解答と解説 - 増田塾

2016 増田塾
入試解答速報
上智大学(2/9)総合人間科・法・外国語学部
― 上智大学 ―
2月9日
総合人間科・法・外国語学部 国語
解 答
一
問一=d
問二=d
問三=c
問四=a
問五=c
問六=b
問七=c
問八=d
問九=a
問十=b
問十一=a
二
問一=d
問二=a
問三=d
問四=b
問五=a
問六=b
問七=b
問八=a
問九=b
問十=d
問十一=ア B
イ A
ウ A
エ B
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三
問一=b
問二=c
問三=a
問四=c
問五=d
問六=a
問七=b
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解 説
一
解説の際の基本ルールとして、①「できるだけ選択肢を見る前に本文中の根拠を探し確認
すること」、その上で最終決定するために②「選択肢を種類分けして判断すること」という
2 点を説明しておく。①は、本文傍線部とそのイコール部分、同内容を言い換えた部分より
「正解の選択肢はこの内容を踏まえたものであるはず」と、選択肢を見る前に答えの根拠を
本文から確定する、ということである。②について、選択肢の種類は「◎=本文と完全に一
致」
「○=本文とほぼ一致」
「×=本文と矛盾する」
「ナシ=本文中に書かれていない」
「ズレ
=本文中に書かれてはいるが、視点や論理関係がズレている」「△=曖昧でどちらとも取れ
る(間違ってはいないが部分的な説明しかしていない、明記してないが論理関係上内容は正
しい)ので他の選択肢との相対比較が必要」という 6 種類で検討する。「◎」「○」は正解、
「△」は相対比較で正解になるときもある(例えば、選択肢が四本あって、◎○が無く、△
が1つ、×が三つなら△が正解になる、ということ)。
「×」
「ナシ」
「ズレ」は不正解である。
また傍線問題も空欄問題も、基本は「傍線、空欄のある文→前後の文→その段落全体→前後
の段落→論理構成上イコールになる段落」という順番で根拠となるイコール部分を探してく。
本文は全 11 段落からなる。本解説では該当箇所を「○段落○行目」、という言い方で説明
していく。
問一
これは知識問題。
「しかつめらしい」は「まじめくさって堅苦しい、もっともらしい」
という意味。正解は d である。
問二 「逆説」とは「一見矛盾するように見えて実は真理を示す説」のこと。難関大学を目
指す受験生であれば、知っていなければならない入試現代文重要ワードである。「逆説」に
は必ず対比の意味が含まれている。傍線部の場合は「生産的思考」と「遊び」が「対比」で、
一見「矛盾」しているのである。つまり、本来「生産的思考」と「遊び(=非生産的思考)」
はイコールにならないが、傍線部の場合は「逆説にさえならない」のだから、当然のように
両者はイコールでつながっている、と言っているのである。この点を正しく踏まえているの
は d であり、これが正解。a は「創造的にならず」がナシ、b も「天才の思考」
「天才にとっ
ては」がナシ、c も「もともと身体の運動と結びついており」がナシ。
問三 傍線部をフロイトに即して説明しているのが直前、3 段落 7、8 行目である。そこに
は「母親と一緒にいたいという自然的な衝動を放棄(=これが傍線部の「自然からの脱出」
である)し、自分をコントロール(=これが傍線部の「自己支配」である)する偉大な文化
的達成とあり、ほぼ傍線部とイコールであると見抜けるはず。さらに傍線部を一般化した内
容が 4 段落 2 行目にも「理性を簡単に放棄して自然的存在に帰る」と説明されている。これ
らをヒントにして選択肢を見ると、a は後半の「母親とともにいたいという欲求を子供が制
御する」が×。「母親とともにいたいという欲求」は本文 3 段落 7 行目では「放棄」される
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べきものであり「制御」ではないので誤り。b は「母親に対する憎しみを克服」がナシ、c は
