SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Citation Issue Date URL 楽器用スプルース合板の振動特性 祖父江, 信夫; 中野, 晴之; 浅野, 猪久夫 木材学会誌. 30(1), p. 93-97 1984-01 http://hdl.handle.net/10297/4585 Version publisher Rights Copyright © 日本木材学会 This document is downloaded at: 2016-03-01T10:46:11Z ノー ト [木 材学 会 誌 Vol.30,No.1,p.93∼ 97(1984)] 楽器 用 ス プル ース合板 の 振動特性 祖 父 江信 夫 *1 *2,中 野 晴之 *3,浅 野猪 久夫 *4 Vibrational Properties of Spruce Plywood for Musical Instruments Nobuo SoBUE*2,Haruyuki NAKANO*3,and lkuo AsANO*4 ′ Dynalnic Young's lnodulus Iテ and rnechanical-loss tangcnt′ α″δ of flve types of spruce plywood were invcstigated by the free flexural― vibration rnethod in relationship to the veneer construction of the plywood,the combining of different、 vood Species of veneer for the crossbands ofthe plywood, lathe chccks of the veneers,and glue layers of the plywood. α″δ ofthc plywood. The lathe checks and the glue layers increased the ′ The crossbands decreased I]′ and increased the rα ″δ ofthe plywood in the rlber direction of face ′ veneers.On the contrary,thcy increased I「 crossballds decreased the total vibrating― and decreased the rα 4δ in the orthogonal direction.Thc vo― dilnensionally vibrated. energy ofthe plywood when it t、 In the frequency range above 500 Hz the E′ gradually decrcased with an incrcase of frequency,but the tendency was dilninished by combining crossbands of red meranti veneer whose Young′ s modulus is higher than that of spruce veneer. α″δに E′ ,力 学 的 損 失正 接 ′ 単板 の 構 成 の 異 な る 5種 類 の スプ ル ー ス合 板 を作 製 し,動 的 弾 性 率 つ い て検 討 の お よぼ す 単板 構 成 ,メ ラ ン チ 単板 の 複 合 の 影 響 ,並 び に単 板 割 れや 積 層 接 着 影 響 に した 。 べ た 単板 割 れや 接 着 層 に よ る エ ネ ル ギ ー 損 失 の ため 合 板 の ″ δは素 材 に 比 て増 大 し 。 直 交 単 “向 の E′ の 増 大 と ′ α ″ δの低 減 の方 向 が 方 ″ ′ α δの増 を来 す ,横 の低 下 と 大 板 は表 板 繊 維 方 向 の エ の る。 に寄 ル 少 す ー 与 の 失 減 損 ギ ネ 振 動 二 る場 合 元振 動 の が 次 す に働 く で,合 板『 ン E鶴 ま 500 Hz以 上 の 周 波 数 で漸 減 を示 し,そ の 程 度 は直交 単板 の 挿 入 厚 さに依 存 す るが ,メ ラ チ単 板 の 挿 入 に よ り減 少 が 抑 制 され た 。 