低硫黄燃料油を使用する際のタンク洗浄について / Cleaning of

Gard Alert
低硫黄燃料油を使用する際のタンク洗浄について
こちらは、英文記事「Gard Alert: Cleaning of tanks for low sulphur fuels」
(2015 年 3 月 19 日付)の和訳です。
最近、MARPOL 条約で指定された排出規制水域(ECA)を航行中の
船舶において機関が損傷するという事故が発生しました。当該船舶
では、以前重質燃料油(HFO)に使用されていた燃料タンクに、硫黄
分 0.10%の低硫黄燃料油を積み込んだということです。この新たに
補給された低硫黄燃料油が、タンク内の HFO 残渣/沈殿物によって
汚染されたことが事故原因となった可能性があります。
厳格化された大気排出制限(MARPOL 条約付属書 VI)が 2015 年 1 月 1 日に施行されてから、船舶の多
くが ECA に入域する前に硫黄分 0.10%以下の燃料油への切り替えを行っています。ECA の通過に時間が
かかることもあるため、ECA 適合燃料を貯留するタンクの容量が十分でない船舶は、さらにタンクスペ
ースを確保する必要があります。HFO に使用していたタンクを専門業者に洗浄させずに ECA 適合燃料を
補給した場合、HFO の残渣/沈殿物によって ECA 適合燃料が汚染されてしまう可能性があります。そう
した場合、規制違反に問われるだけでなく、機関の不具合や、今回の事故のように機関の重大な損傷に
つながるおそれがあります。
以下の点にご留意ください。
•
•
ECA 適合燃料の中には貯蔵タンクなどに対して洗浄効果を持つものがあります。そうした燃料に
よってタンク内に長年蓄積された燃料油の沈殿物が取り除かれ、排出される可能性があります。
この種の燃料の一つである「ExxonMobil Premium HDME 50」の取り扱いに関するベストプラクテ
ィスシート(英文)を参考にしてください。
硫黄分が多く含まれている燃料油が貯蔵されていたタンクや供給管に ECA 適合燃料を補給する
と、規制不適合になる可能性があります。供給する ECA 適合燃料油の硫黄分が上限値(0.10%)
ぎりぎりである場合、硫黄分の多い燃料油が少し混ざっただけでもその上限値を超えてしまい、
結果として不適合燃料になるおそれがあります。
事前準備と注意点
船舶の主機関を正常に稼働させ、損傷や推進力の低下が生じないようにするためには、事前の計画策定
と予防的なメンテナンスが欠かせません。等級の異なる燃料油を切り替えることで ECA の要求事項への
遵守対応を行っている船舶において、硫黄分の多い燃料油を貯留していたタンクに適合油を補給する場
合には、燃料タンクと供給管が十分に洗浄されているよう注意してください。規制の不適合を招くおそ
れがあります。
ECA での運航については、下記の関連ニュースも参考にしてください。
•
DNV-GL Technical Update No.3「Notice for low sulphur, “hybrid” fuel operation(低硫黄「ハイブリッ
ド」燃料での運航に関する通知)
(英文)
」
(2015 年 3 月発行)
•
USCG Marine Safety Bulletin No. 02-15「New emission control area (ECA) sulphur cap started January
01, 2015(排出規制水域(ECA)での新たな硫黄分制限が 2015 年 1 月 1 日から始まる)(英文)」
(2015 年 3 月発行)
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•
Gard Alert「米国コーストガード - 低硫黄燃料問題」 (2015 年 3 月 4 日付)
•
EU Commission Implementing Decision 2015/253「The sampling and reporting as regards the sulphur
content of marine fuels(船舶燃料油の硫黄分に関するサンプリングと報告)(英文)」
(2015 年 2
月 16 日付)
•
Gard Loss Prevention Circular No. 06-14「低硫黄燃料による運航に備える」
(2014 年 12 月 19 日
付)
•
Veritas Petroleum Services Circular「Getting ready for hybrid fuels(ハイブリッド燃料への備え)(英
文)」
(2014 年 12 月 8 日付)
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