現場 レポート 伝統工法で自宅を設計し、その魅力を発信 イチキ大工 市来 元己 はじめに 現在、建物の多くはプレカットされた材木を組み、金具や 筋交いで固定する建て方がなされています。そうした家を建 てるたびに疑問を感じていました。せっかく大工になったの だから木を活かした建て方をしたいと考えていたのです。し かし、そうした仕事はなかなかありません。それならば自分 で作るしかないと思いました。今回、自宅を建てる機会がで きたので、貫工法・土壁で建てることにしたのです。人間と 建物は同じだと思っています。自立して柔軟性があり、外力 を分散できる建て方でなければいけません。その結果が貫、 木組、土壁という構法でした。何より土と木は自然にかえる 材料です。また、とある現場で土壁に真剣に取り組んでいる 左官吉田の吉田一正さんを知り、仕事をお願いできたことも 土壁をしようと決意できた大きな要因です。 施工について 施工に向けての準備として、土壁のことをあまり良く知ら なかったので、土壁の工程を教えてもらいました。小舞、荒 壁、裏返し、貫伏せ、底埋め、大直し、むら直し、中塗、上 塗と多くの工程がありますので、大工工事とどこで入れ替わ ▲荒壁が塗られた玄関入り口部分 No.474 2016 年 2 月号 15
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