呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定 平成 27 年 7 月 21 日呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定開始しました。 吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定して気道の炎症状態を評価する、新しいぜ んそくの診断方法がです。 炎症の程度が分かれば、それに応じて薬の投与量を増減することも 可能なため、治療の効率化にもつながります。 海外で開発された最新鋭の測定機器を導入しま した。 他院かかりつけ患者さんの場合、検査だけのご要望も承りますので、遠慮なくお申し付けく ださい。 ■ ぜんそくだと濃度が上昇! 気道に炎症が起きると(気道の粘膜を構成する)上皮で誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)と いう NO を作る酵素が増えます。 そこで、吐いた息の NO 濃度を測れば、結果的に炎症の程度 が分かる仕組みです。 実は、ぜんそく患者の呼気中で増えるガスは NO だけではありません。 一酸化炭素やエタン、 ペンタンの濃度も炎症に伴って上昇しますが、これらは喫煙などが原因で肺機能が低下する慢性 閉塞性肺疾患(COPD)でも同じように高くなります。 一方、NO はぜんそくで特異的に上昇するた め、COPD と間違わずに診断が可能です。 安定期より発作時の方が高くなるため、治療を強めた り弱めたりする目安としても使えます。 ■ 検査は簡単です。 6秒以上息を吹き込むだけです! 風邪をひいた後、せきだけが治らずに続くケースが多く、患者の約 30%は本格的なぜんそくに 移行します。 早期に適切な治療を始めれば移行の確率を下げられるため、ほかの慢性的なせき と鑑別できる呼気 NO 測定への期待は大きく、膨らんでいます。 保険点数は検査(判断料込み)で 240 点です。 定額負担の方は費用の増加はありませんが、 1 割負担の患者さんは 240 円、3 割負担の患者さんは 720 円の負担増加となります。 FeNO 測定により下気道における好酸球浸潤(炎症)を非侵襲的に補足することができます。 アメリカ胸部疾患学会のガイドラインでは、以下のように記載されています。 ・好酸球性の気道炎症の診断に有用 ・気道炎症が慢性的な呼吸器症状の原因として疑わしい患者においてステロイド薬が反応する可 能性を判定するのに有用 ・喘息患者において気道炎症のモニタリングに有用である ・呼気 NO の評価方法 呼気 NO 低値(成人 25ppb 未満、12 歳未満の小児 20ppb 未満) 気道の好酸球性炎症の存在はありません 喘息症状のある患者さんの場合でも、ステロイドホルモン吸入薬の適応はない 喘息以外の原因を探るべきである 呼気 NO 中間値(成人 25~50ppb、12 歳未満の小児 20~35ppb) 気道の好酸球性炎症の存在はあるが、軽度である 解釈には注意が必要である 吸入ステロイドホルモン剤を開始し、呼気 NO 値の変化を追うべきである 高値(成人 50ppb 以上、小児 35ppb 以上) 明らかな気道の好酸球性炎症の存在あり! 喘息の症状がある患者には、ステロイドホルモン剤の吸入の効果があるはずだ! アレルギーの原因物質を探るべきだ! 日本人の成人健常者を対象に測定された FeNO の正常上限値は 36.8ppb です。 日本人の成人喘息患者の補助診断における FeNO のカットオフ値 健常者 224 名と新患で吸入ステロイド薬を未使用の喘息患者 142 名を対象とした、健常者と 喘息患者を鑑別する FeNO 値として、22ppb が最も感度(91%)と特異度(84%)に優れたカットオフ 値である。 喘息や咳喘息の診断に有用ですが、明らかな高値でない場合は全体としての臨床像から慎重に 診断する必要があります。 すでに診断がついている場合は治療コントロールの状況を評価するのに非常に有用です。
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