1.緒 樹種 や合板 を用 い る方策 が取 られ る様 にな り,量 産 品 ギター 等 では合板 を用 い た響板 が商 品化 され て い る。 。しか し,響 板 では音 のひび きな ど音響 的性質 が 言 ピア ノや ギター な どの発音体 とな る響板 には伝 統 的 にスプルー ス材 が用 い られて い る。 しか し,近 年 良質 の原木供給 の減退 に よる原木価格 の 高騰 の ため , 高級手工 品 を除 い た い わゆ る普及 品では一 部 に代替 *l Received June 21, 1983 ■2名 古屋大学農学部 School of Agriculture, Nagoya University,Chikusa― ku,Nagoya 464 ■ 3 セ ン トラル ・ フ ァ イナ ン ス帥 Central Finance Co.,Nishiki-3,Naka― ku,Nagoya 460 *4 東 京 大 学 農 学 音Ь Faculty of Agriculturc, Uni― versity of Tokyo,Bunkyo― ku,Tokyo l13 問題 とな るので,振 動 の 減衰 な ど従 来 の構造 用材や 造作用材 を 目的 とした合板 では要求 されな い様 な粘 弾性 的性質 が重視 され る。楽 器響板用材 を 目的 とし て合 板 の 振 動 的 性 質 を検 討 した もの に は 最 近 の Holzの 報告 のが あ るが,他 にはほ とん ど公表 されて い な い。 本研 究 では,単 板 の構成 の 異 な る 5種 類 の スプル ー ス合板 を試作 し,動 的弾性率 El力 学的損失正 接 た″δにお よぼす単板 の構成 ,ス プルー ス単板 とメラ ンチ単板 との複合 の影響 ,並 びに単板 切 削時 の 損傷 祖 父 江 信 夫 ,中 野 晴之 ,浅 野 猪 久 夫 や単板 の積 層接着 の影響 な ど合板製造 に係 る因子 に つ き基礎 的 な検 討 を行 った。 [木 材 学会 誌 Vol.30,NO.1 は りの た わ み 共振法 に よ って測定 した。試 験体 の 加振 とたわみの検 出には電磁 的方法 を用 い,共 振 曲 線 は励 振 周波数 を自動掃 引 させ て X― Yレ コー ダ に 2. 実験方法 手 苗かせ た。 2.1 供試合板の作製 振動試験 には,材 軸 と合板 表板 の繊維 方 向 との傾 供 試 スプルー ス材 には,ギ ター響板 用 に選 別 され た無 欠点 フ リッチ を用 い た。 スプルー ス材 の気乾比 斜角 θが ぴ, 重 は 0.41,レ ッ ドメラ ンチ材 の それ は 0.58で あ る。 スプル ー スの まさ目単板 は ロー タ リー レー スに よ の検 討 には,θ =ぴ ,45° ,9ぴ の 3方 向 の 試験体 を用 い,1次 お よび 3次 振 動 に よ って El″ ′δ を測 定 って作製 した。直径 約 50 cmの 多爪 チ ャ ックに まさ し,試 験体 の 寸法 を段 階的 に切 り詰め るこ とに よっ て共振 周波数 を変化 させ た。試験 時 におけ る試験体 目木取 りのフ リッチ 22Cm× 2″ m× 6伊 m(長 さ)を 偏心 させ て取 り付 け,切 削 を行 った。単板 厚 さは 2mmと lmmで ,切 削条件 は刃物角 ,に げ角 3∝ 絞 り率 90%で あ る。得 られ た (1 5Cm∼ 20m)× 60Cmの 単板 15° , 3ぴ ,45° , 6ぴ , 75° , 9ぴ とな る 7種 類 の 試験体 を用 い た。なお,El″ ″δの 周波数特性 含水率 は約 7%で あ った。 18° を シア ノア ク リ レ ー ト接 着 剤 で 3枚 横 つ ぎ し 55Cm× 5チ mの 正 方形 の供 試単 板 を作製 した。スプル , ー ス単板 は 2ぴ C,R.H.約 30%の 室 内で 自然乾燥 さ せ た。乾燥終 了時 の含水率 は約 1%で あ った。 レ ッ ドメ ラ ンチ単板 は直径 約 65 cmの 原木か らロ ー タ リー切 削 を行 い,厚 さ 2mmの 単板 を得 た。単板 切 削条件 は刃物角 ,に げ角 22° 3鋭 絞 り率 90%で あ る。 