ノバルティスの「ファリーダック®」、 新たな作用機序を持つ多発性骨髄腫

ノバルティス ファーマ株式会社
〒105-6333
東京都港区虎ノ門1丁目23番1号
虎ノ門ヒルズ森タワー
http://www.novartis.co.jp/
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年7月8日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年6月26日(現地時間)に発表したものを日本語に翻
訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先され
ます。英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ノバルティスの「ファリーダック®」、
新たな作用機序を持つ多発性骨髄腫の治療薬として、
EUにおける承認勧告をCHMPから取得
•
「ファリーダック」(一般名:パノビノスタット乳酸塩)併用療法は、ボルテゾミブ
およびIMiDを含む2種類以上の治療を受けていた患者さんのPFSを7.8カ間延長1
•
「ファリーダック」は多発性骨髄腫の治療薬として、エピジェネティクスに影響を与
える初のHDAC阻害剤2,3
•
CHMPの肯定的意見は、最近の米国FDAの承認に続き、EUにおける「ファリーダック」
発売に向けた重要かつ画期的な進展
2015年6月26日、スイス・バーゼル発 – 欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会
(CHMP)は、過去にボルテゾミブ および免疫調節剤(IMiD)を含む2種類以上の治療
を受けた経験のある再発又は難治性多発性骨髄腫の成人患者さんに対し、「ファリーダッ
ク」(一般名:パノビノスタット乳酸塩、開発コード:LBH589)をボルテゾミブ *とデキ
サメタゾンの併用下で使用することに肯定的意見を採択しました。EUで承認されれば、
「フ
ァリーダック」はこれらの患者さんが使用可能となる、このクラス初の抗がん剤となりま
す1。
多発性骨髄腫は、骨髄中の白血球の一種である形質細胞ががん化する疾患であり、欧州で
は約84,000人が罹患しています4,5。「ファリーダック」は多発性骨髄腫における有効性が
証明された初のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤です2。HDAC阻害剤として、
そのエピジェネティクスな効果は多発性骨髄腫患者さんの細胞機能の修復に寄与するも
のと考えられます3。
ノバルティス・オンコロジー事業部のグローバル開発およびメディカルアフェアーズ責任
者であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva, MD)は次のように述べています。「パ
ノビノスタットは、ボルテゾミブとIMiDによる標準治療を受けた後に症状が進行した多発
性骨髄腫患者さんの治療薬として、CHMPが承認勧告した最初にして唯一のHDAC阻害剤
です。前治療歴のある患者さんに対する『ファリーダック』投与について、CHMPが肯定
的意見を示したことは、欧州で治療薬を必要としている患者さんに新たな治療の選択肢を
提供するという目標に一歩近づくことになり、喜ばしく思っています」
CHMPの承認勧告は、PANORAMA-1(PANobinostat ORAl in Multiple MyelomA)と呼
ばれる無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際協同第III相臨床試験で実施
Velcade® はMillennium Pharmaceuticals, Inc.の登録商標です。
*
1/3
された、ボルテゾミブおよびIMiDを含む2種類以上の治療を受けた経験を持つ再発又は難
治性の多発性骨髄腫患者さん147名のサブグループ解析から得られた、有効性および安全
性のデータに基づいています。この試験から、ボルテゾミブとIMiDの両方による治療歴の
あるパノビノスタット群の患者さんでは、無増悪生存期間(PFS)の中央値におけるベネ
フィット(12.5カ月;n=73)がプラセボ群(4.7カ月;n=74)(ハザード比=0.47 [95%信
頼区間(CI):0.31~0.72])に比べて大きくなることが判明しました6。
最も多く認められた非血液学的副作用は、下痢、疲労、悪心および嘔吐などでした。試験
治療下で発現した血液学的毒性は、血小板減少症、貧血、好中球減少症およびリンパ球減
少症などでした。480ミリ秒超500ミリ秒未満のQTc延長が1.3%の患者さんに記録され、
ベースライン時から60ミリ秒超の変化は0.8%の患者さんに認められました。QTcの絶対的
延長が500ミリ秒を超えた例はありませんでした。心イベント(頻度が高いのは心房細動、
頻脈、動悸、洞性頻脈)は、パノビノスタット群では17.6%、プラセボ群では9.8%の患者
さんで報告され、失神は、同じく6.0%および2.4%の患者さんに報告されました。因果関
係を問わず、有害事象(AEs)による中止は36.2%の患者さんに認められました。治療中
止に至ったAEsで最も多かったのは、下痢(4.5%)、無力症および疲労(それぞれ2.9%)
ならびに肺炎(1.3%)でした。適応症(多発性骨髄腫)を原因としない治験中の死亡率は
パノビノスタット群が6.8%でプラセボ群が3.2%でした6。
EUの欧州委員会は通常、CHMPの承認勧告に従い、勧告から3カ月以内に最終決定を下し
ます。この決定はEUに加盟する全28カ国とアイスランド、ノルウェイおよびリヒテンシュ
タインに適用されます。欧州以外での「ファリーダック」に関する承認申請は現在、世界
中の規制当局による審査が行われています。ボルテゾミブおよびデキサメタゾンと併用す
る「ファリーダック」は、過去にボルテゾミブおよびIMiDを含む2剤以上の治療経験を持
つ多発性骨髄腫患者さんに対する治療薬として、米国では2015年2月、チリでは2015年5
月にそれぞれ承認されました。この適応症に対する継続的な承認には、検証試験において
臨床的有益性の確認および説明が必要となる場合があります7。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は欧州で約84,000人が罹患しています5。骨の中心にある柔らかい造血組織を
骨髄と呼びますが、多発性骨髄腫は、この骨髄中の白血球の一種である形質細胞のがんで
す。形質細胞ががん化して骨髄中に増殖すると、正常な骨髄細胞の産生や働きが妨げられ
ます4。多発性骨髄腫は、再発や難治性となる率が高く治癒が困難な疾患です8。多発性骨
髄腫の治療にはプロテアソーム阻害剤とIMiDsによる標準治療がよく使用されますが、ほ