前半がフロイトに即した内容、後半が一般化した内容で正しい。d は「熱中して我を忘れる」
「母親の~不安を忘れることを学ぶ」がナシ。
問四 傍線部「この素朴実在論」の内容は、指示語があるので前を見ると「世界が存在する
通りに私たちは知覚する」と明確に書かれている。その上で傍線部「錯覚がなぜ生ずるのか
説明できないか」を考えてみると、「私たちが世界をありのまま知覚しているのであれば、
間違って知覚する(=錯覚)ことはありえないから」ということになる。この内容に最も近
いのは a であり、これが正解。b も意味は近いが「錯覚」を示す言葉がない(a には「知覚
が誤る」という「錯覚」を意味する言葉が入っている)ので×。c は「誤った認識を常に修
正できる」がナシ、d は「すべてが錯覚であることと同じ」が×。
問五 「アフォーダンス」については傍線部の次、6 段落 1、2 行目に「環境がさまざまな~
与えてくれる」と説明されている。ただこれは辞書的な意味であり、設問で問われている「J
ギブソンによるアフォーダンス」は 6 段落 5、6 行目に「知覚は、環境が~ではなくて~交
渉して引き出してくる情報であり、価値なのである」と説明されている。これを根拠に選択
肢を見ると、もっとも近いのは c であり、これが正解。a は「規定されている」がナシ。b は
「有機体から環境へも提供される」が×、5、6 行目にあるとおり「人間(=有機体)が交渉
して引き出してくる」のである。d も同じ理由で「与え合って」が×。
問六 傍線部は直前の 6 段落 1、2 行目で「環境が~という意味」と説明されていることは
問五でも触れた。ここを踏まえて傍線部の「生態学的」という言葉の意味を考えてみると、
「環境」と「人間」の間に関係性がある、という意味だと考えられる。本来「生態学」は「環
境は生物に影響を与え、生物も環境に影響を与える」という立場に立つものである。よって
一方方向だけでなく双方向性の言葉で説明されていないと「生態学」の意味が出ない。この
点を踏まえると正解は b である。a は「知覚する以前に環境の中にすでに存在」がナシ、c
は「環境」から「有機体」への一方向のみの説明なので「生態学」に矛盾しており×、d は
「環境」に触れていない時点で×だが、「世界は以前と変わらず存在」もナシである。
問七 傍線部直前「いいかえると」の前に「そのつど工夫されたり、偶然に発見されたりし
たもの」と説明されている。一番近いのは c であり、これが正解。a と b には「そのつど」
に当たる言葉がないし、d は「予想不可能」がナシ。
問八 傍線部のある 8 段落 1~5 行目をヒントにする。子供ははじめてかかる病にたいして
(大人のように病の経験がないので)そのつど新鮮な痛みや底なしのおそれを感じる。その
状態を傍線部「大人が死に近づくとき~繰り返す」のである。大人にとって病は経験済みだ
が「死」は未経験なので、子供にとっての「病」と同じことが起こるということ。つまり大
人も「死」に対しては、そのつど新鮮な底なしのおそれを感じる、ということである。この
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内容を正しく説明しているのは d であり、これが正解。a は「対処する力が衰える」がナシ、
b は「多様な立場に立って~できるようになる」がナシ。そもそも a と b は「死」に触れて
いない時点で誤りである。c は「多くの人々の死を経験」
「病の苦痛と死が結びつく感覚」が
ナシ。
問九
傍線部では「相互行為のループ」と言っているのだから、「大人の行為」と「子ども
の行為」が「相互」に「ループ(=繰り返す)」している、という意味の選択肢を選ばなけ
ればならない。傍線部の説明は同じ 10 段落 4~6 行目にある。今述べた「相互」行為が「ル
ープ」する、という意味を踏まえてその部分の内容を確認する。子どもは、まず「親や周囲
の大人たち」を「知覚」し、
「その人たちに合わせて自分の行為を変調する」。そして「その
行為はまた親たちを驚かせ、喜ばせ、新たな行為へと誘う」のである。つまり、