単板 は温 風乾燥器 (60° C)に よって 24時 間乾燥 させ た。乾燥終 了時 の含水率 は約 6%で あ った。 作製 した合 板 の単板構成 は Fig.1の とお りで,各 構 成 につ き 3枚 ずつ の合板 を作製 した。 3.結 果 と考察 3.1 単板 構成 と fち た″δの異方性 響板 は二 次元振動 をす るので,木 質 系材料 の様 に 異方性 の大 きな材料 では,El″ ″δの 異方性 を明 ら か に してお く必要 が あ る と考 え られ る。 そ こで,ま ず Eち ″′δが ほぼ一 定値 を示 す低 振動 数領 域 にお け る El′ αttδ の 異方性 と単板 構 成 との 関係 につ い て検 討 した。 Fig.2に 結果 を示す。 Eπ こつ い てみ る と,平 行構成合板 Aは ほ とん ど素 材 と等価 で あ る。合 板 Aの 比 重 が 素 材 0.41に 対 し て _0.50と やや 大 き くな って い るの で,合 板 Aの は若千 増加 して い る。直交 単板 が 挿 入 され た Bお 『 よ び Cの 構成 の合板 では ぴ 方 向 (表 板繊維 に平行 す る A目 ″〃 勿 B国 隆 が減少 し,9ぴ 方 向 (表 板繊維 に 直交す る 」 方 向)の が増加す るため,E′ の 異方性 は減少 して 『 い る。 異方性 の程 度 は直 交単板 の 厚 さ構成比 に依 存 方 向)の 5xSP4“ す る。3)→ ′δにつ い てみ る と,素 材 お よび合 板 れ わ 5x SPla SP12) C :::::::]4//上 ////1/nSllζ〕│:::装 努 D EΞ //⊥ //)SP(2),3XRM(2)・ SP(2) Ξ三三](//・ 障よ鞘器li:Wh靴翼 denotes the thickncss Of vcneers in mrn. 接着剤 には レゾル シノー ル樹脂 (ア イカネオ レジ ン :PR-10)を 用 い,塗 布 量 30g/(30Cm× 3伊 m), 圧締圧 力 9 kg/cm2,圧 締温度 120° C,圧 締時間 5∞ 秒 とした。 2.2 振動試験方法 動的弾性率 と力学的損失正接 ″″δは両端 自由 『 Aで は表 `α 板繊維 の傾 斜角 の 増大 につ れて単調 に増加 す るが 他 の構 成 の合板 では 45° 付近 で ピー ク を示 す。合板 , Aと 素 材 を比較 す る と,合 板 Aで は全体 に ″4δ が 増加 して い る。 これ は単板 切 削時 に生 じた単 板割 れ に起 因す るエ ネ ル ギー損失 の増加 と接着層に よるエ ネ ル ギー 損失 の増加 が原 因 した もの と考 え られ る。 B,Cの 場合 ,ぴ 方 向では挿 入 され た 直 交 単 板 の ′ α″δが 大 き い ため た″δは 平 行構成合板 Aの 場合 よ りやや 大 きい が ,9ぴ 方 向 で 直交単板 を挿 入 した合板 は挿 入 され た表板 に平行 な単板 の ′ α′δが小 さ い た め逆 に ″″δは減 少す る。45° 方 向 の様 に 弾性主軸 か ら傾 斜 した方 向では,前 報 →で明 らか とな った様 に 隣接す る直交単板相 互 の カプ リン グに よるね じれ変 形 の拘 束効果 の ため ,′ α′δは減少 す る。す なわ ち , , 直交単板 の挿 入 に よ って全体 と して ′ α′δ を小 さ く ∼ こ 押 える とが で き,特 に 45° 9ぴ 方 向におけ る た″δ 1984年 1月 楽 器 用 スプ ルー ス合板 の振 動特 性 ] ︵ 9こ %ミミ 7 α″δにつ い ては何 らか の 改良が必要 とな る。 が, ′ 前述 の様 に,′α″δの 増加 の要 因 として単板切 削中 に発生 した単板害1れ に起 因す るエ ネ ル ギー損失 の 増 加 と接着層 に よるエ ネ ル ギー損失 の増加 が考 え られ る。前者 につ い ては切 削方式や 原 木 の軟化 処理 な ど 切 削条件 の 改善 に よって あ る程 度 の 損傷 を抑制す る こ とが可能 だが ,′α″δに影 響 す る様 な ミクロな クラ ックまで完全 に な くす る こ とは難 しい。後者 につ い 0 α″δが 若干増加 す るこ とが知 て は,接 着 に よ って ′ い れ られ て る。