CDNの必要性と将来性 Interop + Networld Tokyo 2001 ブロードバンドアクセスに対応した配信システム構築方法 2001年6月4日、幕張メッセ 鍋島 公章 [email protected] リアルネットワークス株式会社 1 目次 CDNを取巻く環境 CDNの役割 CDNの動向 CDSPビジネス 2 Part 1 CDNを取巻く環境 B2Cマーケット ブロードバンド 3 BtoCマーケット(1) BtoCマーケット ECマーケット規模 2000年、8240億円 2005年には13兆円 アクセンチュア等:平成12年度電子商取引に関する市場規 模・実態調査 WWWサイトへのアクセス速度が肝要 反応速度の0.2, 2, 8秒ルール 0.2秒 マウス等の動き 2秒 ページの切り替え 8秒 トランザクション 年間 25 billion $の損失 Zona Research, April 2001 4 BtoCマーケット(2) ブロードバンド効果 新たな市場の創出 コンテンツのデジタル化、ネットワークによる流通 顧客接点の革命 マルチメディア化 新規顧客拡大 5 ブロードバンド(1) 新しいメディアの確立 既にIPは第5のメディアに成長 4大メディア:TV、新聞、ラジオ、雑誌 若年層では、既存メディアを抜き第4のメディアへ IPベース もはや、PC用動画プラットホームではない 動画のIPによる運搬 アンテナケーブルがEtherケーブルへ ADSL(電話線)で、VHSクオリティの映像を送信可能 今後は、TVメディアを脅かす存在に Internetのお茶の間への進出 ゲーム機、Internetアプライアンス 6 ブロードバンド(2) メディア産業のダウンサイジング 利権構造からの脱却 もはや、周波数割当は不要 メディアの独占は困難に 流通路からの脱却 中抜きが本格化 インタラクティブ性、パーソナライズ性 メディアの高価値化 効果測定が容易 ネットワーク接続の普遍化 コンテンツを所有する意義が希薄化 販売から購読へ デジタルメディア PCを使ったユーザによる編集が可能 CMの自動カット 7 Part 2 CDNの役割 Content Distribution Network コンテンツ配信ASP ネットワークボトルネックの解消 複製技術 エッジサーバ型CDN オーバレイネットワーク型CDN 8 Content Distribution Network Content Distribution Network コンテンツ配信ネットワーク ユーザアクセスの高速化 CDNの役割 コンテンツ配信ASP ネットワークボトルネックの解消 そして、次世代メディア産業の基本インフラへ 9 コンテンツ配信ASP(1) 必要性 アクセスの伸び Internet自体、Broadbandの普及 ビジネスの成功 イベント 瞬間風速的トラフィック 通常のホスティング サーバの切売り 拡張性はない 10 コンテンツ配信ASP(2) CDN 配信設備の契約買い 短期間契約 従量制課金 保険モデル課金 ネットワークボトルネックは、まだまだ存在する 一拠点のサーバ強化は無意味! 11 ネットワークボトルネック ネットワークボトルネックによりセグメント化されてい るインターネット Tier1 ISP Local ISP 12 Internet接続の実態 典型的な国内ISP トランジット:世界へのコネクティビティの購入 ピアリング:国内トラフィックの相互交換 Domestic Small ISPs Tire1 ISPs (To the World) Global ISP Global ISP トランジット パブリックピア Domestic ISP トランジット プライベートピア Domestic Domestic 13 ネットワークボトルネック(ISP間接続) ピアリングは政治 仲の悪いISPは存在する アンバランスなトラフィック Public IXが飽和気味 トランジットはコスト 競争&WDMによりトランジットは低価格化 まだまだ高い国際リンク ISP接続料も競争中 ダークファイバ開放 ある程度トラフィックがないと、かえって高コスト 14 ネットワークボトルネック(ISP内) WWW用トラフィックで精一杯 300Kbpsストリームが普及するとボトルネックが顕在化 ネットワーク機器の総取替 バックボーンは低廉化 WDM効果、競争激化 