@Hyway、成長の 10 年間を振返 って

@Hyway
@Hyway、成長の 10 年間を振返
って
―― ㈱シノジャパン 代表取締役 鄭 澤勇
@Hyway 初版リリース(2002 年)以来、はや 10 年経
ちました。今となっては、@Hyway が「クラウド」、「グロ
ーバル」、「リアルタイム」の代名詞となったように業界
における@Hyway のブランド的地位が不動のものとな
りました。しかし思えば決して順風満帆ではない10 年
間の長い道のりがありました。この紙面を借りて、
@Hyway が成長してきた過程を振り返ってみたいと思
います。
2002-2005
□ 啓蒙期(2002-2005
2002-2005)
この時期は、技術が画期的過ぎたが故の悩みが
多々ありました。
投資の常識としては、社内投資の場合は 3 年、ベ
ンチャー投資の場合は 5 年、長くて 7 年、結果が得ら
れなければその投資は失敗とし、関連プロジェクトが
解散させられることでしょう。そう考えると、@Hyway が
ここまで生き延びてきて、そして 10 年目にして全盛期
を迎えようとしている、という状況は奇跡に近いと言っ
ても過言ではありません。何故ならば、最初の2年間
は殆ど売れず、その後もポツンポツンと売れ始めたけ
れども先行投資を回収できるものではありませんでし
た。
売れなかった理由としては、主に二つ挙げられま
す。技術の信頼性と製品の市場性です。まず、信頼
性についてですが、名の知られていない会社がいき
なり当時の常識では考えられないような画期的な製
品を開発したのだが、なかなか信用してもらえません
でした。これは決して弱者にありがちな被害者意識で
も何でもありません。本当に@Hyway という技術は最
初は信じて貰えなかったのです。ほんの一例ですが、
例えばこのような光景が初期の頃はよくありました--実機デモの時に相手の方が@Hyway ログの動きに注
視しながら、本当にリアルタイムで通信しているのか、
また本当にインターネット上のサーバーにアクセスし
ているのかを確認しようとする。中には、「先程までは
この技術を信じなかった」と実機デモ後にはっきりそう
漏らして頂いた方も沢山いらっしゃいました。
信頼性と言えば、もう一つの意味合いがありました。
当時のインターネットは、今のと違ってまだ安定して
サービス提供できるようなレベルのものではありませ
んでした。そんな状況下で、インターネットを舞台とし
た@Hyway に対する関心が薄かったのも、当然と言え
ば当然です。
次に、製品の市場性についてです。そもそも当時
は「物流」と「インターネット」とは結びつくような範疇
のものではありませんでした。インターネット上で無線
ハンディターミナルを使用するシーンは、業界関係
者ですら想像できる者はそう多くはありませんでした。
「技術としては素晴らしいのだが、そんなニーズがあ
るとは思えない」という声が散々聞かされていました。
それでも、揺ぎ無い信念を以って粘り強く啓蒙活
動を続け、ついに黎明期を迎えることになります。
2005-2008
□ 黎明期(2005-2008
2005-2008)
これまで地道な啓蒙活動を続けた結果、@Hyway
技術に対する理解と支持が少しずつ得られるように
なりました。ちょうどこの頃、SaaS という IT 形態が提
唱されるようになり、それが実は@Hyway 黎明期の幕
開けを告げるものでした。
物流 IT/SaaS の先駆者で あるロ ジザード 様が
@Hyway を採用したことで、いち早くパブリッククラウ
ドベースの物流 IT サービスを実現したのも、NTT ド
コモ様の携帯レンタルシステムやコマツ製作所様の
生産管理システム、TOTO 様の部品供給システム、
そしてユニクロ様(日通様)の店舗出荷管理システム
等の構築に@Hyway が活用されたのも、すべてこの
時期でした。
こうして大手ユーザ様への導入実績ができつつあ
ったのだが、間もなく会社の事業分野を取捨選択す
る時期を迎えることに。@Hyway 事業に集約させた
のが早過ぎたのか、この時期は経営基盤とりわけ資
金繰りの安定化が終始悩みの種でした。
2008-2012
□ 成長期(2008-2012
2008-2012)
これまでの SaaS に加え、クラウドという概念がこの
時期に誕生し、そして定着しました。これが大いに
@Hyway の追い風となりました。特にヤマト運輸様の
軒先クラウドコンピューティングに採用されたのが業
界に大きなインパクトを与え、これが@Hyway のブラ
ンド的地位の確立に大いに寄与しました。更に9年掛
かりで@Hyway の技術特許がこの時期に下りたのも
何かの巡り合わせなのかもしれません。
ここまで来ると、求められるのは技術力だけではあ
りません。サポート力も問われることになります。ある
意味では、@Hyway というミドルウェアビジネスの成
否がヤマトプロジェクトの成否に掛かっていると言っ
ても決して過言ではありません。何故なら、成功すれ
ば先行投資がそれなりに回収できるだけでなく、その
波及効果が絶大的で、逆に失敗すれば@Hyway に
対する評価が失墜してしまいかねないからです。
そして結果は周知の通り、大成功でした!
□ 今後の展望
5~6 年前に一旦はご検討頂き、結局採用が見送
られたが、ここに来てやはりご採用頂いたお客様が
増えています。このことが物語って いるように 、
@Hyway を取り巻く市場の環境が大きく変わりました。
スマートフォン(Android、iPhone 等)やタブレット
が急速に普及したのも、@Hyway の新たな応用分野
を切り拓く結果となりました。
そして日本の景気低迷を反映して、海外とりわけ
中国市場も視野に事業展開を図ろうとしている企業
様が増えています。これを受けて、当社も皆様の中
国進出を強力に支援すべく昨年中国上海に Hyway
Technology Shanghai Co., Ltd.(上海海微信息科
技有限公司)を設立しました・・・
長い道のりではあったが、@Hyway 技術がやがて
は全盛期を迎えることでしょう。