単板割 の な い挽板積 層材 の結果 では α″δの増加 がみ られ るが2)動 ,本 実験 の場 10%の ′ 合約 37%の 増加 とな り,挽 板積 層材 に比べ て大 きな 10″ ← 0∼ Aの 場合 には単板割 れ の影 とか ら判断す る と,塗 布 時 の粘度や塗布 量 が適正 で なか った こ との影響 が考 え られ ,更 に適切 な接着条 5 c、﹁ b一 E りヽ こ ヽ﹄ o N 増加 を示 して い る。合板 響 が含 まれ,接 着層 のみに よる増加分 を これか ら分 離す る こ とはで きな いが,接 着 層 がやや 厚 か った こ 件 を見 い だす必要 が あ る。 しか し,上 記 の様 な ″δに マ イナ スに 作 用 す る `α 0 15 30 45 60 90 75 Grain angic offacc venccr (degrcc) Fig.2. Effect Ofveneer compositions on the relation… ship between dynarnic Young's modulus Iテ α″δ and the grain angle of or loss tangent ′ ′ C i Sce Figure l. 芯 材 に メ ラ ン チ 単 板 を挿 入 し た 合 板 Dと 同 じ等 厚 交 互 直 交 構 成 で全 て スプ ルー ス単 板 を用 い た合 板 Bの 比 較 を Fig。 3に 示 す 。ま た ,前 報 に お い て全 て メ の ラ ン チ単 板 を用 い て 作 製 した合 板 の 結 果 も合 わ せ て示 す。合板 Dの El′ α″δは合板 Bと メ ラ ンチ合 板 の 中間的 な性質 を示 し,′α″δの小 さな単板 を挿 入 α4δ を小 さ く押 え る こ と す る こ とに よって合板 の ′ ︵ Eo■ ゝ♂ や こ ヽ ﹄ N の低 減 効 果 が著 し い。 0 5 ︲ the face venccr. NOtes:S:Solid wood:A‐ ・ B(SP only) D(SP+RM) Red mcranti が可 能 な こ とが分 る。 この よ うに 異樹種 単板 の複合 は,経 済性 の面 か らば か りでな く,複 合 に よる積 極 的 な材質改良 の面 か ら も考 慮す る必要 が あ る。 楽器響板 として合板 を利 用す る場合 ,合 板 に どの 0 α″δの 異方性 を持 たせ るのが 適 当で あ る 様 な Eや ′ か につ い ては,現 在 の ところ明か ではな い。 しか し スプルー ス素 材 の代 替 として合板 を利 用す る もの と , 90 veneers on the relationship between dynamic 考 えれ ば,ま ず スプルー ス素材 の持 つ El′ α″δの 異 方性 に近 づ け る こ とが 目標 となろ う。 この観 点 に立 つ な らば,E年 こつ い ては平行構成合板 で実現 で きる ls 30 45 60 75 Grain angte of facc veneer ( degree ) Fig. 3. Effect of the combination of red meranti Note: Youngls modulus E' or loss tangent tan6 and the grain angle of the face veneer. B and D : See Figure l. 祖父江信夫,中 野晴之,浅 野猪久夫 [木 材学会 誌 要 因 を抑制す る方法 には限度 が あ り,よ り積極 的 な 改善 方法 を考 える必要 が あ る。 そ の一つ として,他 イ 樹種 単板や他 材料 の複合 が あ る。 Fig.2の 合板 Cの 場合 の様 に,わ ずか な直交 単板 の挿 入に よ って ′ α″δ の低減 が 計れ る。 したが って,弾 性率 の大 きな単板 。 ● ° ° Vol.30,No.1 巳 J。 11° 1:0。 A _ , ・ 。 . を用 いればその分 だけ挿 入 単板 厚 さを薄 くす る こ と が で きるの で,『 の低 下 を抑制 し且 つ ′ α′δを低 減 させ るこ とが で きる。 