バックボーンとアクセスポイント間のトラフィック まだWDM効果は見えない 2Gbpsを越える必要がある ダークファイバ 50円/メーター(局間) 15 複製技術(1) 古典的キャッシュ技術 (Forwarding Cache) サイト側のユーザアクセス高速技術 人気コンテンツが、ユーザの近くに複製される コンテンツの整合性は無保障 (比較的)低ヒット率 WWW WWW WWW 16 複製技術(2) CDNにおけるキャッシュ技術(Reverse Cache) コンテンツ側のユーザアクセス高速化技術 意図するコンテンツを複製する コンテンツの整合性を保障 (比較的)高ヒット率 WWW 17 複製技術(3) Push型サービスとの違い PointCast, (BackWeb, Marimba, Tibco…) PUSH型 ユーザのPC上にコンテンツを複製 専用のクライアントが必要 実際には、擬似Push(ポーリングベース)技術 CDN型 エッジサーバ上にコンテンツを複製 ユーザに配信システムを意識させない 18 エッジサーバ型CDN(1) セグメント化されたInternetに複製を配置 Original Server Content Resolver Content/Log Manager Edge Server 19 エッジサーバ型CDN(2) エッジサーバ 複製のプレイスホルダ コンテンツ・レゾルバ 最適な複製(エッジサーバ)を選択 コンテンツ&Logマネージメント 複製の配置、アクセスLogの回収 20 オーバレイネットワーク型CDN(1) 全ネットワークとダイレクトに接続したネットワーク Overlay Network 21 オーバレイネットワーク型CDN(2) 古典的Tire 1 ISP トランジット販売がメイン 複数のルーティング単位(AS) アジア、北米、欧州 大陸間のトラフィックはトランジットとして販売 大陸間リンクのただ乗りは許さない アジア 北米 欧州 Tire 1 ISP トランジット ピアリング 22 オーバレイネットワーク型CDN(3) オーバーレイネットワーク iDCのバックボーンとして、iDCの接続料販売がメイン ルーティング単位はひとつ(全世界) 大陸間のトラフィックもiDC側負担 北米 アジア ピアリング 欧州 ピアリング 23 Part 3 CDNの動向 動的コンテンツ ストリーミング コンテント・ピアリング Peer 2 Peer その他 24 動的コンテンツ 動的コンテンツの複製 EC処理のフロントエンド処理 パターン化された動的コンテンツ作成 iDCの呪縛からの開放 iDCは一度契約すると簡単には変更不可能 サーバ(コンテンツ)の物理的移動 IPアドレスの変更 分散ネットワークストレージ CDN トランザクション処理は、まだ困難 月単位でiDCを契約することも可能になる日も近 い? 25 ストリーミング(1) WWWと異なるCDNが必要 ストリーミング 連続メディア、価値が高い、サイズが大きい、コンテン ツ数が少ない WWW 断続メディア、価値が低い、サイズが小さい、コンテン ツ数が多い ストリーミング用CDN 品質向上が第一、力技的アプローチが必要 コンテンツ保護 コンテンツの加工処理 26 ストリーミング(2) インタラクティブ、パーソナライズ ストリーミングコンテンツの編集の自働化 ユーザごとの番組作成 コンテンツのライフサイクル管理 膨大なアーカイブ、時間軸に沿った管理 CDNとの一体化が必要 CDNを使わないと広帯域ストリーミングは流せない エッジサーバ上での番組作成が必要 27 ストリーミング(3) ライブストリーミングCDN 上位層によるQOS、ルーティング ネットワーク層には期待できない スケーラビリティ デプロイメントが遅い、技術的に困難 ラフな制御 エッジサーバ単位 必要な所だけ、必要な規模 中身は従来の手法 ルーティングアルゴリズム、リソースリザベーション 信頼性向上 冗長ビットの付加 マルチパス 28 コンテントピアリング(1) 複数のCDNを結合して大規模なCDNを形成 配信トラフィックにより収入分配 公平性が鍵 技術的には困難 ゴールはInternetルーティングと同じような分散協調 処理 普通のインフラへ 29 コンテントピアリング(2) マーケットプレイス B2Bフレームワーク コンテンツの事業者間交換 ストリーミング 即時性 再加工、再編制 ローカル広告、番組 単純なECを超えた、B2B間のコンテンツ流通へ 30 Peer 2 Peer Peer 2 Peer 非サーバモデル 非集中管理、分散協調 P2P型CDN 配信経路の自己組織化 コンテントピアリングの最適化 P2Pファイル交換のためのCDN 人気コンテンツの自動複製 古典的キャッシュモデル? 