SPring-8 BL07LSU 光源クロスアンジュレーターの開発状況 東大物性研

SPring-8 BL07LSU 光源クロスアンジュレーターの開発状況
東大物性研
松田巌
Status of developing the cross-undulator light source at SPring-8 BL07LSU
The Institute for Solid State Physics, the University of Tokyo
I. Matsuda
SPring-8 BL07LSU は高輝度軟 X 線アンジュレータビームラインとして(1)光エネルギー250-2000eV,
(2) 分解能 10,000 以上、(3)スポットサイズ 10μm 以下(ゾーンプレートで 70nm、ミラー集光で 1μm
を記録)
、(4) 強度 ~1012photons/秒、(5)偏光の切換、を達成している。2012 年後期から更なる性能の
向上、特に偏光制御に重点を置き、調整を行ってきた[1,2]。
アンジュレータセグメント間の移相器(永久磁石型・電磁石コイル型)を用いて軟 X 線の偏光制御
を行っている。これまでの永久磁石型移相器の調整により、現在は全エネルギー領域(250 – 2000 eV)
に対してユーザーは円偏光及び直線偏光の軟 X 線を利用することができるようになっている。クロス
アンジュレータでは偏光の高速切替が可能であり、その開発として電磁石移相器の調整を行ってきた。
これまでに確認できていた DC 運転における軌道補正に加え、AC 運転における軌道補正をビームラ
インの XBPM を用いて行い準備を進め、その結果、2015 後期のユーザー運転期間中に、ID2台と 10
Hz の偏光スイッチングを利用するユーザー利用実験が実現した。磁場下での X 線吸収測定では、永
久磁石移相器を用いての測定結果を再現する磁気円二色性スペクトルを得ることに成功した。加えて、
光学遅延変調法による磁気光学カー効果測定も試み、こちらの結果は現在解析中である。今後は ID
8台全てを用いた偏光スイッチングを可能とすべく、さらなる調整を進める予定である。
[1] S. Yamamoto et al., J. Syn. Rad. 21, 352-365 (2014);
[2] I. Matsuda et al., Nucl. Inst. Meth. Phys. Res. A 767, 296–299 (2014).