水産生物生態調査 (マダラ) 中田凱久・佐藤恭成 調査目的 本県太平洋及び陸奥湾海域におけるマダラ幼魚 未成魚の漁獲の実態を明らかにし、分布、回遊及び海 域間の相互の生態的関係を明らかにする。 調査内容 1.調査期間:平成 6年 4月 平成 7年 3月 2 . 調査海域:太平洋及び陸奥湾海域 3 . 調査項目:①幼魚及び未成魚採集調査…底曳網によりマダラ幼魚及び未成魚採集調査、試験船「青鵬 丸 」 ②標本船調査…標本船を依頼し、定置網及びコウナゴ、小型まき網で混獲されるマダ、ラ幼魚 未成魚の標本を収集し分布状況を調査 ③魚体測定調査…マダラ未成魚について、全長・体長・体重・雌雄・生殖巣重量・胃内容 物等について測定調査 ④産卵親魚調査…産卵親魚の精密測定を行い、産卵期を把握 ⑤聞き取り調査…幼魚 未成魚の情報収集 調査結果 ① 幼魚及び未成魚採集調査 表 1のとおり太平洋三沢沖で底曳網により採集された幼魚及び未成魚の測定を 2回行った。採集され たマダラは体長 1 8 . 4 4 0 . 6 c m 、体重 1 0 2 9 1 6gの範囲にあり、水深 200mで採集され、それ以外の水深帯 では殆ど採集できなかった。胃内容物はオキアミ主体にエピ類、カニ、多毛類であった。 表 1 マダラ測定結果表 採集月日 5月2 5日 1 1月1 1日 水 深 204m 200m 測定尾数 2 1尾 1 1尾 平均体長(範囲) 2 3 . 2 c mC I 8 . 4 3 5 . 4 c m ) 3 6 . 2 c mC 3 2 .8 4 0 .6 c m ) 平均体重(範囲) 2 4 8g 002-800g) 6 5 4g ( 4 1 8 9 1 6g) ②標本船調査 陸奥湾において、定置網 4隻、コウナゴ小型まき網 6隻計 1 0隻を標本船とし、混獲される幼魚 未成 魚の標本採集を行ったが、陸奥湾口部脇野沢村沖の定置網及び佐井村沖のコウナゴ小型まき網でのマダ ラの漁獲は見られず採集できなかった。 - 271- ③魚体測定調査 八戸港に水揚げされた未成魚について測定した結果を表 2に示した。測定個体は体長 2 2 .4 4 6 .5 c m、 4 0 , 12 7 6gの範囲にあり、胃内容物はオキアミ・エビジャコ等の小型甲殻類が主体であった。 体重1 表 2 マダラ未成魚測定結果表 漁獲月日 漁獲海域 測定尾数 平均体長(範囲) 平均体重(範囲) 3 6尾 3 3 .4 c 皿 ( 2 4 .1 ~46. 5 c 皿) 4 7 9g (152~ 1 .2 7 6g ) 1 2 2日 鮫 角 NE水深2 0 0 3 0 0 m 5月2 5 0尾 2 7 .9 c m(22.4~31. 1 c m ) 3 0 9 g (140~ 4 3 1 g ) 6月1 7 1 8日泊沖水深2 0 0 3 0 0 m 5 0尾 2 8 . 6 c m( 2 4 . 7 3 3 .1 c m ) 3 3 3 g (191- 5 1 7 g ) 9月1 2日 4 5尾 3 3 .3 c m( 3 0 .2~39. 6 c m ) 5 0 1 g (347~ 8 4 6 g ) 1 0月 2-3日八戸沖 3 2尾 3 4 .7 c 皿 ( 31 .1 3 9 .8 c 回) 5 8 6g (389- 8 7 5g ) 1 1月 9-10日泊沖水深2 0 0 m 3 3尾 3 5 .6 c m(32.0~40.3cm) 6 4 0g (390- 9 5 4g) 3 1 4日尻屋崎沖水深2 0 0 3 0 0 m 1 2月1 3 6尾 3 6 . 7 c m( 3 0 . 2 4 3 . 2 c 皿) 6 0 9g (323~ 9 6 5g) 1 B 1月1 2 9尾 3 7 . 7 c m( 3 2 .4 4 0 .8 c m ) 7 5 6g (404- 9 6 2g) 3 5尾 3 6 .O c m( 3 1 .8 3 8 .6 c m ) 9 1g ) 6 2 7g (389~ 7 4月2 7日 階上 種市沖 三沢沖水深 1 8 0 2 0 0 m 鮫角 出戸水深2 0 0 3 0 0 m 2月1 1~12 日鮫角 NE 水深 200~300m ④産卵親魚調査 八戸地先で漁獲されたマダラ親魚について精密測定を表 3のとおり行った。 1 2月 1 3 1 4日から 1月 1 1 日では放卵・放精の魚体はみられず、 1月 2 8日--2 9日では雌 1尾が放卵、 2月 1 1-1 2日では放卵後が 3 尾、放精後 6尾であったことから、当海域での産卵は 2月中旬と推察された。 表 3 マダラ親魚測定結果表 漁獲海域 漁獲月日 測定尾数 平均体長(範囲) 平均体重(範囲) 1 2月1 3 1 4日尻屋崎沖水深2 0 0 3 0 0 m ) 6 1 6尾(♂ 7、♀ 9 1 .3 c m( 5 4 .6 7 0 .2 c m ) ,6 4 5g ( 2,996~4 , 8 9 9g ) 3 1月1 1日 c m ) 8 .9 c m( 5 0 .4~68. 8 2 8尾(♂ 1 3、♀ 1 5 ) 5 ,2 6 7g ( 1 , 983~4 , 9 1 7g ) 3 1月2 8 2 9日鮫角沖水深 2 0 0 3 0 0 m 8、♀ 8 ) 6 0 . 3 c m(49.8~73. 2 c m ) 2 7尾(♂ 1 ,3 5 2g ( 1 ,5 8 5 5,6 7 1g ) 3 2月1 1 1 2日鮫角 NE水深2 0 0 3 0 0 m 4、♀ 1 3 ) 5 7 . 3 c m(48.0~66. 2 c m ) 2 7尾(♂ 1 , 7 3 3g ( 1 ,8 7 7 3,8 6 2g ) 2 鮫角~出戸水深 200~300m ⑤聞き取り調査 随時、幼魚 未成魚に関する情報収集を行ったが情報量は少なかった。 幼魚については近年太平洋及び陸奥湾共に、イカナゴ棒受網及び定置網に混獲が全くみられなくな り、未成魚については周年太平洋海域の出戸 50--300mに分布しているとの情報を得た。 八戸沖水深 1 円 t ワ臼 9H
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