31 その他話題 モバイル通信 IP化の波 無線LANの延長 マルチメディアコンテンツ IP用CDNをそのまま適用可能 ネットワークゲーム レイテンシ問題 QOSの実現 レゾリューション等の変更 地理情報 CDNはユーザの所在情報を持つ ローカル広告(国別、地方別等) 配布範囲の制限 32 Part 4 CDSPビジネス Internetのコスト負担 CDSPの立場 日本と米国 33 Internetのコスト負担(1) 理想のCDSPビジネス 収入 コンテンツホルダから配信料 ISPからリクエスト高速化料 支出 コンテンツレゾリューションの運用費 エッジサーバの費用 実際 エッジサーバのハウジング料 通常のハウジング料金を払うケースが増加 コンテンツとユーザの力関係 34 Internetのコスト負担(2) コンテンツ側の負担が増加 コンテンツによる収入が成立 接続性の良さを、コンテンツ側が買う 接続性の良いiDC=高額 例:日米リンク 昔:日本のネットワークを米国まで延長 ユーザ(日本)側が接続料負担 傾向:米国のネットワークを日本(世界)に延長 オーバーレイネットワーク付きiDC コンテンツ(米国)側が接続料負担 35 Internetのコスト負担(3) ISPビジネスの根底が変化 旧来のISPビジネス Internet管理費 < Internet接続料 これからのISPビジネス Internet管理料 > Internet接続料 Internet管理費 < Internet接続料+付加価値料 運用コスト低減にも限度 WDM、ダークファイバ効果 Internet接続以外の収入源が必要 コンテンツ販売 データセンタからのトラフィックに課金 36 CDSPの立場(1) CDSPの立場 ISPとコンテンツホルダの板ばさみ 両方が儲かるモデルでないとマーケットが成立しない 高機能化、低コスト化 ISP、コンテンツホルダの支配 CDSPが流通を仕切る 37 CDSPの立場(2) コンテンツ⇔B2B⇔ EC系ASP ⇔ CDSP ⇔ ユーザ Internetの情報流通路の支配 Global Tier 1 ISPからCDSPへ EC系ASP ビジネスロジック以外のパッケージ化 B2B メディア、コンテンツが増えるほど必要 シンジケーション マーケットプレイス これらの統合化 新しい巨人の誕生!? 38 日本と米国(1) 日本のマーケットは米国とは違う ブロードバンド化は日本の方が早い!? 「インターネットの普及予測について」、(株)情報通 信総合研究所、4/24/2001 2002年度には、高速のインターネット世帯普及率で、米 国を越える 高速でのインターネット利用世帯が、2004年度には利用 世帯の80%(約3,300万世帯)を占める E-Japan重点計画、IT戦略本部、1/22/2001 5年以内に、インターネットへの高速常時接続を、少なくとも 3000万世帯にする 39 日本と米国(2) ネットワーク構成 米国 広大な国土、分散した人口 広大な英語圏の中心 日本 首都圏に人口が集中 首都圏だけでもマーケットが成立 メディア産業の構造 米国 産業内の役割分担が明確 日本 あいまいな役割分担 40 おわりに CDNはInternet情報配信の中核 スケーラビリティ コストパフォーマンス CDNは次世代メディア産業の中核をなす 米国と日本は違う、米国の後追いは通用しない 米国の事例しか喋れないコンサルはいらない 流通コスト(物理的、社会的)の低減によるメディア業界の 再構成 放送局、広告代理店、製作会社… IPによるコンテンツ(映像、音声、書籍…)の流通の基盤 B2B、EC系ASP、古典的CDNの統合 41 質問、議論 CDS-ML CDN、ブロードバンドによる実体化する、次世代のメディ ア像を議論 テクニカルな話題も歓迎 http://www.kosho.org/CDS-ML/ 42
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