「子どもの行為」
↑
↓・・・・・・ループ
「大人の行為」
ということである。各選択肢を見てみると b、c、d はすべて末尾「新たな行為」を「子ども」
がするものとして書いている点で誤りである。これでは「相互行為」にならない。a のみが
「子どもは~大人たちの~働きかけに応えることによって」~「大人が子どもに働きかける
動機をいっそう強いものにする」と正しく説明している。よって正解は a である。
問十 空欄がある文とその前の文より、
「相互行為のループの一変形」=「同じ人間への(10)
性」であるといえる、そして「相互行為のループ」については問九で確認した。つまり「お
互いの(=相互)行為が影響を与え合って次の行為へとつながっていく」のだから、それぞ
れの行為は相手の行為を踏まえたものでなければならない。この「相手の行為を踏まえる」
という意味、内容に最も合うのは b「同調」であり、これが正解。他の選択肢の言葉はどれ
も「相手との相互性、イコールの関係性」を示す意味になっていない。
問十一 傍線部のない設問なので、各選択肢と本文中の該当箇所を照らし合わせながら確認
していく。a は「子どもと周囲の人々や環境との相互作用」が 6 段落、10 段落にそれぞれ説
明されているし、選択肢後半も 1 段落 1、2 行目に合致している。これが正解候補。b は前
半~半ばまでは 6 段落と合致するが末尾の「人類普遍の能力」がナシ。c は、a や b にはあ
った「相互作用」という言葉を使っておらず「物質的な環境に働きかける」ことにしか触れ
ていないので一方的で×。10 段落の子どもと親の話を読めば、お互いの行為を「見ている」
ことは明らかであり、選択肢末尾の「もともと身体的・物質的なもの」と言い切るのはおか
しい。d は、前半は 6 段落の内容を踏まえているが、後半「いったん文化として成立~還元
できない」はナシ。よってやはり正解は a である。
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二
本文に取りつく前に、設問を一通りチェックしておくことを勧める。
今回の問十は本文前半と後半の関わりに関する設問で、あらかじめチェックし念頭に置けば、
手間が省けるからである。
第一段落は藤原宗俊が時光に笙の笛を習う場面。
第二段落は武能が時宗に笙の笛を習う場面。
両方に重複する人物の動きがポイントになる。
問一 古文で意外と難しいのが「単語の意味」。
特に現代語と同じで意味が違う場合、解釈で混乱する。さらに、意味の種類が多い場合も同
様で、これは単純な語ほど多い(たとえば『手』の意味など)。
傍線部1中の「いま(今)」がそのケース。
古文単語力で読み解くか、前後の文脈で気付くしかない。
名詞の「現在」の意味では文意が通らない。傍線部の後半は「年へて教へ申さざりける(何
年たっても教え申し上げなかった)」と見えるからである。
「へて」は漢字表記すると「経て」であることを意識すること。
終わり閉じ括弧の下には「とて」と接続助詞「て」があるので、
発言者と教えなかった人物は原則として同じ、と見当はつく。
以上を踏まえて選択肢を検討すると、
a…発言者と教える主語が合わない。
b…aと同じ。
c…「すぐにお教えしましょう」は「今」の副詞、
「すぐに」
「さっそくに」の用法と合致す
る。
d…「今は無理ですがいつかは」は「今」の副詞、
「近い将来に」
「やがて」の用法と合致す
る。
正解候補はcとd。
傍線部前後を確認すると、傍線部の主語は時光。
第一段落後半で時光は日を改めて雨が降る夜にコンタクトをとっている。
本文で時間を置いていることを踏まえ正解はd。
問二 問一同様に「単語の意味」の設問。
まず、傍線部は会話文中にあり、発言者は時光。
本文第一行目から第二行目「宗俊の大納言は(=主語)、~時光といふ笙の笛吹きに習ひ給ひ
けるに」から人物とその関係が把握できる。
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以上を踏まえてあらためて傍線部内を確認すると「おのづから」が目に入る。「自然に」で
