研究推進構想 1 研究主題 感謝と奉仕の心をもつ子どもの育成 ~対話の生まれる道徳の時間の授業づくりを通して~ 2 ~ 研究主題設定の理由 本校では,3代から4代にわたって本校舎で学んだという家庭が大半を占め,地域住民からは惜し みない協力を受けている。現在では,運動会やぬかピカレース大会,あゆのつかみどり,ジャンボ巻 き寿司大会,友愛訪問など,振興会と連携し実施している学校行事や教科学習も数多くあり,愛校心 や郷土愛を育む素地にも恵まれている。和文化体験や食農教育にも積極的な支援体制ができている。 昨年度は,郷野地区を学びの場として体験活動(ふるさと学習)の充実を図り,「気づき,考える, 実行する」学習活動と道徳の時間の関連を持たせ,道徳的な価値の自覚を深め,道徳的実践力を育むこ とを通して「感謝・奉仕」の心をもつ児童の育成を図った。 今年度は、体験活動や自治活動における様々な気づきと道徳の時間にねらいとする価値内容の関連 を図り,「対話」を通して,より道徳的価値の自覚を深め、確かな道徳的実践力を身に付け,道徳的実践 への志向に向けた心情を高めていく。本研究を通して,より一層「気づき 考える 実行する」の学び のサイクルを大切にし,感謝と奉仕の心を育成していく。 3 研究仮説 体験活動や自治活動を生かした対話が生まれる道徳の時間の授業づくりを行えば,児童の「感 謝・奉仕」の心と実践力を育てることができるであろう。 4 研究の視点 (1) 対話の生まれる道徳の時間(授業改善) ①中心発問の工夫…自己との対話を生む ・「自分はどう考えるのか」という内省的視点を持たせる授業 ②交流場面の工夫…他者との対話を生む ・中心発問について,心を開いて自己の考えを伝え,友達の考えを聴きながら重ね 合わせ,語り合うことを通して新たな道徳的価値への気付きを持つ授業 (2) 道徳の時間と体験活動(ふるさと学習)を関連させた道徳教育プログラム。 ・重点項目を「感謝・奉仕」「愛校心・郷土愛」とし,発達段階に応じた指導の工夫を図る。 ・「ふるさと学習」の事前または事後に,効果的に道徳の時間を設定し関連を持たせる。 ・体験活動において毎時間の振返りを大切にし,書く活動として位置付ける。 ・プリントやワークシートをまとめてファイリングし,あとで,振返ることができるようにする。 ・地域に学ぶ学習を「ふるさと学習」とし,郷野を舞台とする学習を積極的に進める。 (3)児童の自治活動を重視し,「気づく 考える 実行する」態度を重視する。 ・自治的な児童会や縦割り班活動の充実を図る。 ・青少年赤十字活動を活性化し,「気づく 考える 実行する」態度を育てる。 ・自覚と責任の気持ちを育てる場の設定をする。 (4)心を育てる姿勢づくり ・立腰・傾聴・黙動 ・学校環境の整備を行う。(自己肯定感,所属感,仲間との響感) ・安心できる学校生活環境やお互いに感謝することのできる空間づくりをする。 ・家庭・地域との連携 4 めざす子どもの姿 1・2学年 3・4学年 5・6学年 ○日ごろお世話になっている ○生活を支えている人々や高齢 ○日々の生活が人々の支え合いや 者に,尊敬と感謝の気持ちをも 助け合いで成り立っていること って接する子 に感謝し,それにこたえる子 人々に感謝する子 2-(4)感謝 2-(4)尊敬,感謝 ○働くことのよさを感じて,みん ○働くことの大切さを知り,進ん なのために働く子 でみんなのために働く子 2-(5)感謝,報恩 ○働くことの意義を理解し,社会に 貢献する喜びを知って公共のた めに役に立つことをする子 4-(2)勤労感謝 4-(2)勤労,奉仕 4-(4)勤労,社会奉仕 ○学校の人々に親しんで,学級や ○学校の人々を敬愛し,みんなで ○学校の人々への敬愛を深め,みん 協力し合って楽しい学級をつ なで協力し合いよりよい校風を くる子 つくる子 学校の生活を楽しくする子 4-(4)愛校心 ○郷土の文化や生活に親しみ,愛 着をもつ子 4-(4)愛校心 4-(6)愛校心,よりよい校風 ○郷土の伝統と文化を大切にし, ○郷土や我が国の伝統と文化を大 郷土を愛する心をもつ子 切にし,先人の努力を知り,郷土 や国を愛する心をもつ子 4-(5)郷土への愛着 5 4-(5)郷土愛 4-(7)郷土愛,愛国心 研究内容 (1)道徳の時間の充実 ・対話の生まれる道徳の授業にするための教材研究・授業研究を行う。 ・対話の時間を道徳の時間及び各教科領域で,意図的計画的に設定する。 ・生徒指導の三機能を生かした授業を行う。 「わたしたちの道徳」を年間指導計画に仕組み,しっかりと活用する。 (2)体験活動(ふるさと学習)や自治活動と道徳の時間の関連を図る学習活動の工夫 重点項目「感謝・奉仕」「愛校心・郷土愛」 (3)道徳的な問題への気づきを引き出す工夫 学習の記録と振返り,自己評価の工夫を通して新たな気づきを引き出す。 6 体験活動(ふるさと学習)と道徳教育の関連図 道徳的実践 ④体験する 道徳的心情 実行する ③自覚する 次はこうしよう 道徳的実践 意欲態度 対 話 ①気づく 問題に気づく ②理解する 大切なことは 何か考える 道徳的判断 7 対話が生まれる道徳授業とは 道徳の時間は,児童生徒が,資料や教師,友達などとのかかわりを通して,自己との対話(自 分自身への問いかけ)を深めていくことによって,道徳的実践力を育成しようとするものである。 他者との対話を通して,より自己の道徳的価値をどのように深めていくかということに着目し, 道徳の時間の授業改善を図ることは,道徳的実践力を育成する上で,重要であると考える。 (1)自己との対話 これまで正しいと思ってきたある行動の仕方が,果たして本当に道徳的な見地において正しいの かどうかを自分自身に問うような,これまで利己的であった考え方,確信,評価が疑わしくなった ときに自己を問うことが自己との対話であると考える。 (2)他者との対話 自分への問いが自分自身では解決できないとき,その問いについて互いに話し合い,聴き合いな がら,その中で生まれてきた新たな問いについてまた話し合うことで,これからの生き方について 考えを深めることであると考える。 8 仮説検証について (1)「感謝」と「奉仕」の心の育成について ・道徳アンケート…学期ごとの質問紙調査により,肯定的な回答数割合90%以上 ・道徳ノート等の記述…価値項目にそった振返りの視点で記述している児童の割合80%以上 ・自分の成長の木…年間を通して自分の成長を肯定的に記述する児童の割合90%以上 (2)道徳的実践力の育成について ・道徳意識アンケート ・保護者アンケート(学校自己評価) 9 研究の方法 〇文献(学習指導要領,文部科学省・広島県教育委員会・先行研究校の発刊物等)による理論研究 〇外部講師を招聘しての理論研究と授業研究 〇研究授業による実践的研究と検証(全体研究,ブロック別研究,小中合同研究)
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