東京大(前期)【世界史】解答例 第1問 東アジアでは,70 年代後半から台湾・韓国が経済成長し,アジアニーズに数 えられた。韓国で 80 年に光州事件が起きるなど両国の民主化は抑圧されて いたが,経済成長が進むにつれて民主化の兆しが見え,台湾では 87 年に戒 厳令が解除された。中国も 70 年代後半に文化大革命が終息し,鄧小平の指 導下で改革開放政策が採られ,急激な経済成長が始まったが,89 年に天安門 事件が起きて民主化が途絶した。中米・南米でも,経済成長による中産階級 の増加を受けてブラジルやチリで民主化が進み,アルゼンチンの軍政もフォ ークランド紛争の敗戦から民政移管した。一方,ニカラグア革命やグレナダ 左翼政権のようにアメリカの介入を受けた国もあり,対米従属からの脱却は 困難であった。また,経済成長と同時に先進国に対する累積債務が増加し, 経済危機と貧富の差の拡大から不安定な政情も続いた。中東では,エジプト とイスラエルが講和してシナイ半島が返還されると,アメリカ・イスラエル に対する態度を巡ってアラブ諸国の協調が乱れ始めた。また反米からイスラ ーム原理主義の動きも強まり,イラン革命によりイラン=イスラーム共和国 が成立した。翌 80 年からアメリカの支援を受けたサダム=フセイン政権の イラクとのイラン=イラク戦争が始まり,これはイラクの軍事大国化を招い た。アフガニスタンでもソ連が撤退するとターリバーンが勢力を拡大した。 その中で PLO は独立国家樹立に向けた動きを見せ始めた。 第2問 (1) (a)イクター制 軍人や官僚に俸給に見合う土地の徴税権を与えた制度で,後には行政権も付 与したため,地方分権化が進む原因となった。 (b)カピチュレーション 帝国領内の居住権や通商の自由等を恩恵として認めたが,西欧諸国との力関 係が逆転すると不平等条約と化し,侵略の口実となった。 (2) (a)支配階層を統制するため,貴族や官僚を等級付けして官位を与え,維持す べき騎兵・騎馬数を定めて,それに応じた給与を与えた。 (b)ジズヤの廃止等により非ムスリムを圧迫したため,マラーター王国やシク 教徒の反乱が頻発し,地方の自立傾向が高まった。 (3)両国は貿易差額主義のもとで産業保護と対外進出を進め,特にオランダの 支配的なインドネシアを避けてインドへの進出を強化した。イギリスは航海 法が制定してオランダの中継貿易に打撃を与え,フランスは財務総監のコル ベールが東インド会社を再建した。 第3問 (1) クレイステネス (2) 陳勝 (3) コロッセウム (4) ミュンツァー (5) シク教 (6) シパーヒー (7) パリ=コミューン (8) 五・三〇運動 (9) ホー=チ=ミン (10) ペレストロイカ
© Copyright 2024 ExpyDoc