は該当する選択肢はない。少なくとも正解候補をaかbに絞りたい。
正解はa。「自ら」には「進んで」の意味は無く、①自力で②自然と③偶然、等である。
この場合は③「偶然に・たまたま」。
問三
傍線部3は会話文中、発言者は時光。始めかぎ括弧の上に「取り寄せておはしけるに、」
とあり、接続助詞「に」は主語の変換を暗示する。「おはす」は尊敬語なので、登場人物か
ら主語は宗俊。主語が変われば発言者は時光。
会話文中の傍線部下「時光独り参らむ」は「私が一人でお供しましょう」の意味。
傍線部内の「で」は打消しの接続助詞。「なむ」はラ変動詞「あり」の連用形に接続してい
るので、助動詞が二つ。時宗の意志が強いことを示す。
以上を踏まえて選択肢を検討すると、
a…「ふさわしい方がない」は本文と合致しない。
b…「どなたも見えない」は本文と合致しない。
c…「いなくなってしまう」は本文と合致しない。
d…強い意志を示す本文と合致する。
問四 「覚束なし(おぼつかなし)」は基本単語。
①気がかりだ。不安だ。②ぼんやりしている。
これも会話文中にあり、発言者は時光。
始めかぎ括弧の上に「おはしたるに、」と見え、終わりかぎ括弧下の「取り出して、」には尊
敬語が接続していない。故に発言者は時光と判断。
時光は秘曲を伝授するためにわざわざ雨の夜、さらに人気の無い大極殿まで来て、傍線部4
と発言して、松明をつけてまわりを確認して武能を見つけ、当日の伝授は中止になった、と
いう流れ。以上から「おぼつかなし」の意味は①。
「まだまわりに誰かいないか不安が残る」ということ。
選択肢を検討すると、bが正解。
問五 教える主語が時光であることは再三確認した。選択肢を検討すると、正解候補は「宗
俊に」と見えるaかbと絞れる。あとは傍線部5の前後の本文を確認すると、
大極殿で武能をみつけた時光は用心して秘曲を教えなかった。もう一説あり、「かばかり心
ざしありて、教へけり」とも語り伝えられています。となっている。
傍線部直訳…これほどの意向があると(時光は)思って、(秘曲を)教えた。
「これほど」は第一段落の内容。宗俊が何年にも渡って希望し続けたこと。
雨の夜、人気の無い大極殿まで一人でついてきたこと。
選択肢を検討すると、aが正解。
b…「これだけは伝えておきたいという気持ち」は合致しない。
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問六 傍線部6は会話文中にあり、発言者は武能。
始めかぎ括弧の上に「問はせ給ひければ、」と見え、接続助詞「ば」が主語の変換を暗示す
る。また最高敬語が用いられている。
傍線部6内を確認すると、
「よく習ひたる者」は「充分に習得した者」の意味で、上文の「法
師ばら」と同じ人物と判断できよう。格助詞の「の」はないが、
「同格用法のようなところ」
である。
「伝へて侍る」の「伝へ」は終止形「伝ふ」。
この場合下に接続助詞の「て」があるので、「伝へ」は連用形。
つまり「伝ふ」の活用の種類は下二段活用。
他動詞なので、「伝わる」ではなく①伝える②伝授する。③伝授を受けるの意味
この場合は前後の「一の人」との遣り取り、特に「誰に習ひたるぞ」も踏まえて、文脈から
「伝ふ」の意味は③。選択肢を検討すると、正解はb。
問七
「心ゆく」はカ行四段動詞で「気がすむ」とか「満足する」意味。
この数年このような挨拶もしなかった武能が弟子入りを希望してやってきた、という文脈を
押さえれば、正解はb。
問八 文法の基本から敬語に関する設問。「給ふ」の識別。
四段活用ならば尊敬の意味。
下二段活用ならば謙譲の意味。
重要なのは意味が謙譲のときの識別ポイント。
ごく簡単に挙げておくと
①補助動詞しかない。
②会話文手紙文中にのみあり、地の文のはない
傍線部8の場合は会話文中の補助動詞なので、「謙譲」と見当をつける。
選択肢を検討すると、正解候補はaかc。
c…接続の規則上、活用形は連用形のはずなので、文法の規則に合わない。
正解はa。
問九
傍線部9の上文「太郎にて侍りける公里」の解釈に注意。
太郎…長男。
公里…時光の長男の名前。
