制づくり」の
完成をねらった「戦争法案」であることが明瞭となった。日本を戦争する国にするのを許すのかど
うか、いま戦後最大の岐路に立っている。私たち日本科学者会議東京支部は、安倍内閣の「戦争法
案」に対して、つぎの諸点から断固として反対する。
第一に、この法制化は、武力を用いずに紛争を解決するという、日本国憲法を軸に積み上げら
れてきた戦後日本のありかたを根底から覆すものであり、憲法に違反することは明白である。安倍
政権の「積極的平和主義」のスローガンの下で、日本国外に積極的に出向き武力を行使して問題解
決に当たるという政策が、日本をとりまく東アジア地域の緊張をいっそう深刻にすることは避けら
れない。こうした憲法違反の危険な法制化を認めることはできない。
第二に、この法制化は、日本がどこからも武力攻撃を受けていない場合でも「重要影響事態」
だとして集団的自衛権を発動し、自衛隊が地球規模で米軍や他国軍を支援し武力行使することに道
を開くものである。冷戦期および対テロ戦争の名の下で米国が引き起こしてきた戦争の実態をみる
ならば、その戦争への協力は、国際社会における平和国家としての日本への信頼をむしろ悪化させ
ることになる。集団的自衛権の発動によるそうした戦争協力が日本に暮らす私たちにとって死活の
問題だとする安倍政権の説明は決して承服できない。
第三に、安倍首相は「日米防衛協力の指針」
(ガイドライン)改定の正式合意をふまえ、4 月 30
日米国上下院合同会議で「戦争法案」を夏までに成立させると米国に約束した。しかし毎日新聞世
論調査(5月 23・24 日実施)の結果は、集団的自衛権の行使など安全保障関連法案への「反対」
53%、今国会の成立「反対」54%であり、その他マスコミ各紙の調査でも国民の過半数が「戦争法
案」に反対である。安倍政権はこうした国民の批判に一切耳を傾けず、国会の場でもすり替えの議
論に終始し、国民に対する説明責任を果たすという民主主義の最低限の手続きさえも経ずにこの法
制化を強行しようとしている。これは民主主義の根幹の否定であり、断じて容認できない。
武力に頼らない国際紛争の解決方法を探求し実践することによってこそ、日本および世界の平
和に資することができる.科学の進歩と平和・独立・民主主義・人びとの生活向上を会則にかかげ
る私たち日本科学者会議東京支部はその社会的責任を自覚し、日本の各地に広がっている「戦争法
案」許すなの運動と連帯して、安倍政権による「海外で戦争のできる体制づくり」を阻止し、日本
国憲法に基づいた平和の創造を目指す共同の輪を広げるために全力を尽くすものである。
2015 年 6 月8日
日本科学者会議東京支部常任幹事会