細胞の剥離 - Sigma

F o r O r d e r i n g I n f o r m a t i o n a n d Te c h n i c a l S e r v i c e , c o n t a c t y o u r l o c a l S i g m a - A l d r i c h o f f i c e
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細胞の剥離
トリプシン
トリプシンを用いた培養表面からの
接着細胞の分離
4) トリプシン処理が完了すると、細胞は浮遊状態となり、球
状になります。
培養基質からの接着細胞の分離には、トリプシンまたはトリ
プシン•EDTAによる処理が特に広く用いられています。トリ
プシンを溶解、または濃縮溶液から希釈する場合、Hanks'
Balanced Salt Solution, Modified(製品番号H 8389)のよう
な、カルシウムやマグネシウムを含有しないバッファーを用
いる事が重要です。トリプシン溶液をpH 7.4∼7.6に調節しま
す。
5) トリプシンによってさらに細胞が損傷されるのを避けるた
め、血清、または血清添加培地をなるべく早く細胞浮遊液
に添加するようにしてください。
2) 単 層 細 胞 が 完 全 に 浸 か る ま で 、 培 養 容 器 に ト リ プ シ
ン•EDTA溶液を加え、37°Cのインキュベーターに約2分静
置します。
3) トリプシン•EDTA溶液を吸引濾過により除去し、培養容器
を閉じてインキュベーターに戻します。コーティングした
細胞が培養表面から分離してくるまで、さらにインキュベ
ーターに静置します。進行状況は、倒立顕微鏡で確認する
ことができます。
Trypsin Inhibitor(製品番号T 6522)
1) Trypsin Inhibitorを濃度1 mg/mlで無血清培地に溶解させま
す。
2) 0.2 µm酢酸セルロース膜を用いて、Trypsin Inhibitor溶液
を滅菌濾過します。
3) トリプシン処理後、トリプシン溶液1 mlに対してTrypsin
Inhibitor溶液1 mlに細胞を再浮遊させます。
4) 1,000 rpmで5分間、浮遊細胞を遠心分離します。
5) 可能な限りすべてのTrypsin Inhibitor溶液を除去し、ペレッ
トを無血清培地に再浮遊させます。
6) 目的の培養を行なってください。
注:培養表面からの細胞の剥離に要する時間は、細胞型、
細胞密度、培地中の血清濃度、トリプシンの効力、最
後の継代からの経過時間などによって変化します。ト
リプシンは細胞を損傷するため、処理時間は最小限に
抑えるようにしてください。
細胞の剥離
Cell Dissociation Solutions(製品番号C 1419、 3) カルシウムおよびマグネシウムを含有しない平衡塩溶液で
細胞を洗浄します。培養容器を穏やかに30秒間揺らして塩
C 1544、C 5789、C 5914)
溶液を除去します。
製品概要
シグマ・アルドリッチの細胞剥離用溶液(Cell Dissociation
Solution)は、細胞培養容器の増殖表面から細胞を穏やかに剥
離するために調製されています。タンパク質成分を含有しない
独特の組成で、酵素を使用せずに細胞を容器表面から剥離しま
す。細胞タンパク質は酵素修飾や外来タンパク質の吸着から保
護されます。これらの製品は、細胞表面タンパク質の認識に依
存する免疫化学研究において特に有効であると考えられます。
細胞剥離用溶液は、HBSSまたはPBSに溶解してあります。ま
た、個々の製品はEDTA、グリセロール、およびクエン酸ナト
リウムを含有します。
使用例:
下記のプロトコールは、細胞剥離用溶液の使用例です。
1) すべての試薬を加温しておきます。
2) 細胞培養容器から培地をすべて除去します。
4) Cell Dissociation Solution(75 cm2フラスコ中に約5 ml)
を加え、容器を揺らして単層細胞が溶液に浸るようにしま
す。
5) 5∼10分間インキュベートします。
6) 培養容器を手の平で軽く叩いて細胞を剥離させます。強く
接着した細胞を剥離させるには時間がかかる場合がありま
す。
7) 完成した増殖培地を細胞に加え、ピペッティングを繰り返
して細胞塊を分離します。
保存:
Cell Dissociation Solutionは冷蔵保存(2∼8°C)してくださ
い。不溶性の沈殿を生じるおそれがありますので、凍結は避
けてください。
細胞の剥離
1) 吸引濾過により培養容器から培地を除去し、単層細胞をカ
ルシウムやマグネシウムを含有しない塩溶液で洗浄して血
清成分を完全に取り除きます。その後、吸引濾過により塩
溶液を除去します。
6) 細胞浮遊液を穏やかにピペッティングして再懸濁させ、細
胞魂を分散させることができます。細胞計数や継代など、
必要に応じてさらに希釈することもできます。