どちらも注があるので漏らさず押さえること。
傍線部9前後の本文の流れは武能が「大食調の入調を教えてもらいたい」というと時光は顔
色を変えて、
「この長男に教えた後で、他人に教えようと思っている。今すぐだと思わないように」
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と言ったので、とあることから、傍線部9内の
「この君」は長男を指し、
「伝へられむ事」の「伝へ」は下二段、
「られ」は尊敬(省略された主語時光への敬意)、
「たちまちの事にあらじ」の「じ」は打消推量と判断する。
正解候補はbとcだが、ここは時光がいつ公里に教えるかがポイントなので、「時光が長男
に伝授なさる事は、すぐという事ではないだろう」と押さえ、bを正解とする。
問十 まずは傍線部 10 を押さえる。
大意…何年も経った後、武能は思慮深く機会をねらい、秘曲を聞こうとした。
前半の武能の様子は、雨の夜・人気の無い大極殿・柱(の影)で、秘曲を聞こうとしていた、
と見え、後半の傍線部の記述と一致する。選択肢を検討すると、dが合致する。
問十一
傍線部前後の文と、傍線部内の敬語に注目すれば、判断できよう。
イ・ウ…「いぶかりて『とくとく』と宣ひける」
ア…いで来て
エ…言ひければ
尊敬語に関わるイとウが宗俊、尊敬語のないアとエが時光。
敬語に注目すれば主語の判断はつくが、もちろんこれも絶対ではない。
省略なども実際には見られるので、目安のひとつである。今回はうまく使えたということ。
三
問一 傍線部には返り点がついており、使われている語句も特に困難なものはないので、読
めてほしい。
貴賤…身分の高いと低い。
群聚…群がり集まる。
書き下し…人人貴賤と無く、多く群聚する所なり。
大意…人々が身分の高い低いの区別無く、多く集まっている所である。
選択肢を検討すると、
a…「身分による差別がないため」は本文と合致しない。
b…「身分の高い人も低い人も」「多くの人々が一緒に暮らしている」、いずれも合致する。
c…本文と合致しない。
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d…本文と合致しない。
問二 アプローチとしては、既存の漢字力で本文中の「比」字を読み下すか、
選択肢中から嗅ぎ分けるか、であろう。いずれにしても、
「漢文常識」と言うよりも、
「一般
常識」の四字熟語の知識の範疇と思われる。選択肢のcを見て、
「比翼連理」が出れば良い。
「比」字の訓は「くらぶ(比較する)」の他に「ならぶ(くっついてならぶ)」がある。
本文は返り点が省略されている。
書き下し…高家は門を比べ堂を連ね小屋は壁を隔て簷を接す。
大意…権勢のある家は門を並べて建物を並べ、小さな家は壁を隔てて軒を接して建っている。
問三 傍線部3内に見える句型は二つ、再読文字と部分否定である。
再読文字は「未」、読みは「いまダ~ず」、意味は「まだ~ない」。
部分否定は「未必(打消し語+副詞)」、読みは「いまダかならズシモ~ず」。
部分否定の基本的な訳は「二度とは~ない」「~とは限らない」の二つ。
また、部分否定の副詞の読みは全部否定と区別をするために、「必」の場合は「かならず」
ではなく「かならずしも」と読む。
この場合は再読文字と部分否定の二つの句型が合わさっている。
以上、二つの句型を看破できれば、使われている語句も特に困難なものはないので、読めて
ほしい。
書き下し…富める者は未だ必ずしも徳有らず、貧しき者は亦た猶ほ恥有り。
大意…金持ちの者が必ずしも有徳の人とは限らず、(ところが)貧しい者は貧しいことを恥じ
ている。選択肢を検討すると、
a…正解。
b…「富裕な人間に徳のある者がたいいめしはなく」は本文と合致しない。
c…「貧しい者に対してなお恥の気持ちを持つべきだ」は本文と合致しない。
d…「富裕な人間が徳を身につけないのは」は本文と合致しない。
問四 傍線部4を見ても、特に困難な語句はなさそうだが、「咲」字を押さえること。
この場合の訓は「さく」ではない。
幸いいずれの選択肢でも該当箇所は全部同じ「わらふ(笑ふ)」となっている。
