2015年7月29日 資本金も利益の一種です

くちきデイリーニュース
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2015 年 7 月 29 日(水)
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資本金も利益の一種です
複式簿記とは
複式簿記は、現金で車を買った場合に、
増えた財産(車)と減った財産(現金)を
左右に併記することにより、平衡を保ち財
産を管理しようと言うものです。
しかし安く買った商品が高く売れたよう
な場合、減った財産と増えた財産が平衡を
破ることになり、そこで考え出されたのが、
販売益や売上等の名目勘定(損益勘定)で
す。この名目勘定に対し、実際に存在する
財産を実在勘定と言い、実在勘定と名目勘
定の合計は、常に平衡を保っておりました。
(図①)
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最初の利益が資本金
会社をはじめる時も本来一緒です。最初
に会社に 1000 万円を入れた場合、会社は
1000 万円の現金が増えるだけで、減る財産
がないので、名目勘定である収益勘定を対
応させて、以下の処理となります。
現金
1000 万円
収益
1000 万円
この収益勘定は、期間が変るとなくなり、
資本となります。これを資本金と呼び、そ
の後の儲け=利益と区分しております。
実務ではプロセスを省略して最初から、
(現金)1000 万円(資本金)1000 万円
としております。
図①
負債
資本の登場
しかし一年でいくら儲かったのかとか、
財産が増えたのか等、期間を区切って財産
の増減が問題になると、実際にある資産と
負債と言う実在勘定は期間を超えて存在し
ますが、収益・費用と言う名目勘定は、実
在しませんので、次の期間では 0 からのス
タートとなります。ここで左右のバランス
が崩れます。
そこで考えたのが、資本と言う概念です。
(図②)
資産
費用
収益
図②
負債
資産
資本
補足と解説
資本には次の 3 つの要素が考えられる。
事業の元手
創業の際には、自分で拠出した資金。 そ
の後は、稼いだ利益も含め、次期の元手と
理解することができる。
利益の集積
創業時の資金も企業から見るとタダで手
に入れた 利益とみなすことができるので、
すべて毎年の利益を 重ねたものと考える
こともできる。
資産と負債の残高
正の財産である資産と負の財産からなる負債の
残高で、正味財産 (純資産)。
資本概念の誕生
日本語では
「残高」に対しても
「平衡残高」
に対しても、共に「残高」という 同じ言
葉を用いるが、英語では二つの異なる単語
を対応させている。「残高」の「remainder」
は当期のすべてを合計した 資産―負債=
純資産に対応するものである。 これに対
し、平衡残高は「balance」と言ってハッ
キリ区別をしている
この純資産に対して平衡残高を保つ為に
考えられたのが資本と言う概念である。
出典:東京大学 岡部 洋一「複式簿記」より