OTTがもたらす環境変化と将来の 光ネットワーク

OTTがもたらす環境変化と将来の
光ネットワーク
名古屋大学 大学院工学研究科
電子情報システム専攻
佐藤 健一
〒464-8603 愛知県名古屋市千種区不老町
Changes in Carrier Environment Caused by OTT, and
Photonic Networking Technologies for the Future
Ken-ichi SATO
Department of Electrical Engineering and Computer Science, Graduate School of Engineering,
Nagoya University
Furocho, Chikusa-ku, Nagoya-shi, Aichi, 464-8603 Japan
[email protected]
この10年余で通信サービスを取巻く環境は激変した。ムーアの法則を最大限に活用し、そ
の収益を大きく拡大してきた ISP (Internet Service Provider)は今や豊富なキャッシュ(および
同等物)を有し、現在あらゆる方面の技術開発に邁進しているかの様に見える。その一方、既
存の CSP (Communication Service Provider)は厳しい競争により収益力の低下に直面してい
るが、それを打破するための業容の変革に取組みつつ有る。両者の方向は一部に共通部分があ
るが、その DNA とも言うべき文化・ビジネスの形態には大きな隔たりがある。この大きな動
きの中で、システムベンダは絶え間ない価格低減プレッシャを受けている。キャリアの R&D
投資の削減、ISP の独自技術開発の環境下で、特にストックとフローの異なる形態からの異な
る要求条件への対応を求められる中で、将来の競争力を生み出し或は現在の競争力を維持して
行くためにも、ベンダ自身による新しい技術開発の重要性は増々拡大している。ムーアの法則
の終焉も予測される中、たゆみ無い技術革新とタイムリーな開発により先の技術を見通して、
しばしば巨額となる投資を実行しそれを回収するスキームを作り上げることは容易ではないが、
その重要性と迅速な判断の必要性は増々拡大している。この状況において、将来の光技術の果
たす役割を今一度考えることは意味の有ることである。
本講演では、CSP、ISP の現状と将来に向けた動き、ISP、特にグーグルに焦点を当てた動向
の分析、ISP が利用してきた、また最大限の恩恵の源泉であるムーアの法則の今後、通信のバ
ラダイムの変化と光ネットワーク技術の開発の方向、などについて述べる。