更に,炭 素繊維 な ど軽量高弾 ﹄ ヽ 性 材料 の複合 も考 えられ る。 3.2 単板構成 と Jち ″″δの周 波数特性 30∼ 4000 Hzで あ る。 の 周波数特性 は Fig.4の よ うに,5CXI Hz付 近 か 『ら減少す る。 これ は,試 験体 のせ ん断変形 に よ って 見掛 け の が減少 す るため で あ る。 ぴ 方 向 に つ い , て,5∞『Hz以 下 におけ る の平均値 を 1と して E′ の変化 を比 で表 わす と,Fig.5の よ うに直 交単板 の 『 ⊆一 ●O C ● 〓0 0>一一0 一●匡 楽器音 の範囲は低 音 か らか な り高音 までお よぶ の で,Et tanδ の 周波数特性 を調 べ るこ とは重要 で あ る。 ちなみに,最 も周波数 範囲 の広 い ピア ノでは約 0 だ 7"メ 1.0 ≒ 。 “ 0・ 5 :00 500 1k 5k Frequcncy (H2) ″ ・ 。. ・ B C D 中 S A 05 EりヽcゝO b一 x︶ ﹄ ︵ 倒 ヽ o o ・ 一 / / ″ ・ φφ ● 1 今 , ‘σ ″ 一 φ ◆ Fig.5. Effect Ofvencer compOsitions on the relation― ship bet、 veen the relative change in dynalnic YOung's lnodulus and the frequency ofvibra_ tlon. NotcsI S:Solid woodi A― D:Sce Figure l. 挿 入 の 多 い合板 ほ ど周波数 の 増加 に対 す る の 減 少が著 しい。 しか し,芯 材 に メ ラ ンチ単板『を挿 入 し た合板 Dは ,ス プルー ス単板 を用 い た同構 成 の合板 Bに 比較 して E′ の減少 率 が小 さい。 これ は芯材 メラ ンチ単板 のせ ん断弾性 率 が スプルー ス の それ よ り大 きい こ とに よる もの と考 え られ る。同様 に,9ぴ 方 向 の結果 を Fig.5に 示す。 ぴ 方 向で単板構 成 の影響 が 著 しい のに対 し,9ぴ 方 向 ではその影 響 は少 な い。ま 01・ 1■ 。t。 ,: ,": ro 1o !.o 学 た,メ ラ ンチ単板 を複合 した合板 Dで は,他 の構 成 の合板 に比 べ て 高周 波数 域 にお け る E′ の 減 少 率 が こ 小 さい。 この様 に,E′ の 周波数特性 の改善 の面 か ら : ,, i: -, lo? !o-,t 500 も異樹種 単板 の複合 を考 え る必要 が あ る と思 われ る。 ″″δの 周波数特性 は Fig.6の よ うに,素 材お よび 合板 で い ずれ も同様 な対周波数変化 を示 す。す なわ , .^9. 1k Frequcncy(H2) Fig.4. Юk 10k Effect of veneer compositions on the frequency characteristics of dynamic Young's modulus in three essential directions. Notes: S: Solid wood; A-D: See Figure l. ち 2∼ 3 kHzま ではほぼ一定値 を示 し,そ れ以上 の α″δの 急 激 な増加 を示 す。 高 周波数 域 に 周波数 で ′ α′δの増加 は,ぴ 方 向が 45° ,9ぴ 方 向に比べ おけ る ′ α″δが最 も小 さい。45° て大 きい。0° 方 向 では素材 の ′ α δは 方 向では,平 行構成合板 Aを 除けば,合 板 の ′ “ の か 全周波数 範 囲 で素材 それ と同等 よ り小 さ い。 ま 1984年 1月 楽 器 用 スプ ルー ス合 板 の 振動 特 性 ] させ るこ とと等価 な効果が得 られ る もの と考 え られ る。 しか し,直 交単板 の挿 人 は表板繊 維方 向 の を 減少 させ るので,縦 弾性率 の 高 い 異樹種 単板『を用 い 挿 入 単板 厚 さ を薄 くす る こ とに よって の 低 下 を αηδの低 減効 果『 の バ ラ ン ス点 抑制 し,E′ の低 下 と ′ , か ら単板構成 を決め る必要 が あ る。 