糖尿病足病変について(平成28年1月号)

Title:11
お知らせ・だいじょうぶ.eca
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Date:
2015/12/18
Fri
15:05:55
姫路市医師会
スポーツ医学
委員会
糖尿病足病変について
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1月1
4日は世界糖尿病デーでした。こんなものが存在
するのは国連の危機意識を物語るものだと思いますが成
人糖尿病患者数は世界人口の8.
8%、4億1千5百万人
に達しているようです。糖尿病が網膜症、血行障害、腎
障害、神経障害を合併することはよく知られています
が、我々整形外科医も糖尿病足病変で糖尿病に関わりま
す。糖尿病では高血糖が長年続けば神経障害および動脈
硬化によって血流障害を起こしやすくなります。また高
血糖状態では細菌感染が起こりやすくなっています。
神経障害が進行すると痛みや温度を感じにくく、外傷
や熱傷等に気付きにくく放置してしまい皮膚潰瘍、壊疽
といった状態になり下肢切断に至る場合があります。糖
尿病は下肢血流障害が起こりやすく進行も早く下腿以遠
の末梢動脈閉塞も多いです。演歌歌手の村田英雄さんが
糖尿病を3
0有余年患い心肺バイパス手術、両下肢切断さ
れた例はよく知られたところです。普通健常者に下肢手
術をする場合、出血を防ぐため大腿部をターニケットと
高 祖 清 泰
いうもので圧迫止血して手術をします。ところが糖尿病
患者の下肢切断をする場合、ターニケットをせずに切断
しても明らかに筋肉の色は悪く動脈は硬化、狭窄してい
て血流がちょろちょろとしか流れていない場合もよくあ
ります。少し近位に切断部位をあげなければいけないこ
ともあります。糖尿病のコントロールは難しく、内科で
糖尿病の薬はもらっているよという患者さんでもインス
リン注射は嫌だから経口剤だけもらっているとか、薬が
きれたけど面倒くさいから行っていないと言う方がよく
あります。また内科でも毎回足の状態を診てくれるとい
うことはないでしょう。下肢切断の7
0%は糖尿病患者で
行われていて、その85%で足潰瘍が先行するのです。糖
尿病患者さんは下肢に外傷、熱傷、靴ずれ、白癬症、爪
病変、潰瘍等がないか、足趾が黒っぽく変色していない
かチェックし気になる場合はすぐ受診して下さい。当然
ですが禁煙も大事ですよ。