とんどの患者さんはこれらの治療に対して反応しなくなり、新たな作用機序を持つ新たな
治療の選択肢へのアンメットニーズが生まれています8,9,10。多発性骨髄腫は60歳以上で発
症することが多く、40歳以下での発症は稀です11。
PANORAMA臨床試験プログラムについて
PANORAMA-1(PANobinostat ORAl in Multiple MyelomA)は再発又は難治性の多発性
骨髄腫の患者さんを対象に、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用下でのパノビノスタッ
トの追加投与と、ボルテゾミブとデキサメタゾンの併用のみを比較評価することを目的と
した無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同の国際協同第III相臨床試験です。世
界215施設で768名の患者さんを対象に実施されたこの試験は、現在までに多発性骨髄腫に
関して実施された国際登録試験の中で最大規模のものとなっています。試験の主要評価項
目は無増悪生存期間(PFS)です。試験の主な副次評価項目である全生存期間の最終デー
タはまだ得られていません。他の副次評価項目には、全奏効率、奏効期間および安全性が
含まれます12。
「ファリーダック®」について
「ファリーダック」は、ボルテゾミブおよびIMiDを含む2種類以上の治療経験を持つ多発
性骨髄腫患者さんの治療薬として、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用下での使
用が米国およびチリにおいて承認されています7。「ファリーダック」はエピジェネティク
スに影響を与えるHDAC阻害剤で、多発性骨髄腫患者さんの細胞機能の修復に寄与するも
2/3
のと考えられます。
欧州以外での「ファリーダック」に関する承認申請は、現在、世界中の規制当局によって
審査が行われています。日本では、2015年7月3日に再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療
薬として承認されています。承認された適応症以外における「ファリーダック」の安全性
および有効性のプロファイルはまだ証明されていません。臨床試験の不確実性から、世界
の他の地域において他の適応症に対して「ファリーダック」が販売されるようになる保証
はありません。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどによ
り、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、ノ
バルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580
億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ
ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約120,000人の社員を擁しており、世界150
カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com/
参考文献
1.
2.
CHMP LBH589 Summary of Opinion.
Grønbæk K, Treppendahl M, Asmarand F, Guldberg P. Epigenetic Changes in Cancer as Potential Targets
for Prophylaxis and Maintenance Therapy. Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology.
2008;103:389-396.
3. Maes K, et al. Epigenetic Modulating Agents as a New Therapeutic Approach in Multiple Myeloma.
Cancers. 2013;5:430-461.
4. American Cancer Society. Multiple Myeloma. Available at:
http://www.cancer.org/acs/groups/cid/documents/webcontent/003121-pdf.pdf. Accessed June 2015.
5. Myeloma Patients Europe. A Report on Myeloma Patient Perspectives. 2013. Available at
http://www.mpeurope.org/publications/reports-and-position-statements/. Accessed June 2015.
6. Novartis data on file.
7. US Full Prescribing Information.
8. The Leukemia and Lymphoma Society. Myeloma. Revised 2013;1:48.
9. National Cancer Institute. A Snapshot of Multiple Myeloma. Available at:
http://www.cancer.gov/researchandfunding/snapshots/myeloma. Accessed June 2015.
10. Richardson P, Mitsiades C, Schlossman R, et al. The Treatment of Relapsed and Refractory Multiple
Myeloma. Hematology. 2007;317-323.
11. National Cancer Institute. SEER Stat Fact Sheets: Myeloma. Available at:
http://seer.cancer.gov/statfacts/html/mulmy.html. Accessed June 2015.
12. San-Miguel J, et al. Randomized Phase 3 Trial of Panobinostat Plus Bortezomib and Dexamethasone Versus
Placebo Plus Bortezomib and Dexamethasone in Relapsed or Relapsed and Refractory Multiple Myeloma.
The Lancet Oncology. 2014.
以上
3/3