この手引きについて 寡雪地域における 温室の雪害対策 2014年2月の大雪が、いつもは雪が少なく施設園芸が盛んな地域にお いて温室の倒壊などの甚大な被害をもたらしたのは記憶に新しいところ です。さらに、温暖化が進行すると降雪量の年変動が拡大し、極端な大 雪が発生する可能性が高くなると予測されています。このため、降雪が 少ない地域（寡雪地域）においても積雪による温室の倒壊について対策 が必要です。 簡易手引き そこで、関東地方平野部のような例年の降雪量が少ない地域におい て、想定外の積雪に対して倒壊等の被害を防ぐことができる、低コストで 比較的簡単な雪害対策技術を整理しました。これは、2014年2月の大雪 によって倒壊した温室40件の被害事例の調査結果に基づくものです。こ の雪害対策技術は、コストをあまりかけずに農家が自ら実施することが できます。雪の重さの軽減や、温室の構造の強化によって被害を防ぐ技 術です。温室を、温室の連棟形式や暖房機の有無によって4パターンに 分類することで、各パターンに適した対策技術を選択できます。 なお、この手引きは手軽に見ていただくために、雪害対策のポイントの み解説しています。さらに詳細な情報や各地域特性に適した対策は日 本施設園芸協会、群馬県、栃木県等のウェブサイトからダウンロードでき ますので、適宜参照してください。 詳しい情報のお問い合わせ 〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6 国立研究開発法人 農業･食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 農業施設工学担当（担当：森山） 029-838-7655（電話）/-7627（ファクス） 山 折 り 4 2016.02 国立研究開発法人 農研機構 農村工学研究所 1 雪の少ない地域（寡雪地域）の温室は大がかりな構造補強が困難です。現実的な雪害対策技術は、雪の重さを軽減する技術、低コストで簡単な構 造強化技術です。温室の連棟形式や暖房機の有無から所有している温室のパターンを選択することで、その温室に適した雪害対策を選択できます。 どのタイプの温室ですか？ 連棟ハウス 腐食した 接合用鋼管 暖房機なし ●部材の腐食箇所が破壊される と、温室全体が倒壊します。部材 の腐食が進行しないよう、日常の メンテナンスが重要です。 基 礎 当日の 対策 ● 安 全 の 範 囲 内 で 除 雪 ●柱の曲げ破壊は少ないで すが、柱基礎接合部等に破壊 が集中します。 単棟ハウス 暖房機あり 事前の対策 当日の対策 ●●●● 屋谷ブ柱 根部レ・ 基 上にー礎 のおス接 滑けの 落る設合 阻融置部 の 害雪お よ補 要水び強 因の確 の処認 除理 去 ●●● 安移降 全動雪 の式開 範カ始 囲ーと 内テと でンも 除開に 雪放暖 房 機 作 動 暖房機なし 臨時の補強用 中柱 暖房機あり 当日の 対策 事前の 対策 当日の 対策 ● 安 全 の 範 囲 内 で 除 雪 ●● 屋ブ 根レ 上ー のス 滑や 雪中 阻柱 害に 要よ 因る 補 除強 去 ●● 安降 全雪 の開 範始 囲と 内と でも 除に 雪暖 房 機 作 動 ●中柱は有効な積雪荷重対策で す。しかし均一ではない、偏った 積雪の場合は十分な効果を発揮 できません。除雪の際も左右均等 に行います。 ブレース アーチパイプ 軒 棟高の 63-70% 地表面 ●軒から上の箇所にブレース （3.2mm程度の鉄線）を設置する と、最大で3倍程度の強度増加が 見込めます。偏荷重にも対応でき ます。 柱 ブレース コンクリート 柱基礎接合 用角形鋼管 ●柱間のブレースは接合部に 力が集中することを防ぎます。 農作業のために撤去した場合 は、必ず復旧します。 2 コンクリート 基礎 ボルト穴保持 用の木もしく は塩ビ管 コンクリート 不要箇所を 塞ぐための 木片 ●柱基礎接合 用鋼管内部に コンクリートを 充填すると、 理論上、曲げ 耐力を25%程 度増加するこ とができます。 移動式カーテン 暖房機 雪解け水 谷 折 り ●融雪は荷重自体をなくす効果的な方 法です。降雪中はカーテンを開放し連続 暖房します。基礎を沈下させる融雪水に 注意します。 浸水した 盛土地盤 基 礎 の 沈 下 ●谷からの融雪水により基礎が沈 下しやすくなります。盛土地盤で 顕著です。フィルムの捨て張り等 3 で水の浸入を防ぎます。
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