あとは白文に返り点をつける基本をごく大雑把に記せば以下の通り。
①動詞(用言=述語)をみつける→原則返り点がつく。
②下のどこから上に帰るかさがす→述語の下には目的語か補語がある。その際、熟語の知識
も使う。
しかし、一度に完成させるのは難しいので少しずつでよい。
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傍線部4の場合は
「有楽」の読みが「楽しみ有り」だと見当がつけば、敏い者は正解が選べるかもしれない。
「不能」は「能はず(~することができない)」。
「大開口而咲」の「而」は上下を繋ぐ置き字。順接・逆接の両方があるので、文脈上から自
分で判断するしかない。
この場合は「而」の上には「大開口」、下には「咲(笑)」が見えるので、順接の接続詞。
「大開口而咲」の書き下し…大きに口を開きて咲ふ
「開きて」の「て」が順接の接続助詞。これは古典文法の基礎知識。
さて、傍線部の文構造に目を向けると、
「楽しみ有り」「できない」「大きく口を開けて笑う」
とあり、もう一カ所に逆接の接続詞を入れないと文意がつながらない。
大意…楽しみがあるけれど大きく口を開けて笑うことはできない。
書き下し…楽しみ有れども大きに口を開けて咲ふこと能はず。選択肢中ではcが正解。
a…「たのしみあることあたはざる~」ならば語順は「不能有楽~」。
b…「たのしみて~」ならば語順は「楽而~」。
d…「たのしむことあたはざる~」ならば語順は「不能楽~」。
問五 傍線部5に返り点はついている。
また、傍線部中の「況」は「いわンヤ~ヲヤ」と読み、
「まして~はなおさらだ」の意味を表す重要語。
最後に「をや」がつくのを落とさないこと。
この場合は「何況」となっている。
「転」はこの場合「うたた」と読み、「ますます」の意味を表す副詞。
書き下し…何ぞ況んや転門戸を広くして,初めて第宅を置くをや。
大意転…ましてますます門戸を広くして、豪壮な邸宅を造りはじめるときはなおさらだ。
傍線部5中には「況」が見え、設問は「どういうことか」となっている。
「何がますますなおさら」なのかは、前後の文脈を押さえなければならない。
傍線部1に身分の高い者と低い者が集まっている地域と見え、
傍線部2に富者と貧者で明らかに差があると見え、
傍線部4で貧者は富者にかなり圧迫されていると読み取れる。
また、傍線部5の下文には
「小屋相○、小人相訴者多矣(小さい家を併合し、貧者は不満をもらす者が多い)」と見える
以上を押さえて選択肢を検討すると、
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a…反語で訳してあるので本文と合致しない。
b…「引っ越して」は本文と差があり、「周辺の住民」も曖昧。
c…反語で訳してあるので本文と合致しない。
d…bよりも符号するので正解。
問六 傍線部6内の「何」に注意する。
「何ぞ」は原則「疑問」だが、「詠嘆(なんと~なことよ)」もある。
かたちの上からは識別できず、文脈上から判断するしかない。
「其」はこの場合意味を強める働き。
書き下し…何ぞ其れ人心の強きこと甚だしきや。
大意…(京の中に空いた土地がないというのか。そうではないのにそこに移ろうとしないの
は)なんと人の執着心の強さの甚だしいことよ。
本文にも、
「小屋相○、小人相訴者多矣」
「其尤甚者、或至以狭土滅一家愚民」
などと見えることを踏まえて選択肢を検討すると、
a…「金持ちたちの強引さを非難」は本文の流れと符合する。
b…「賛美する気持ち」は本文と合致しない。
c…「あわれむ気持ち」は本文と合致しない。
d…「あきれる気持ち」は合致するが「貧者」のことを述べている。
正解はa。
問七 受験知識としては知らなくて良いが、
設問文をベースとして、選択肢中から見当をつけよという設問。
設問文中の「池のほとりのささやかな住まい(『地亭』)に閑居する喜び」と見える所がベー
ス。正解はbの『方丈記』。「方丈」は「一辺が一丈の部屋」の意味。
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