El′ α″δの 周波数 依 存性 につ い て み る と,E“ ま 500 Hz以 上 で減少 し,表 板繊 維方 向では直交単板 の 挿 入厚 さの 大 きい合板 ほ ど減少が著 しい。 これの 改 善 には,せ ん断弾性率 の大 きな単板 の挿 入が効果 的 異樹種 単板 の複合 は,E′ の 周波数特性 の 改善や表 板 繊維 方 向 の E′ の低 下 を抑制 す る手段 として活用 C一 1 0 2 1 0 ヽミ、﹂ ︵ 〇一X︶ N︲ であ る。一 方 ,′ αηδの周波数依 存性 には,素 材 と合 板 で差 は見 られ な い。 で きる こ とが明 らか とな った。 ところで,従 来,楽 器用材 の 材質指標 として本材 , B一 2 の繊維方 向の振 動特性 が 問題 とされて きたが ,最 近 直交方 向の振動特性 の重 要性 が指 摘 されて い る。安 藤 は0,等 用桐 材 の振動特性 と等製作者 に よる評価 と ^ - r- -a,o-- a - -nfr, の 関係 を検討 し,等 用桐 材 では繊 維 に直交す る方 向 の 材質値 のほ うが製 作者 の評価 とよ く対応 してお り 胴 板 が 二 次 元 的 に振 動 す る場 合 に は ヤ ン グ率 や Quality Factor 2(=1/′ α δ)が 小 さい 直交方 向 の “ 旨摘 して い る。 この こ 値 がむ しろ問題 とな るこ とを才 , 0 D一 2 L-:-*o- -_.----q4 10° Freqttc」 k(Hz)5k Ю k Fig.6. Effcct Of veneer compositions on the frequen― cy characteristics of the loss tangent in three とか ら,合 板 の様 に直交単板 の挿 入に よ って 直交方 向 の振 動特性 を任意 に設 計す るこ とが可能 であ る と して も,こ れが響板 材 として利用す る場合 に どの よ うに有利 に作用す るかにつ い ては新 たな問 として楽 器製作 者 ら専 門家 に よる判定 が期待 され る。 謝 cssential directions. NOtes:S:Solid wood:A― D:Sce Figure l. ● :ぴ ;△ :45° :0:9ぴ α4δ は た ,90° 方 向 で は ,合 板 Aを 除 け ば ,合 板 の ′ い 素 材 の それ よ り小 さ 。 4.結 論 合板 では構造や製造 プ ロセ スに付 随す る表板繊 維 方 向 の の 低 下 と単 板 割 れ や 接 着 層 に起 因 す る の増加 が認め られ るが ,直 交単板 の挿 入 と異樹 た4δ『 種 単板 の複合 に よ って この材質低下 を抑制 で きる こ とが わか った。す なわち,素 材 では横 方 向 の が小 辞 本研 究 の実施 にあた り,供 試材 の提供 に御協 力 い ただ い た 日本楽器製造株 式会社 。今 川勝 彦研 究室長 に謝意 を表 します。 なお,本 研 究 は昭和56年 度文部 省科学 研究費 ・ 奨励 研 究 (A)の 一 部 として実施 し た。 文 献 1)河 野 賢 ら :現 代 ギ ター ,16(9), 14‐ 25(1982). 2)D.Holz:〃θ″′ 力 οJOgJθ ,20,201-206(1979). “ “ 3)祖 父 江 信 夫 ,岩 崎 吉 男 :木 材 学 会 誌 ,27, 457¨ 462(1981). の挿 入 は α″δが大 きな値 を示 す が,直 交単板『 さ く′ ″′δを た べ させ の ま を増加 , て横方 に比 向 素材 4)祖 父 江 信 夫 :木 材 学 会 誌 ,29,14-19(1983). 5)祖 父 江信 夫 ,岩 崎 吉 男 :木 材 学 会 誌 ,27, 597‐ きる。 この こ とは,響 板 が 二 次 低減 させ る こ とが で『 元振動 す る ときの板全体 の振動 エ ネ ル ギー 損失 を低 6)安 藤 由 典 α″δを低 減 減 させ るこ とにな るの で,繊 維 方 向 の ′ 601(1981). :日 本 音 響 学 会 講 演 論 文 集 ,1983. P.363.(1983).
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