609第7章

14.6.2
400
第7章
300
フレンチパラドックス
200
ス
ノル
ウ
ェ
ー
ウ
ェ
ー
デ
フ
ィン ン
ラ
デ ンド
ン
マ
ー
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フ
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ス
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イ
ン
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ル
トガ
ル
イ
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ギ
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シ
ア
イ
ギ
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チ
ェ
オ
ー コ
ス
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ハ リア
ン
ガ
リ
ー
ロ
シ
ア
ル
ー
マ
ニ
ア
0
100
図7-1.欧州各国の虚血性心疾患年齢調整死亡率(2002年)の比較(WHOのデータをもとに作図) 糖
%
50
9.5
40
脂肪
タンパク質
9.6
アルコール
11.4
10.5
男性
30
20
10
0
50
40
%
フランス糖
7.1
イギリス
ドイツ
スペイン
脂肪
タンパク質
アルコール
6.9
10.3
イギリス
ドイツ
7.8
女性
30
20
10
0
フランス
スペイン
図7-2.欧州主要国における成人のエネルギー摂取量と熱量素構成割合(2004年)!
数値は総エネルギー摂取量(単位、MJ)!
European Nutrition and Health Report 2004より数値を引用して作図。 中世のヨーロッパ料理
フランス料理 フルコース
古代ローマ帝国の料理
1
14.6.2
Catherine de Médicis(1519-1589)
フランス王アンリ2世の王妃、フランソワ2世、
シャルル9世、アンリ3世の母
フィレンツエ
シュノンソー城
メディチ家の料理
アンリ2世
宮廷料理人の誕生
様々なソース
Catherine de Médicisがフランスに食べ物の二次機能を運んできた
ルイ14世(1638-1715)
失職した宮廷料理人は街へ出てレストランを開いた
革命後
革命前
ルイ16世(1774-1792)
マリーアントワネット
食べ物をおいしく
いただく方法
一般庶民の食事
とにかく量を確保
ビストロ料理の出現
マクシミリアン・
ロベスピエール
フランス革命はフランスの貴族社会を崩壊させた
フランスの一般庶民に
食べ物の二次機能が伝わった
2
14.6.2
フランス以外のヨーロッパ諸国の食事
ビストロ料理は日本の定食と大差ない
Catherine de Médicisの実家は商人(メディチ家)
・格式張る必要はない
・合理性の尊重(廉価でおいしく、お腹が一杯)
ローマ帝国以来の伝統
・食事を楽しむ
・品数・食材の増加
調理法や食材の点でフランス料理
との共通性は多い
フランス料理との違いはパスタ・ピ
ザ(粉もん)が加わる点
イタリア料理は量が半端でない
イタリアの食事を考察する
15
12
1
日
1
日
10
8
食
塩
摂
取
量
6
11.5
5
4
7.8
6.2
)
(MJ)
7.1
2
0
0
ス
ン
ラ
フ
イタリアの食事は大阪に多い「うどん付きの定食」
13.2
(
ー
摂
取
量
10
ス
ギ
イ
リ
ドイ
ツ
ン
ア
リ
イ
ペ
ス
タ
イ
イギ
リス
日
イ
フラ
スペ
本
ンス タリア
イン
イタリア人は英仏に比べて明らかに食べ過ぎで塩分摂取量も多い
(欧米型食事とアジア型食事の悪いところを集めている、
しかし、イタリア人の肥満者の割合や虚血性疾患の死亡率は英仏の中間)
3
14.6.2
破壊的な革命はなかった→
イギリスの貴族社会は健在
→宮廷料理人は街に出なかった
気象条件ゆえに食材が揃わない
ローストビーフ
フィッシュ&チップス
English breakfast
Afetrnoon tea
産業革命以降は効率が重視
→食事に時間をかけない
ピューリタン精神とジェントルマンに
美食は似合わない
イギリスの食事を考察する
イギリスに美食文化は根付かなかった
フランス、イギリス、イタリア
食事量:イタリア>フランス=イギリス
脂肪の摂取:フランス=イギリス=イタリア
肥満者の割合:
男性:イギリス>フランス>イタリア
女性:イギリス>イタリア>フランス
食塩摂取量:イタリア>フランス=イギリス
赤ワイン中のポリフェノールを
与えた肥満ラットでは血清コレ
ステロールや中性脂肪の濃度
が低下していた。
虚血性心疾患の死亡率
イギリス>イタリア>フランス
フレンチパラドックスというよりも、ブリティッシュパラドックス、
あるいは、イタリアンパラドックスといってもいいのでは?
フレンチパラドックスに赤ワインは寄与しているのか
イギリスの不成績は美食(=多彩な食材)でないことが関連?
ワイン中ポリフェノール濃度は
約200 mg/100 ml
54.8
120
イギリス
50
しかし、ポリフェノールが効果を
示すには1 g/日は必要
40
33.8
100
年
齢
調
整 80
死
亡
率 60
人
口
10
万 40
対
ワイン消費量の多いことは
肝臓疾患や外因死が多い
ことと関係していないだろう
か?
(
30
23.7
)
赤ワインを毎日500 ml以上
飲まないと効果は得られな
い
18
20
20
図7-5.国民1人当たりの年間ワイン消費量(リットル、2004年)
国際ブドウ・ブドウ酒機構発表資料より作成
しかし、これだけ飲むと、アル
コール中毒になる危険性大
患
患
殺
疾
疾
自
しかし、英国人はワイン消費
は少ないが、ビールとウィス
キー消費が多く、アルコール
消費はフランス人と変わらな
い
脳
血
管
心
性
虚
血
病
故
尿
事
変
硬
が
ん
0
糖
イギリスアメリカ 日本
通
交
臓
フランス イタリア スペイン ドイツ
フランス人のワイン消費量は
約150 ml/日なので、多飲者
はそれくらい飲んでいる。
肝
0.1
8.2
10
0
フランス人の平均寿命は
他の欧州人と大差ない
→心疾患以外の原因で死
ぬ人が多い
フランス
49.3
肝
60
図7-4.フランス人とイギリス人の死因別死亡率(2002年)の比較!
(WHOのデータをもとに作図) 結局、フランス人と英国人の
死因構造の違いを食生活か
ら説明することは難しい
4
14.6.2
フランスの食事の長所とは
多様な食材の長所とは
微量栄養素欠乏と
有害成分摂取の
リスクを軽減
多様な食材を使って食事を楽しむことに
あるのではないか?
そして、食生活を楽しむことも重要
多様な食べ物を適切な量、楽しく食べることが、健康につながる
5