JPNIC通信

JPNIC IP アドレス/ AS 番号割当検討部会:江面祥行 [email protected]
JPNIC通信
IPアドレスに関する
新ルールとドキュメント改訂
2000 年 1月 29日から IP アドレスの割り当てルールが 変
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Dルール変更の背景
更になります。 今回はルール変更 の背景と変更のポイント
について解説します。
わります。また、そのアサインメントウィンドウ
Dネットワーク構成情報の収集
現在、インターネット上で利用されているIP
は、そのプロバイダーがIP アドレスの割り当て
これまでも、プロバイダーに専用線接続を行
アドレスは、階層化された組織構造によって分
に関するスキルや知識などをどの程度持ち合わ
って固定のIP アドレスの割り当てを受ける場合
配されています。このたびJPNICでは、我々の
せているかによって、プロバイダーごとに決定
には、JPNIC に申請書を出すという理由から、
上位組織であるAPNIC(Asia Pacific Infor-
されます。もちろんプロバイダーのスキルや知識
接続するネットワークの構成やマシンの増設計
mation Center)が、アジア太平洋地域におけ
がアップすればアサインメントウィンドウも拡大
画などを聞かれることがあったと思います。そ
るIP アドレスの割り当て方法などを規定したポ
され、たとえ大きいサイズの割り当てであっても、
の調査結果は、現在あるIP アドレス割り当て
リシードキュメントを発表したことに合わせて、
プロバイダーが自主的に行えるようになります。
の基準を規定したものに満足しているかどうか
APNIC ポリシーに沿った形でIP アドレスの割り
今回のルール見直しの理由としては、IPアドレ
の判断に利用されています。今回の見直しでは、
当て方法の見直しを行いました。また、それに
ス割り当ての組織構造が階層化されているため、
割り当て基準そのものは変わりません。ですが、
かかわるドキュメントの改訂も同時に行い、
その会員であるプロバイダーを信頼して割り当
プロバイダーを経由してJPNIC に送っていただ
JPNIC 会員の方々のコメントを反映した形で正
てを行ってもらう仕組みが必要だったというこ
く申請書に、より詳細なネットワーク情報を記
式ドキュメントとして公開しました。なお、こ
とが挙げられます。つまり、プロバイダーごとにア
入していただくようにします。そのため、固定
れらの新ルールおよび新ドキュメントは、2000
サインメントウィンドウを設定することで、それ
のIP アドレスの割り当てを受けるには、マシン
年1月29日から施行されることになります。
ぞれのプロバイダーのIPアドレス割り当てに対す
の増設計画や現在よりも詳細なネットワーク構
るルールの理解度の違いを吸収できるわけです。
成情報(ネットワーク構成図など) をプロバイ
Dアサインメントウィンドウシステムの導入
今 回 のルール変 更 により、 J P N I C では
ダーに提出していただくことになります。これ
Dプロバイダーへのブロック追加
は、先に述べたAPNIC が提示している「すべ
ての割り当てに対する詳細なネットワーク構成
APNIC などの上位組織で実施されている「ア
JPNIC からIP アドレス割り当て業務の委任
情報を収集する」というポリシーに沿った変更
サインメントウィンドウシステム」を導入する
を受けたプロバイダーが割り当てを行う際、
になります。もちろん、これらの詳細な情報は、
ことにしました。この「アサインメントウィンド
JPNIC にアドレスブロックの追加を申請できる
プロバイダーがIP アドレスを割り当てる際や
ウ」とは、JPNIC から割り当て業務の委任を
といった従来のシステムも見直しました。
JPNIC が審議を行う際に、割り当て基準を満
たしているかどうかの判断にのみ利用されます。
受けたプロバイダーが、専用線で接続を行うよ
いままでは、アドレスブロックの80 パーセン
うなユーザーに対して固定のIP アドレスを割り
ト以上をそのプロバイダーのインフラ(プロバ
この点をどうかご理解のうえ、ご協力をお願い
当てる際、プロバイダーの判断で割り当てを行
イダー自身のネットワーク機器など)やユーザ
致します。
うことができる最大サイズのことです。
ーに割り当てていれば、追加の申請を行うこと
■ IPアドレスの管理構造
いままで定められていたJPNIC のルールでは、
ができました。しかしそうすると、プロバイダー
あるユーザーに割り当てられるIP アドレスの総
自身のインフラへの割り当てであっても、その
量が一定値(2048ホスト相当)を超える場合、
プロバイダーがブロックの追加を申請してしま
JPNIC に審議を依頼して承認を受けてからでな
い、一般のユーザーとの間に不公平が生じてし
いと実際に割り当てを受けられませんでした。
まっていました。こういった実情に対処すべく、
しかし新ルールの施行後は、しきい値の設定の
JPNIC ではアドレスブロックの追加申請時に会
仕方が、プロバイダーに対するIP アドレスの割
員のインフラに関する情報も提出していただき、
り当て総量から判断するといったいままでの方
JPNIC において審議したうえでブロックの追加
法から、申請時に割り当てられる大きさが接続
が行われるようにします。そうすることにより、
を行うプロバイダーのアサインメントウィンドウ
いま述べたような不公平なことはなくなるであ
を超えるかどうかで判断するといった方法に変
ろうと考えています。
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INTERNET magazine 2000/2
IANA
(Internet Assigned
Numbers Authority)
ICANN
(非営利民間組織)
に組織移行中
APNIC
ARIN
RIPE-NCC
(Asia Pacific
Network Information
Center)
(American Registry
for Internet
Numbers)
(Reseaux IP
Europeens Network
Coordination Centre)
JPNIC KRNIC ISP
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