学校だより ふうしゃ - アムステルダム日本人学校

学校だより
ふうしゃ
生徒版(中 3 生応援版)
平成27年9月4日
アムステルダム日本人学校
No.4
http://www.jsa.nl/
彼(てき)を知り、己を知れば、百戦危うからず
校長 尾後貫 智
先日、中 3 教室で進路説明会がありました。どのお母さんも真剣に話を聞いてください
ました。我が子のために最良の進路を歩ませたい、これはどのお母さんも、先生方も思っ
ている願いです。しかし、当事者であるみなさんが自分のことを真剣に考え、行動してい
かなければ意味をなしえません。
そこで、私から中 3 生の皆さんへアドバイスしたいと思います。
「彼(てき)を知り、己を知れば、百戦危うからず」
この格言は、約 2500 年ほど前に作られた「孫子の兵法」という中国の兵法書の中に出
てくる有名な言葉です。その意味は、
「敵の実力を見極め、己の力を客観的に判断して敵と
戦えば、100戦したところで危機に陥るようなことはない。」ということです。この部分
があまりにも有名ですが、実はこの格言には、続きがあるのです。
「彼(てき)を知らずして己を知らば一たび勝ち一たび負く、彼(てき)を知らず己を
知らざれば、戦ふ毎に必ず敗る」
(敵の実力を見極めず、己の実力を客観的に判断して戦えば、勝ったり負けたりする。
敵の実力を見極めず、己の実力もわからなければ、必ず負ける)
この 2500 年前に作られた格言の真の意味は?みなさんの今の状況に当てはめて考える
としたら?
まず、誤解してほしくないのは、
「敵」という言葉。みなさんにとっての「敵」とは、果
たして誰でしょうか?自分と同じ年齢の受験生?それとも、受験そのもの?そうでしょう
か?
私はそうは思いません。
「敵は我が胸中にあり」です。敵はあなた自身の中にあるのです。
さらに言うなら、みなさんの敵は、自身の怠け心、安易な方に流される心と言えると思い
ます。それを看破して取り組んでいくことがすなわち「敵を知る」ことになるのではと私
は思います。
「己を知る」ということは、文字通り自分自身の実力を知ることであると思い
ます。ですから、敵を知り、己を知ると言うことは、自分自身の弱さを見抜くことと、自
分の実力を客観的に知ること、そうすれば百戦危うからずです。
でも、この格言はもっと奥が深いように思います。
「彼(てき)を知り、己を知れば、百
戦危うからず」の究極の奥義は、(これはあくまで私見ですが)「戦う前からすでに勝って
いる状況を作ってしまえば、結果はもう見えている」と言うことだと思います。では、戦
う前からすでに勝っている状況を作るとはどういうことだと思いますか。自分の弱さに打
ち勝ち、冷静に自分の実力を分析し、これだけ取り組んだのだから悔いはないと「自分で
自分の取り組みに対して納得のできる状況」を作り出すことだと思います。そうなったら、
自然に自分の中から「自信」が湧いてくると思います。
そのような状況を自ら作り上げていくことが、まさしく現在版「彼(てき)を知り、己
を知れば、百戦危うからず」になると私は読み解きます。
中 3 生のみなさんを励ます名言を集めてみました。心に触れる言葉があるといいのです
が・・・。
やる気があるときなら、誰だってできる。本当の成功者は、やる気がないときでもやり
通した者だ。
なせば成る、なさねば成らぬ何事も。成らぬは人のなさぬなりけり。
一方は「これで十分だ」と考えるが、もう一方は「まだ足りないかもしれない」と考え
る。そうしたいわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む。
本当の限界まで努力したことのない人間は「才能」を言い訳にしてはならない。
努力したやつが必ず成功するとは言えないが、成功したやつは必ず努力している。
「もっと勉強しておけばよかった・・・」という話はよく聞くが、勉強して後悔したと言
う話は聞いたことがない。
誰でも口からマイナスなこともプラスなことも吐く。だから【吐】という字は「口」と
「+」と「-」でできている。マイナスのことを言わなくなると「-」が消えて【叶う】と
いう字になる。
苦悩というものは、前進したいって思いがあって、それを乗り越えられる可能性のある
人にしかおとずれない。だから、苦悩とは、飛躍なんです。
未来が見えないから不安になる。でも、未来が見えないのは暗いからじゃない。眩しす
ぎて見えないだけなんだ。眩しい未来のために今できることをしよう。
一生懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳が出る。
大事をなさんとすれば小なる事をおこたらず勤むべし。小積もりて大となればなり。
およそ小人の常、大なる事を欲して、小なる事をおこたり、出来がたきことを憂いて、
出来易きことを勤めず
ピンチを迎えたら、チャンスと心得よ。チャンスを迎えたら、ピンチと心得よ。
もし、そうとらえて行動を起こせるようになると、今よりもっと人生が楽しくなる。
尾後貫 智